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第伍拾陸話 ニューディール政策2

 あれから一か月後、新しい皇居が完成し、今は丁度遷都が終了したところだ。そして、久しぶりに一段落ついたので久しぶりに転移組八人が集まっていた。


「は~。やっと帰ってこれたね」


「そうですね。でも、お祝いに友好各国の方々が来てくださっているので、そんなにゆっくりはできないですよ」


「そうだよね~。はぁ。天皇も大変だよ」


「皆さんを待たせるわけにはいかないから、さっさと終わらせるわよ」


「分かったよ。先ずは、栗林夫妻。中東での任務ご苦労であった」


「「ありがとうございます!!」」


「そうだ。葵姫さん。メルテムさんからこちらをお預かりしています。何やら重大な手紙だそうで」


 わたしは何かとドキドキしながらその手紙を開けると、なんとオズメン帝国からだった。

 その内容は三か月後、周辺諸国とスエズ運河の条約と利権について会議を行うとの事だった。確かにアラブ自治領があるからオズメン帝国とは隣国にはなる。でも、スエズ運河は我々にとってそこまで関係無い様に思えた。きっと何か思惑があるのだろう。


「よし分かった。それで、軍部はどんな感じ?」


「海軍は問題なしだな」


「現在制作中の新造艦も順調です」


「うん。海軍は大丈夫そうだね」


「それで、陸軍は? 現在は治安維持が主な仕事になってるわね。シベリア出兵も、カムチャッカ半島を探索して帰って来たし。それと、新しい戦車が出来たわよ」


「お!? もしかして!?」


「うん。チハたん!」


「よし! これで陸軍の軍拡も進みそうだね。よくやったよくやった」


「研究部の報告もさせていただくのであります!! 大きな報告はディーゼルエンジンの量産化が可能になりました。これからは民間の企業にも戦車や飛行機の生産体制は勿論、車やバイクといった国民の生活水準を大きく上げる物も生産されていく予定であります」


「分かった。そうだ。最近移民の労働者が増えてきたって言ってたよね?」


「はい。姉さんの言う通りアジア各地から移民が集まっています」


「だったら、よし。折角だ。その移民の皆さんを使わせてもらおう」


「というと?」


「これから車や電気が一般化してくるんだよ。そうなったら何が必要?」


「なるほどな。工業化が進んでも、それを輸送したり、使用するための整えられたインフラや発電施設が無いと、元も子も無いっちゅうわけやな?」


「流石幸樹ちゃん。その通り、という事で、『ニューディール政策(ツバイ)』を発令する!!」


「「「「「「「お~!!」」」」」」」


「で、内容はどんなの?」


「先ずは河川周辺の整備。この国は洪水が多いからね。それと、ダムの建設。それに伴う新たな橋や道路、を建設し、昔からある道路や橋も整備を進める。正にあのニューディール政策や4ヶ年計画をも超える大事業だ!!」


「まぁ確かに移民が街にはびこることは無くなるだろうし、経済的にも失業者も減って活気が戻るでしょうけど、そんな大量のコンクリートやアスファルトはどうやって手に入れるの?」


「ふふふ。我々の近くにあるじゃないか!! 鉱物の大陸。オーストラリアが!!」


「あ~。それなら最近ブルベル帝国が入植し始めて海岸という海岸に国旗立てまくってるらしいっすよ」


「なんだってーーーー!!!! くそ……わたしの完璧な計画が……」


「あんたほんとに帝国主義の権化ね……」


「いや。待てよ。手はあるぞ。最近入植が始まったという事は、当然、まだ企業もというか人事態があまりいない。となるとだ、向こうとしても移民や新たな雇用が生まれるのを望んでいるわけで、俺達もオーストラリアに移民を送って、そこで新たに鉱石会社を作らせれば」


「移民問題も解決。こっちは鉱石が出る場所も粗方分かってるわけだし既に参入してる企業にも遅れをとらないはず。それに、その雇用を目当てに移民が殺到すれば、ブルベル帝国政府も下手に手は出せない。いけるかも……」


「いける!! それで行こう!!」


「それでは、皆の衆。かかれい!! 新大陸でぼろもうけじゃい!!」


「「「「「「「おう!!」」」」」」


 みんなが顔をにやにやさせながら出ていくと、入れ違いでメイドさんが慌てて入っていた。


「失礼します。陛下」


「うん。どうしたの?」


「そ、その、モスコーロア帝国の使者を名乗る方がお見えになりまして」


「うん。それならお通しして」


「その、例のカミツレという名を名乗っておりまして……」


「あ~。やっぱりか。まぁ構わない。お通しして」


「はい。かしこまりました」


 遂に、きたね……。

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