第弐拾肆話 別レ
わたし達はメルテムさん達を送るために、港に集まっていた。港では皆のさようならとありがとうがかけ合っていた。
わたしはオズマン帝国とブルベル帝国には友好の証として、それぞれ五つの織物を送り、オズメン帝国にはブルベル帝国の兵士達を丸投げするので、特別に友好の桜を贈った。
我が国からは、旗艦戦艦長門艦長兼第一艦隊司令官兼海軍大臣である一二三と大日本帝国天皇代理人として葵をオズメン帝国に送ることにした。
因みに、陸奥の艦長には元長門副艦長で漁村出身のコキマさんを任命した。
そして、大日本帝国の防衛は幸樹ちゃんを司令官としたもがみとくまので構成された第二艦隊に任せている。
正直だいぶカツカツだが、台湾と沖縄は陸軍によって防御は固めているし、第二艦隊には尖閣諸島周辺海域を重点的に警備させているから大丈夫だろう。
「アキ天皇。本当に世話になった」
「いえいえ、こちらこそ。うちのウミが迷惑をおかけするかもしれませんが、よろしくお願いします」
「任せてくれ! この子にはあたしの知る海を叩きこむからよ!」
「ウミ頑張ります!」
「うん。頑張っておいで。帰って来る頃にはきっと立派になってる事に期待してるよ」
「はい!!」
メイドさんの熱烈な指導のおかげで、ウミちゃんの喋り方がかなり悠長になってきていた。覚えは早いようだから、きっと立派になって帰って来るだろう。
「そうだ。メルテムさん。国に送るとは別にメルテムさんに贈りたい物があるんだ」
わたしが合図を出すと、後ろから執事二人が桜色のスカーフと、鍔や鞘に桜の装飾が施された刀を持って来た。
メルテムさんはかなり驚いているようだった。
「この二点を貴方に贈ります。どうぞ、使ってください」
「本当にあたしがこんなにいい物貰っていいのか!?」
「えぇ。勿論です。だってわたし達、友達じゃない!」
「あぁ。ありがたくいただいておく。お礼の品は絶対に本国に戻ったら贈る!」
「メルテムさんがまたこの国に来てくれたら、お礼の品は要らないよ」
「分かった。絶対にうまい酒を持ってまたくるぜ!」
「うん。また会う日まで」
「また会う日まで」
わたしとメルテムさんは固く握手をして別れた。彼女は船が港を出て、人が見えなくなるまで手を振っていた。そして、人が見えなくなっても、島が見えなくなるまでこの国を見つめていたそうだ。
「メルテムさん。こんな所にいては冷えますよ。中にお入りください」
「一二三殿。ああ、そういえばウミちゃんに海ってものを教えてやらないといけなかった。ありがとうな」
「いえ。その刀も気に入ってくれたようで、葵姫天皇陛下だけでなく、わたくし自身も嬉しいです」
「あぁ。本国では鬼の少将なんて言われたりしたが、これからは桜の少将でも名乗るとするよ」
「それは素晴らしいですな」
「ありがとよ。わたしはこれで失礼する」
一二三によると、その時のメルテムさんの横顔は不自然に少し濡れていたそうだ。




