第五拾参話 一号作戦
ということで成り行きというか、勢いで決まってしまった始への宣戦布告。というか、冷静に考えたら始ってアジアの始祖って名乗る位だから、軍事力も経済力もアジア一位なのは間違いないし、下手すれば西の帝国レベルだよね。あれ。マジやばくね? わたし、やらかしたくね?
「ということで、諸君。なんとかしてくれ!!」
「「「「「「「ふざけんなッ!!!!」」」」」」」
総突っ込みを食らわれてしまった。転移組だけの御前会議だからって正直すぎたかな……。
「葵姫はんあんたええ加減にせえや!!」
「葵姫、あんたね。天皇になったからって調子乗ってんじゃないの?」
流石の友美ちゃんも歯ぎしりをしながらキレている。一方その他は……。
「「「「「……」」」」」
あ~完全に厭きれてるよ。
「まぁ、姉さんの事だし、仕方ないですね」
「まぁ、さっさと今回の作戦について話そうか。とりあえず、我が国と始の領土を示した図がこれだ。婚姻関係にあるジパング王国の領土も含めてあるが、中東の領土は今回は省いてある」
「こう見ると、領土の広さが桁違いでありますね……」
「それでも勝機はあるんやろ?」
「勿論。それは、僕から説明させてもらいます。どうやら、商人達の情報によると始の国内は後継者争い、そして様々な思想によってギリギリのバランスを保っている状態とのことです」
「やっぱりあれだけの広さがあったら国を纏めるんは難しいわな~」
「確かに、広大な帝国に後継者争いは付き物。それで、気になるのは……」
「様々な思想という所。葵。その思想というので分かっている事は?」
「ええ。主に南部に存在する西の帝国との友好派。主に中央に存在する現在同様の統治を望む保守派。北西部に存在する無政府主義者。そして、北部に存在する共産主義者です」
「もしそれだけの権力と思想が本当に雑庫しているとしたら、我々が攻め入れば、始の国内情勢は正にカオスになります。そうなれば安定度が下がり、当然反乱や軍自体の低下が起こる可能性もあります」
「そうなれば向こうは戦争どころではなくなり、早期講和を望むはずか」
「その通りです。しかし、我々が陸軍の数で劣るのは必定でしょう。そこで我々は少ない損害で始国内の世論を講和に動かさなければなりません。長くなりましたが、今回の主な戦場を説明します。それは、朝鮮半島です」
「なんで朝鮮半島なんや?」
「朝鮮半島はジパング王国の本土から近く、山脈が広がっているため、こちらが得意とするゲリラ戦が展開しやすいのです。それに、朝鮮半島は比較的最近始によって侵攻、そして併合された地域ですので、反乱分子がまだ多く残っています。ですから、地元住人の協力や現地に今だ顕在する反乱組織とも協力できる可能性があるため、現在進行形で商人を通してコンタクトを取っています。これらの理由から、主な戦場は朝鮮半島にしました」
「でも、それだと、始国内の世論は動かないんじゃない? 彼らにすると、まだ馴染みの無い地域という事にもなるし」
「それは、我々空軍に任せて欲しいのであります。沿岸部の都市は台湾から離陸した九九式双発軽爆撃機で徹底的に破壊するのです。現在も量産体制が敷かれた居ますので、現状五百機まで量産する事が出来ました。零戦は赤城に乗せる物と合わせて千機まで量産されているのであります」
「では、今回の作戦。一号作戦を説明します。まず、長崎港からアルナさんによって訓練されたジパング王国の兵士を使い補充した第一師団、第二師団、そして、急遽編成した第三師団が一二三長官が率いる連合艦隊に連れられ、釜山に上陸します。この時、長崎から九九式百機及び零戦二百機の編隊計百五十機が上陸支援します。その後、この三つの旅団はソウルと仁川に向け進軍します。我々の予想ではソウルに着くまでには敵も迎撃の準備に入っていると思われます。そして、ソウルに到着し次第、大規模な補給拠点を構築し、解放された仁川から、第四師団そして第二戦車中隊が上陸します。総勢二万四千人の兵士と、十六両の八九式で北京に向け進軍します。恐らくそこが決戦の場になるでしょう。ですが、始の兵士と言っても中世の生き残りの様な技術レベルです。完封勝利の報告をお知らせできるでしょう。この時も、長崎から先程の九九式及び零戦の編隊百五十機を再び離陸させ、近接支援任務を行います。そして、ここで敵戦力を壊滅させる事が出来れば、もう勝利は確実です。そのまま敵首都の北京に向け進軍します。更に、ここでもう一押し行います。敵戦力が壊滅され次第、台湾から離陸した、九九式百機及び零戦二百機の編隊三つがそれぞれ上海。南京。香港に向け離陸、焼け野原にして見せます。そして、そこに、台湾から出港した第一近衛師団<桜>が連合艦隊の上陸支援の下、上海に上陸、南京を目指し進軍し、占領します。ここまでして講和を申し出なかった場合は、先程の三つの都市に加え、重慶にも南京に飛行場を整備し、爆撃を行います。ここまで行えば、始の国内情勢は崩壊。自然と講和の流れになるでしょう」
「なるほど。理解したよ。素晴らしい作戦だ。流石葵。では、私からみんなに言える事は二つ。民間人への被害は出来るだけ最小限に。史実の重慶爆撃の様な杜撰な計画は許されないと思え」
「分かっています。ねえさんならそう言うと思ってました」
「そして、もう一つ」
もうみんな察したのだろう。背筋を伸ばしてこちらに注視している。
「総員!! 皇国の興廃この一戦に在り、各員一層奮励努力せよ!!!!」
「「「「「「「ハッッ!!!!」」」」」」」
まさかシベリア出兵までにこんな事になるとは思わなかったけど、わたしの大切な弟の結婚式を台無しにした奴は許さない!!




