第肆拾参話 ジパング開放戦(上)
アルナさん率いる第一師団並びに、友美ちゃん率いる第二近衛師団<梅>、そしてウミちゃんを側近で護衛する第一近衛師団もウミちゃんの要望用により、長崎へ送る事になった。この計三師団を乗せた幸樹ちゃん率いる第一艦隊はわたしの号令の下、ハジメ港を出発した。それと同時に、一二三率いる第二艦隊は秘かに台北の北にある軍港から出発した。
第一艦隊は特に邪魔されることも無く、長崎港近海に近づいた。港からやまとが目視できる程に近づくと、港に居た人々は大パニックになった。
そこに追い打ちをかけるようにして幸樹ちゃんが思念伝達を応用した拡声で長崎港の人々に語り掛ける。
『我々はジパング王国の真の天皇であるウミ天皇陛下を京にお連れするためにやって来た。素直に道を開けるならば助けてやろう。しかし、未だに京に居座る賊軍の味方をし、邪魔するのであれば容赦はしない。このような運命になるのだ!! うてまえーーーー!!』
幸樹ちゃんの号令により、やまとともがみから大砲が並べられた高台目掛けて九○式艦対艦誘導弾が発射された。
シューーーー!! ドドドドドドーーーーーーンッッ!!
頑丈に構築された高台は形は残ったが、そこに居た人や大砲はあっという間に浮き飛ばされてしまった。
それを見て慌てて逃げる人達。例の岬からは、大砲を撃たれているが、全てこちらの船に当たる前に海に落ちている。
その様子を見てやまとの艦橋では幸樹ちゃんが呆れていた。
「あんなことして、球がもったいないやんか! よし! 予定通り、やってまうで! うてまえ!!」
ドゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッッッッッッ!!
やまとの主砲による轟音を聞いて、立ち止まりやまとを見る人々、次の瞬間、視線の隅にあった岬に砲弾が着弾。崩壊する岬を見て、人々の顔は真っ青になり、殆どの者が逃げる事を止めた。
ここで更に幸樹ちゃんが台本に無いアドリブをぶちかます。
『この力はウミ天皇陛下にお味方する白雪 葵姫天皇陛下のものである! 恐れ、震えて、控えるがいい!!』
「ちょっと、艦長! そんなの台本に無いじゃないですか!!」
「まぁええやん。葵姫はんの事も言っとかな、後が大変や」
「もう、後で天皇陛下に怒られても知りませんからね!」
「分かっとるわ。さぁ、さっさと上陸すんで! 邪魔する奴が居そうなら、支援砲撃するから、その準備もしといて」
「はッ!」
長崎港の主力を葬った第一艦隊は、殆ど何の抵抗も無く、三師団全てを長崎へと上陸させた。長崎へと上陸した第一師団は、長崎に潜む敵兵を殲滅しながら、我々の同志を迎え入れた。そして、長崎の町の中心ではウミちゃんが第一近衛師団と、獣人三人っ子に護衛されながら、こちらの正当性を訴えるための演説を行っていた。
そして、第二近衛師団<梅>はというと、長崎に上陸すると同時に、機甲大隊を素早く奥地に進出させ、一気に北九州を開放した。あまりにも早い進軍に、敵はまともな兵数を集めることが出来ずに、すぐさま降伏するか、少数のゲリラと化した。しかし、南進を進めると流石に敵兵の数は増えてきたが、千や二千の軍勢では僅かな足止めにしかならなかった。梅は僅か一日で九州の三分の二を開放した。翌日、鹿児島北部まで進軍すると、流石に敵は兵士を集めることができ、梅は一万二千もの敵と接敵した。こちらは一万程だったが、そんなもの敵ではない。三八式歩兵銃の射程には敵の弓や、火縄銃では到底敵わず、八九式中戦車の支援もあり、遠距離から殆どの敵を倒す事ができた。しかし、頑強に抵抗した敵は、次の日も抵抗を続けた。しかし、敵は降伏せずに長々と抵抗した事を後悔する出来事が起きた。長崎の空港が完成したのだ。そこから飛来した二十機の零戦によって敵司令部は混乱状態となり、梅による止めの突撃によって、敵の軍団は壊滅した。
結果として九州全土の開放に三日掛かったが、ジパング全土の開放に向けた地盤を固めることが出来た。しかし、未だにゲリラ部隊が多数活動しており、本土から更に二個師団送る事にした。
わたしは友美ちゃんからこの報告を聞き、一先ず肩を撫でおろした。それと同時に、今頃敵のお偉いさん、特に天皇と源ノ宮家はどんな顔をしているのか、わたしは想像するだけでニヤニヤが止まらなかった。
「さ~てと、ちょっと心苦しいけど、やりますか。源ノ宮家はどんな顔するかな~」
『葵姫、どうした?』
『長崎の空港が完成した。第二フェーズを開始せよ』
『了解……』




