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第参拾壱話 沖縄沖海戦

 幸樹ちゃんはもがみに戻り、急遽出航させた。


「艦長!! くまのより入電!! 敵艦隊後方に兵士を多数乗せたガレオン船を発見。その数、十五。兵士の予想総数千二百」


「完全に上陸部隊やん……。こうなったらちんたら走ってる場合ちゃうで!! もうエンジンあったまったやろ! 最大戦そーく!」


「最大戦そーく!」


 幸樹ちゃんは敵の総数を報告する為に、わたしと栗林夫婦に思念伝達で報告した。そしてその後、もがみは即刻くまのと合流した。


「総員! 戦闘配置につけ! 沖縄に着く前に片付けるで!」


 幸樹ちゃんはまず、敵後方の上陸部隊を叩く為に敵後方から敵艦隊に接近した。敵艦隊はパニックになりながらも、砲撃を開始した。それがこの沖縄沖海戦の始まりの合図となった。


「さっさと片付けるで! 総員! 一層奮励努力せよ!! 撃てまえ!」


「って!」


ボンッ! ボンッ!


 幸樹ちゃんの合図によってもがみとくまのからの砲撃が始まった。敵艦はみるみるうちに航行不能になり、退却し始めた。しかし、あくまでももがみとくまのは小型の護衛艦。時代遅れの蒸気船の攻撃力とはいえ、数が当たれば被害が出ないわけではない。


「艦長! 敵が多すぎます! 敵艦隊主力も迫ってきていますし、このままではもがみ、くまの共にもちません!」


「こうなったら、やるしかないな。砲撃やめ! おい! 九○式艦対艦誘導弾発射準備! こいつで敵艦隊主力を叩くで!」


 元の世界のもがみ型のVLSには新アスロックのみが搭載されており、対潜性能に優れていた。

 しかし、メルテムさんによると、この世界では潜水艦はまだ存在しておらず、わたし達はは対潜性能の重要性は今のところ低くいと判断した。

 そこで、元の世界のもがみ型の対艦兵装は一七式対艦誘導弾が八発しか装備されていなかったところを、VLSの運用を九○式艦対艦誘導弾のみにする事で解決した。だが、この世界の住人ではそれらの運用は難しく、我々のもがみ型の乗組員は全て我々と知識を共有できる臣民兵にせざるを得ないというのが現状だ。


「ついに使うんですか?」


「あぁ。一発たりとも外すなよ!! 発射準備ができ次第撃てまえ!」


 敵艦隊主力は上陸部隊と第二艦隊の間に割って入り、上陸部隊の壁となった。しか~し、うちのもがみ姉妹には通用しなーい。


チリリリリリンッッ!!


「九○式艦対艦誘導弾計四十発発射準備完了しました!」


「よっしゃー! ド派手に撃てまえ!!」


「九○式艦対艦誘導弾計四十発発射!!」


プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―、プッシュ―


 流石にこれだけの数が飛んでいくとこの世の終わりの様だったと、幸樹ちゃんは後に語った。


「だんちゃーく、今!!」


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドーーンッ!


 立派は敵艦隊は、立派な海上の焚火となった。


「案外あっけなかったな」


「やはり我が帝国海軍は最強ですな」


「しかし、美しい……」


「え、えぇ……」


 その時の幸樹ちゃんの顔は、目を大きく開き、白い歯を見せ、一人で笑っていた。


「この世は、大日本帝国(ダイヤマトテイコク)の名の下に解放される。その大義に仇名すならば、我らを温める焚火になるだろう……。アハハハハッッ!!」


 焚火と、敵の叫び声に照らされた彼女の姿は、天使ではなく、悪魔だった……。

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