表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/61

第陸話 インス村ノ戦イ

 わたしはスピーチが終わった瞬間に、インス村の近くに潜ませておいた臣民兵に宣戦布告の矢ふみを撃ち込ませた。因みにこの人形はアルゴ殿の家で召喚した個体で、みんなが家から出たタイミングで早速インス村の偵察に向かわせておいた。そのおかげで村の構造は大体把握できている。

 わたし達は、今日までに三十丁の三八式歩兵銃と、偵察に行っている者を合わせて、二体の臣民兵を用意できた。

 とは言っても、三八式歩兵銃は訓練を積まないと扱うのは厳しいので、イルゲイナ村の人達には銃剣を取り外し、刃先を枝などにくくりつけて、槍として使うことにした。

 わたし達も三八式歩兵銃の扱いは厳しいかと思うだろうが、わたし達は全員、ライフル、ピストル、銃剣道は二段以上を所有している。

 更に、前の世界では全員サバゲーにもよく通っていて、何度か丸一日森に潜んでサバゲーをするというものにも参加した。よって夜間の戦闘やゲリラ戦もなんとなくだが一応対応できる。

 更に、そこで知り合った師匠の東郷爺さんに、軍隊並みの訓練を受けさせられ、夏休みにはレンジャー部隊の訓練合宿まで行った。

 わたし達は村の守備の為にひふみんと葵、そして村の兵士達を五十人残して、偵察に行っている臣民兵との合流を目指し、森の中を進み始めた。すると、アルナさんが先頭を歩くわたしの隣に来た。


「アキ殿、宣戦布告するにはもう少し準備をしてからの方が良かったのではないですか?」


「いや。彼らはこちらの不意をつける四日後のお祭りの最中に攻めてくる気でした(知らないけど……)」


「なんですって!? しかし、祭りごとの最中に攻めるなんて、他の国からの非難は避けられませんよ」


「その他の国はどこにあるのですか? 今我々の存在を認知しているのは我らが日本王国(ヤマトオウコク)とグラム王国のみ。ぶっちゃけて言えば、今なら何をしても勝てば許される」


「確かに……」


「そんな状況で攻められてみてください。惨殺され、奴隷にされ、もて遊ばれるのは確定だと思いませんか? 勿論、そんなことは日本王国(ヤマトオウコク)では許しませんが」


「それで、宣戦布告を急いだと」


「そう。わたし達に不満なら別に反乱でも起こしていいけど、持ってる武器のレベルとサガちゃんのことは考えてくださいね」


「わかっています」


 わたし達はそんな会話をしていると、インス村の近くまで来れた。ここからは見張りもきつくなるだろう。みんなが気を引き締めた瞬間。


「クシュンッ!!」


 幸樹ちゃんがおもいっきりくしゃみをしてしまった。

 瞳ちゃんは幸樹ちゃんの胸倉を掴み、幸樹ちゃんを揺らしながら、静かな声で怒っていた。


「幸樹殿! あなたって人は!!」


「いや~すまん。緊迫した雰囲気だと出ちゃうねん」


 その瞬間わたし達の背後の木に弓矢が放たれた。それを合図にわたし達は物陰に隠れ、索敵を行った。わたしは全員に思念伝達で指示を出した。


「総員、発砲を許可する!」


「十二時の方向!!」


 わたし達は一斉に発砲する。すると、わたし達の放った弾は見事に敵に命中し、敵兵をバッタバッタと倒していった。


「一号、確認!」


 わたしは、臣民兵に確認に行かせた。


「クリア!!」


「よし! 前進再開!」


 わたしも行かせておいて今気づいたが、喋れたのか……。というか、臣民兵って何者?

 わたし達は、銃声を聞きつけて来るであろう援軍にばれないように、できるだけ高い茂みをかがんで二号の元へ向かった。

 わたし達は、二号の元に着くと、そこは小高い丘のようになっていて、村の全貌が少しだが見える場所だった。村はかなり整備されていて石レンガ造りの家々が綺麗に並んでいる。その中でも一際目立つのが、中央にある大きなお屋敷だ。こう見ると、イルゲイナ村よりもかなり発展している。

 ぱっと見た感じ、敵兵は少量の守備隊だけで、あとは全員森の中にわたし達の捜索に行っているようだ。


「よし! 村の守備隊を殲滅する。その後、わたしと瞳ちゃんと忠政君、それとアルナさん率いるイゲイナ兵でインス村の村長を捕らえて、一気に降伏させる。そして残った友美ちゃんと満月ちゃん、あと幸樹ちゃんはここに残って狙撃でサポートして。アルナさん。この村の村長の顔はわかりますか?」


「はい。何度か会ったことがあるので把握しています。後、よく屋敷の話をしていたので、彼の家はあの村の中央にある大きな屋敷に違いありません」


「わかりました。わたし達は、あの屋敷に突撃する。ではわたしの班と瞳ちゃんの班二つに分けてこの丘の麓の両側から村に侵入する」


 突撃隊のわたし達は、配置に着くと、遠視で周辺を確認している友美ちゃんに合図を送った。狙撃隊からはクリアの合図が送られた。


「よし、行け!」


 わたし達は路地をつたって、できるだけばれないように村の中央へ向かった。

 狙撃班が、わたし達から離れた所に向かって狙撃してくれてるので、敵がそっちに気を取られてあまり接敵しない。しかし、何度かは接敵した。わたし達は銃声を聞いて援軍が来ないように銃剣突撃で対処した。

 友美ちゃん達のサポートもあり、スムーズに村の中央までこれた。だが、わたし達がお屋敷の門付近に到着すると守備兵約七十名がお屋敷周辺を警備していた。

 わたし達は突撃する為に銃撃を開始した。当然守備兵達はこちらに矢を放ってきたが、物陰に隠れながら三八式歩兵銃と弓矢で応戦した。数ではこちらが不利だったが、やはり性能差で圧倒し、直ぐに守備兵の半数を壊滅させた。そしてそのタイミングで遠距離武器で援護しながら、アルナさん率いるイルゲイナ兵を突撃させた。わたし達は、そのまま屋敷に突入すると、守備兵の残党が襲ってきた。しかし、三八式の前では無意味、あっという間に殲滅した。わたしは一番若そうなやつを生かしておいたので、そいつのこめかみに銃口を突き付けて尋問した。


「村長はどこ?」


「そそそ、村長なら、二階の奥の部屋です」


「ありがと。じゃあね」


 わたしは、その後容赦無くそいつのこめかみを打ち抜いた。

 わたし達が、そいつに言われた部屋に行くと、部屋の隅でうずくまっている男がいた。


「アルガさん。こいつがここの村長ですか?」


「はい。確かにこの人です」


 インス村の村長は、とても元グラム王国のお偉いさんとは思えない程、涙や鼻水などで全身ぐちゃぐちゃになってた。

 わたし達は、インス村の村長を拘束すると、命の保証をする代わりに、降伏するように促した。

 すると、こいつは速攻で降伏した。わたしはこうはならないように注意しよう。

 こうしてわたし達は、案外あっけなく、この戦争に勝つことができた。因みに両者の戦死者としては日本王国(ヤマトオウコク)兵約百名中、五名に対し、相手は軍人が三百人中、百名人が死亡した。


 我々の完勝である!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ