第伍拾捌話 下準備
あれから数日が経った頃。
「ん~。やっぱりたこ焼きは最高ね!!」
「神奈はん。もう一軒行きましょうや!」
「よし!! 行きましょう!!」
どうやら、幸樹ちゃんと神奈さんは随分と仲良くなったようだ。一方で、革命の準備もしっかりしているようで、開戦は半年後になるそうだ。これをわたしに伝えて来るという事は、それまでに準備をしておいて欲しいという事だろうな。はぁ……。
「葵。欧州情勢の方はどうなってる?」
「それぞれぎくしゃくしているのは変わりありませんが、大国の1つであり、我らが盟友のオズメン帝国にとどめを刺そうとする動きは各国で見られます」
「このままだとあたし達の世界のオスマン帝国みたいにタコ殴りにされるでしょうね」
「はぁ、こっちの世界にも瀕死の病人は居たか……。介護の準備は出来てる?」
「介護ってのもあれだけど、大丈夫よ。なんと遂に、九七式中戦車 チハを開発しました!!!!」
「「お~!!!!」」
「遂にチハたんが出来たんですね!!」
「ふんッ!! しかも、砂漠地帯でも運用しやすいように履帯の幅を広くしたり、中に貯水も出来るチハ乙型も開発済み。既に試験は済ませて実戦配備を進めているわ」
「お~流石友美ちゃん。わたしは出来るって信じてたよ!!」
「そういえば、オズメン帝国からスエズ運河についての会議があるって呼び出されてたな。その準備も出来てる?」
「只今調整中です。オズメン帝国の今後も気になりますが、もっと気になる国がありまして……」
「ん?」
「始ね」
「そうです。友美さん。始の国内は我々に敗戦した衝撃で滅茶苦茶になっておりまして、その様は正に世紀末の様だと」
「わたしが効いた報告では、いつ戦国時代になってもおかしくない状況で、満州国やインドシナ連邦などにも移民が押し寄せているそうよ」
「はい。それで、その移民の今後について助言を頂きたく……」
「そうだね~。満州国もインドシナ連邦もまだ開発途中だから、働き口はあるだろうけど、あんまり人数が多いと今度は民族問題に発展するからな……。そうだ! オーストラリアに移民を送る計画はどうなってる?」
「順調に進んでいますよ。おかげで鉱物資源の輸入は安定傾向にあります」
「送っちゃえ」
「「え?」」
「始からの移民を一部、お裾分けしちゃって」
「あんたね。ブルベル帝国より、ブリテンしてるわ……」
「僕もそう思います……」
「良いじゃない。でも、移民がそんなに押し寄せて来るってことはよっぽど始はひどい状態なんだね」
「ええ。各地で一揆や放棄が起きているらしく、今にも分列しそうな状況ですね」
「まぁ、元々力のある国だからそんなにあっさりと内戦にはならないだろうけど」
すると、廊下から慌てて走る足音が聞こえてきたと思うと、一二三が慌てて入って来た。
「大変だ!! 始の皇帝が殺された!!」
「「「何だって!?」」」
「今諜報部から連絡があったんだが、始皇帝嫡男、汪兆然が北京にて反旗を翻し、皇帝を殺害後、北京を掌握、現在は南京に向けて進軍中との事だ」
「もう来たか……。それで、他に放棄した集団の情報は?」
「他には、モングル王国、ウイングル王国、チーブ王国が独立を宣言。それぞれ、俺達の世界での、モンゴル、ウイグル自治区、チベット自治区に当たる場所だ。始政府軍は亡き皇帝の次男汪雲嵐を跡継ぎとし、四方から押し寄せる敵軍をなんとか押しとどめてはいるが、時間の問題だろうな」
「完全に戦国時代ですね……」
「それと、汪兆然がうちに支援を求めてきているがどうする?」
「そうだな。よし。現在の租借地を割譲に変更する事で手を打とう。それと、残りの三国ともコンタクトを取って。独立の承認と支援を約束する代わりに国交と同盟を結ぶという事を条件にね。最後に、現在の租借地に住む我が国民を守るために始の国境と我が国及び我が国の同盟国の国境沿いに軍隊を配備し、必要とあらば、戦闘も惜しまない」
「「「「はい!!」」」
「そうだ。最後のは、その四ヵ国全員に伝えておいてね」
「「え?」」
「なるほどな。現在我々が認めている始の領土とは、現在の戦国時代に入る前の領土。必要とあらば、お前らが主張する領土にも攻め寄せるというアピールか」
「そう。その通り」
「でも、そんな力業で条件を飲ませても後で反感を買わない?」
「大丈夫。その四ヵ国には治安と政治の安定化と称して、うちの軍と政治顧問団を派遣するから」
「「「うわ~……」」」
「なんでみんな引いてるの?」
「いや。やっぱり葵姫。あんた帝国主義向いてるわ」
「我が姉ながら恐ろしい……」
「だな……」
さぁ、これで遂にあれを創る時だ!!




