第参拾話 危機迫ル
わたしと獣人三人っ子の会話が終わり、解散しようとしていた時、突然一二三から思念伝達が飛んできた。
『葵姫! 突然で済まない。大変なことになった!!』
『突然どうした!?』
『それが、インド亜大陸の先っぽから南の沖合でブルベル帝国の艦隊を捕捉した。敵艦数は三十隻。恐らく俺達は待ち伏せされた。これから接敵するとこになるだろう』
『逃げきれないの?』
『定員一杯一杯なんだ。それに長い航海でエンジンにもちょくちょく問題が出始めてる。最大船側で走り続けてもエンジンがぶっ壊れてアウト。それに、そもそもオズメン帝国の要人のメルテムさんが居るからといっても、スエズ運河を通るのに時間を有するに決まってる』
『う~ん。分かった。こっちからは攻撃しないで。まだわたし達をやりに来たとは限らないから。また何かあったら連絡して』
『了解。できるだけ逃げる』
わたしが物々しい表情で居ると、幸樹ちゃんがこっそりとわたしに話しかけてきた。
「葵姫はんどないしましたん?」
「それが、第一艦隊がブルベル帝国の艦隊を捕捉したそうで、どうやら待ち伏せしてたっぽいんだよね」
「ほんまでっか……。そうなると、こっちの海も気になりまんな……」
「そうだね。幸樹ちゃん、急いで戻ってもらえる?」
「了解やで!」
すると、心配そうにシグレ君がわたしに聴いてきた。
「あの~。どうかしましたか?」
「なんでもないよ。大丈夫。しばらくは客室に居てもらえるかな? 男女で二部屋用意したから」
「分かりました」
「それじゃ~。メイドさーん! 客室に案内したてあげて」
「承知しました」
三人が、部屋から出て行った時、廊下を慌てて走る音が聞こえた。すると、わたし達が居た応接室に一人の執事が慌てた様子で飛び込んできた。
「失礼します!!」
「どうしたの?」
「例の電報が届きました!」
「お~。瞳ちゃんが試しに作ったのを使ってみたけど、なんとか使えてるかな?」
「それよりも、中身を早く!」
わたしと幸樹ちゃんが電報の内容を見ると、『沖縄南西にてブルベル帝国の艦隊を捕捉。敵艦数三十五隻。領海内に侵入し、沖縄に向かっていると見受けられる』と書いてあった。わたしは目を疑ったが、事実ならば急がなければならない。
「幸樹ちゃん。急いでもがみで向かって!」
「分かったで!」
「後、君の名前は?」
「はい。執事のシーツと申します」
「君、重要機密の電報を勝手に見たから、再教育ね」
「ひッ! それだけはご勘弁を!!」
「だったら、さっさとくまのの艦長にもがみと合流するまで監視を続けろと電報打ってきて!」
「はッ!!」
二人は慌ただしく出ていくと命令道理に動いた。そして私は栗林夫婦に思念伝達でこの事を伝えた。
『二人共、そういう事だから、沿岸警備と住民の避難を急いで!』
『『了解しました!!』』
わたしは一二三にも現状を思念伝達で伝えた後に、今居る大日本帝国の要人達を集め、緊急の御前会議を開いた。
今回集まったのは、友美ちゃん、瞳ちゃん、アルゴさん、ワークナーさん、そしてわたしだ。わたしは現状を説明すると、全員難しい顔になった。
「これは、難しいことになりましたの……」
「一二三の戦略が裏目に出たか……」
「実際、勝てんのか?」
「もがみとくまのだけなら正直、数が多くて厳しいね」
「いざ、陸上戦になれば栗林中将と牛島中将によって沖縄やその周辺の島々はある程度守備が固められているので耐えれると思います」
「兵士の質は大丈夫なのかの? 瞳殿?」
「はい。問題は無いのであります。それに、新兵器の九〇式野砲も導入しているのでぬかり無いのであります!」
「後ね皆さんに朗報がありまーす! なんと、わたしの第二近衛師団(仮)が今沖縄で訓練中でーす! それには秘密兵器も導入してるから陸上戦では負けることは無いね!」
「ならよいのじゃが、やけにテンションがお高いの」
「そりゃね。今まで封印してたもがみとくまのの秘密兵器が使えるんだから! まだくまのは訓練中で使えないけど……」
「それでも、海上戦はきついんですかい?」
「なんせ数が多いもんで……。何隻かは取り逃がす覚悟だね……」
「それで、第一艦隊の方はどうなってるの? 葵姫」
「さっき連絡しておいた。こっちは、恐らくブルベル帝国の捕虜が居ることを伝えたら何とかなると思う。それに、もしも海戦になっても、間違いなく勝てる」
「今は、前線に居る指揮官達を信用するしかありませんな……」
「勿論。というか、わたしは常に皆さんの事を信用してますよ。ま~もし怪しい動きをすれば、再教育ですけどね」
「葵姫、それは信用してるとは言えないかも……」
「まだ粛清しないだけましですよ……」
「それもそうか……」
何故かわたしは良い事を言ったつもりなのにみんなは呆れた顔になっている。
「とにかく! わたし達に喧嘩売るとはいい度胸だ! 盛大に迎えてあげようじゃないの。わたし達大日本帝国は、お・も・て・な・し、の国なんだからさ」




