第788話 渾名
ビィーーーーーーーーッ!!
「『『――』ついに、』完成した……」
「はぁっ、はっ……おめでとう、ソラちゃん。もう私達では手に負えないな……」
「はぁっんっ、お、雄々しく……とても固い……!」
びくびくしながらお尻を強調するように倒れている忍ちゃんを無視して、僕も皆と一緒にその場に倒れ込む。
「お疲れ~っ!大聖女サマ!」
「ア、アヴリルさん!?どうしてここに……?」
汗をぬぐってくれた存在が南の国にいるはずのアヴリルさんであることに気付くのに数秒かかってしまった。
「シューレン終わったから来ちゃった♪それより、リョーカちゃんみたくあたしも呼び方変えて良い?折角婚約したんだし、そのほーが、アゲっしょ?」
「い、いいですけど……」
修練が終わったってことは、ステータスカンストになったようだ。
そういえば涼花さんにちゃん付けしてるし年上なのはわかるけど、アヴリルさんって一体何歳なんだろう……?
マリちゃん先生もそうだけど、この世界の女性は年齢不詳が多すぎる。
「ん~、じゃあ『ソラちん』とかでどぉ?」
「ち、『ちん』を付けるのはちょっと……」
「『ええ~?ちん』は付いてるのに?」
「なっ……!?」
「確かに、誰にも負けないとびきりのがついてるね」
「涼花さんまで、何言ってんのさっ!?」
「だが、私達はもう『それ』の虜になってしまったからね」
汗ばんでいる姿と僕へのアピールが相まって、なんだか妖艶な姿の涼花さん。
なんだか涼花さん、可愛いものへの遠慮だけじゃなくてそういう恥ずかしいことへの耐性が異様に高くなった気がする。
女は度胸だなんてたまに聞くけど、いくらなんでも怖いものなしすぎやしない?
「雄々しく……とても固い『ソラちん』……!」
忍ちゃんはRPGの村人化しないでよ。
合わせ技で余計ひどくなってるから……。
身振り手振りで僕の『ちん』の形状を表現する忍ちゃん。
二人はともかく、忍ちゃんとはまだ婚約者じゃないんだから、見られてるのはおかしいでしょ……。
というかたとえ覗き見されていたとしても、寸分狂わずサイズも形も一致してるのは流石におかしいからね?
「それはもう、ズッコンバッコンしている数センチ離れたところで何度も見ていましたから♥️」
「心の中を読まないでよ……」
というか、数センチ前って眼前じゃん。
いつの間に居たんだよ、普通に怖い……というかいくら聖女とはいえ、他の人と致してる姿を眼前でガン見してるとか、モラル的にアウトだから。
なんでこんなのが身内になってしまったのかって不思議でしょうがないんだけど、元を辿れば梓お姉さんの血が通ってるせいなんだよね……。
今度から一体化の無駄遣いさせないように調教しないと駄目かな……。
でもいじめても放置しても喜びそうだし、暖簾に腕押しすぎて今から頭を悩ませることになるのだった。
ちなみに『ソラちん』は断固として拒否した結果、アヴリルさんからのあだ名は『ソラち』になった。




