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第漆話 初勝利!

 わたしは思念伝達を応用し、この島全体の人間にアクセスした。


『我ら日本王国(ヤマトオウコク)は、勇者のスキルを巧みに使いこなし、グラム王国のインス村を陥落し、降伏させた! 我ら栄光なる日本王国(ヤマトオウコク)と盟友イゲイナ王国の勝利である!!』


 その朗報と共に、島の反対側から元グラム王国側の屋敷に聞こえる程の歓喜の声が聞こえてきた。

 わたし達は元グラム王国国王兼、インス村村長と元貴族などの権力者達をを我らのイルゲイナ村の屋敷にお連れした。そこでわたし達は講和会議を行うことになった。

 そして占領したばかりのインス村には兵士の拘束と、治安維持の為に満月ちゃん、忠政君、幸樹ちゃん、そして瞳ちゃんを残して、わたしと友美ちゃん、そして臣民兵二人ででイルゲイナ村に帰った。

 帰宅途中、わたしは臣民兵に話しかけてみた。


「そういえば、君達って何者なの?」


「はッ! 我々は、俗に言う使い魔の様なものです。我々は死んでも再び召喚されれば復活しますので、この命、貴方様の為に散らす気持ちでございます」


「わたしの為じゃなくていいよ」


「はて? では、何の為に戦いましょう?」


「この国日本王国(ヤマトオウコク)と国民のために戦って欲しい」


「はッ! 御立派な御意志でございます! 我々臣民兵は日本王国(ヤマトオウコク)と国民のために戦います!」


「うん。よろしくね」


 わたし達がイルゲイナ村に帰ると、村民達が盛大に迎えてくれた。

 そして、講和会議はアルゴ殿の大広間でお互いの国の代表らがインス村から“鹵獲”してきたテーブルに向かい合う形で行われた。こちらからは軍服を着たわたしを一番奥に、次にアルゴ殿、アルナ殿、そして友美ちゃんと続いた。あちら側はこちらよりも圧倒的に綺麗で豪勢な服を着ていた。西の帝国との戦いでどのタイミングで逃げることを決断したか、どのような統治をしてきたのかはこれを見れば分かる。


「それではこれより、日本王国(ヤマトオウコク)及び、イゲイナ王国とグラム王国の講和会議を行います。わたくしが、日本王国(ヤマトオウコク)代表の女王、白雪 葵姫でございます。この度はこのような席を設けることができて大変喜ばしく思います」


「よがグラム王国の国王、デルブッチョ=グラムである。単刀直入に聞くが、お主らはよの国をどうする気なのだ!」


 グラム王はインス村の屋敷を制圧した時の態度とは真反対で出てきた。どこからこの自信が出て来るのか……。名前の通り脂肪は余るくらい持ち合わせているようだけど。


「勿論、我らが日本王国(ヤマトオウコク)に併合させていただきます」


「ふざけるな! そのようなことが認められるか!」


「おやおや、貴方は自分の立場が分かっていないようですね。あなた方は我々に負けたのです」


「認められんぞ! 我々にはまだ兵士がいる!」


「それなら先程連絡がありましたが、全員大人しく投降したようですよ。それに、殆どの兵士が我らが日本王国(ヤマトオウコク)の兵士としてそのまま編入して欲しいと申し出ているそうです」


「そ、そんな……」


 グラム王はそれを聞いて静かになった。因みに、投降した二百名の兵士はもれなく全員友美ちゃんに再教育してもらうことにした。勿論、銃の持ち方を教えるだけだよ。そんな洗脳なんてするわけないよ〜。


「それでは、話題を戻しましょうか? グラム王」


 それからは会議では、こちらが一方的に話を進めることになった。

 会議では主に三つのことが決められた。

 まず、一つ目は現状存在するグラム王国領土は全て日本王国(ヤマトオウコク)が併合すること。

 二つ目はグラム王国の全兵士はそのまま日本王国(ヤマトオウコク)の兵士として編入すること。

 最後に、三つ目は、グラム王国の王族、貴族の財産の三分の二と、国が保有していたお金全額を日本王国(ヤマトオウコク)が賠償金として没収し、日本王国(ヤマトオウコク)のインフラ開発などの資金にすることで決定した。

 勿論、望むならばだけど貴族の方々には王国の事務員として働いてもらう。それに、いざって時は精神注入棒もあるしね!

 これにより我々は、領土、人員、資金の三つを手に入れた。


 一か月後、インス村屋敷(皇居)の一室にて。


「姉さん。いえ。王女様。失礼します」


 わたしは窓の外を眺めていたが、入ってきた葵の目の前に一瞬で移動した。


「お~! 我が愛しき葵~! どうした? お姉ちゃんに甘えに来た? いいよ~。いくらでも甘えちゃって! 後、姉さんでいいから。公の場ではだめだけど」


「違います。後、分かりましたから、ちょっと離れてください姉さん!」


「はいはい」


 わたしは仕方なく葵から離れ、自分のデスクに座ると、真ん中に机を置き、それを挟むようにして置いたソファーに葵も座った。


「はぁ、姉さんは相変わらずですね……。それでは、日本王国(ヤマトオウコク)の現状について解説いたします」


「了解。よろしく」


「まず、元グラム王国の統治ですが、食料の供給と、土地の開拓などにより、民衆の我々への支持は厚いです。それと、軍人を平時は警察官として運用することによって治安も安定しており、統治は順調です。イルゲイナ村と、インス村のインフラ整備も、元グラム王国に多くいた職人達を筆頭に行っているため、遅れもなく、順調に進んでいます」


「そういえば、港の建設も言っておいたけど、それはどうなってる?」


「ええ。そちらは慣れている職人が少なく、順調とは言えませんが、幸樹さんの指示の元で急ピッチに進められています」


「あ~幸樹ちゃんってよく軍港とか海釣りとか行ってたから、港の構造には私達の中では一番詳しいか」


「えぇ。それに幸樹さんは、あの友好的な性格ですので、現場からの支持も厚いです」


「なるほど。建築の方は分かった。元グラム王国の兵士とか貴族はどう?」


「それなら全く問題ありません。かつては過酷な労働を低賃金でさせられ、不満ばかりだったそうですが、今は相応の額も貰えて、労働状況も改善されて満足しているようです」


「それでも、嫌な奴は嫌でしょ?」


「あ~それなら、大丈夫です。友美さんと、瞳さんによる洗脳……。ごほんッ……。再教育により、意欲の無い者は一晩で進んで仕事をするようになっています」


 あの子達も怖いな〜。


「まぁ、順調ならいいや。装備とかは? 足りてる?」


「えぇ。今のところは平気ですよ。友美さんは現在、一日に三百人分の装備を生成できるようになっていますし、満月さんと忠政さんが国民にも技術を教えて、国民の手で装備を製作できるようにしているところです。人員も、元々のイゲイナ王国とグラム王国の兵士と、新たに志願してきている者に関してはアルナさんに指導を任せてあります。アルナさんは直ぐに銃の扱いに慣れたのでほんとに天才ですよ。そして、姉さんが臣民兵を一日十五人出せるようになられたので我が国の兵数は千にも届く勢いです!」


「それはいい。近頃、あれも完成するしね」


「えぇ。それで思い出しましたが、一二三さんも順調そうですよ」


「それは素晴らしい! あ。勿論命名権はわたしにあるんだよね?」


「それは勿論。それと最後に、財政面の話なのですが、元イゲイナ王国と元グラム王国の事務員の方々が優秀なので殆ど問題はありません。食料といい、お金といい、今は国が管理しているので、帝国主義というか、共産主義に近いですが」


「まぁ、それは仕方ない。どのイデオロギーにも良いところはあるんだから、どんどん取り入れていこう」


「はい。それで姉さん。今後はどうします? 台湾は統一しましたし……」


「あ〜。それなら、さっきも言ったあれが完成したら国民みんなの前で言う予定だよ」


「僕達にも先に伝えておいてくださいよ!」


「分かってるよ。葵〜、転移組と、アルゴさんとアルナさん、それと~。建築現場の職人さんの筆頭の人を会議室に呼んで!」


「分かりました」

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