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第伍話 日本王国

 わたし達はアルゴさん家の前に向かうと、アルナさんが準備体操をしていた。


「アキ殿。わたくしの相手をしてくださるのはどなたですかな?」


 アルナさんがそう言うと、わたしの後ろにいた忠政君が前に出た。


「……」


 すると、アルナさんは余裕の表情で高笑いをした。


「わたしもなめられたものですな。他の方の方が手ごわそうですが?」


「いえいえ。わたし達の忠政君をなめてもらっては困りますよ」


 わたしたちは村の中央に行き、アルナさんと忠政君がにらみ合う中、それをを広く囲うように集まった。そこには村人達もたくさん集まっていた。

 すると、アルゴさんが集団の中から出てきた。


「それでば、決闘始め!!」


 その瞬間アルナさんは地面を強く蹴って忠政君に突進していった。しかし、忠政君は目にも留まらぬ速さで横に避けると、忠政君はカウンターでアルナさんの背中に肘を思いっきり落とし、そのままアルガさんは体全体を地面に打ち付けた。

 実は忠政君は巷ででハヤブサの栗林の異名を持つ程の驚異的なスピードを使った蝶のように舞、蜂のように刺す戦いを行こなう人物なのだ。

 しかし、アルナさんは地面に伏せたまま、下半身だけを起こし、逆立ちの容量で回転蹴りをした。

 忠政君が後ろに下がるとアルナさんは一瞬で忠政君の背後に回り、回し蹴りを食らわせた。忠政君は腕でガードしていたが、ダメージ的には今のところどっこいどっこいだろう。

 その後の戦いはアウトレンジ戦法をとる忠政君に対して、アルナさんは持ち前のスピードとパワーを使ったごり押しに近い戦い方をとっていた。しかし、彼女の実力は伊達ではなく、忠政君のスピードをもってしても避けきれないことがあった。

 そのまま互角の戦いを続けた二人の戦いは、夕方まで続いた。共にぼろぼろになったころ、アルゴさんが大衆の中から再び現れた。


「そこまでじゃ! アルナとここまで渡り合えるということは、やはりこの方々は真の勇者様。我々は言い伝えにのっとり、勇者様に仕える!」


「父上! よろしいのですか!?」


「いい! 我々が生き残る術はそれしかない! 勇者様方、それではわたくしの家までご同行願えますかな。タダマサ殿とアルナは病院に運ばせます」


 わたし達はアルゴさんの家に向かい、今後について話し合った。その時、驚くべき事実がアルゴさんより告げられた。なんとアルゴさんは今の台湾の南部に加え、かつてフィリピン全土を支配していたイゲイナ王国の元国王だったのだ。

 それを踏まえた上で話し合われた内容は、将来的なイゲイナ王国の領土奪還とそれが実現した際に同盟を結ぶ事、それが確約できれば今ある軍の指揮権とイゲイナ王国が現状保有している領土の譲渡を行うという内容だった。わたしはその内容を了承し、急遽用意された書類にサインを行った。


「それでは、勇者様方。明日村のみんなに報告をするので、準備をお願いします」


「分かりました」


 わたし達はその場で解散となり、そのまま帰った。しかし、満月ちゃんだけは例の病院に向かい、そんまま一日帰ってこなかった。二人の仲が良さそうで何よりだ。

 翌日、わたし達とアルゴ殿は村の中心にある壇上に上がっていた。その中には忠政君とアルナさんもいたが、怪我は結構治っていた。わたしが安心したのも束の間に、アルゴ殿が大きな勇ましい声で話し始めた。


「イルゲイナの者達よ! よく聞け! 単刀直入に言う。我々は、イゲイナ王国のかつての領土奪還を条件にこの勇者様方にこの土地と現状の軍の指揮権を譲る事になった! つまり、我々は言い伝えに乗っ取り、勇者様方に従う! それでは、代表のシラユキ アキ殿、ご挨拶をお願いします」


「イルゲイナ村のみなさん! わたしの名前は白雪 葵姫。これよりこの土地はわたし達が治める! 不安や不満があると思うけど、安心してほしい。わたし達は迫る驚異を制圧し、みんなを西の帝国から守り、イゲイナ王国の領土を必ず奪還する! そして、わたし達の統治する国の名を発表する!!」


 わたしがそう言った瞬間に、わたしの斜め右後ろにいた友美ちゃんが国名をが書かれた紙を、斜め左後ろにいた一二三が日の丸が描かれた国旗を掲げた。


「わたし達の元の世界に存在した国名にあやかり、『日本(ヤマト)王国』とする!! 日本(ヤマト)は日出る国を意味する。国旗は赤い日の丸は太陽を象徴し、わたし達の元居た国では紅白は伝統的色でめでたいものとされており、赤は博愛と活力、白は神聖と純潔を意味する。そして、女王にはわたし、白雪 葵姫が即位する! わたしは、日本(ヤマト)王国とイゲイナ王国の繁栄を心から願い、実現に向け最大限に努力することを約束する! そして、わたしはこの場を借りて宣言する! わたし達日本(ヤマト)王国は我が盟友イゲイナ王国へ襲撃を仕掛け、脅威となっているグラム王国領インス村に宣戦布告する!」

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