第拾捌話 ハジメノ一歩
わたし達は急いで浜辺に倒れていたローブを纏った女の子を長門の治療室に運び、一二三と幸樹ちゃんに任せて、わたしと友美ちゃんそして満月ちゃんは城の客室に戻った。
その日はスッキリしないまま寝床に着いたが、こればかりはどうもできない。
「友美ちゃん? あの子どうなったかな?」
「今は長門の船医が見てくれてるからきっと大丈夫よ」
「まぁ、確かに気になりますよね。でも今気にしても何も変わらないですし、今日は海で遊んで疲れましたから寝ましょう。寝不足になっては人の事を言ってられなくなりますよ」
「そうだね。明日帰らないといけないし、さっさと寝ようか」
「「は~い」」
とは言ってもわたしはその夜、あまり眠れなかった。朝起きるとなんだかんだ言って、後の二人も寝不足の様だった。
わたしは二人と朝の身支度をしていたが、眠くて身支度をしながら半分眠っていた。
「眠いよ~。友美ちゃん」
「そんなこと言ってもしょうがないでしょ。葵姫は天皇なんだから、しっかりしてよ」
「そうですよ! これから沖縄の方々に向けてのスピーチをするんですから」
「分かったよ~。じゃ~スピーチの練習しときまーす」
「言わなくてもやってください」
「まぁ、葵姫らしくていいんじゃない? 堅苦しい天皇よりもあたし達の天皇の方がいいじゃん」
「確かに、そうですね」
普段のわたしならここで照れるところだけど、台本を持ちながら眠ってしまっていた。
そんな事をしているとあっという間に時間が来た。
城には重大発表があるという事で沖縄中の人々が集まっていた。まず最初にショウシ元王のスピーチから始まった。
「琉角王国の民よ! 今日は非常に重大な発表がある。我々は大日本帝国の庇護下につく!」
この瞬間琉角王国の民達はどよめきだす。
「彼らは知っての通り、我々を西の帝国から救ってくださった。さらに彼らはこの海に広がるアジアを西の帝国から解放し、保護するという大義名分を持っている。我々はその大義に感銘を受け、協力することにした。それでは、我らの新たなる君主、白雪 葵姫天皇陛下からお言葉を頂く。」
わたしは壇上に上がり、スピーチを始めた。
「琉角王国の民よ!! わたしが大日本帝国、そして、新たにみんなの天皇になった白雪 葵姫だ! わたし達はこの国を含めてこの海に広がる全アジアを開放し、保護する! わたし達は西の帝国に勝る軍事力を持っており、何があろうと皆の事はわたし達が守る! わたし達の兵は有事ではない時は皆に協力する事を約束する。共にこの島を発展させてゆこう! わたし達はどんな脅しにも屈しない。そして、どんな事があろうとも国民を見捨てない。わたしは、最後の1人になるまでこの大義名分へ向けて行動する。しかし、実現の為には皆の協力が必要だ。共にこの海を、アジアを救おう!!」
会場は一瞬静まり返ったが、次の瞬間、地面が揺れる程の歓声が上がった。
「「「「うおおおおぉぉぉぉーーーーーーーー!!!!」」」」
私は拳を高く上げた。その時、会場は大日本帝国とわたしへの万歳三唱が行われた。
わたし達は遂に沖縄県を手に入れた。ここから我々の野望は始まるのだ。我々は止まらない。我々は進み続ける。
その頃、長門の医務室では……。
「う、うぅ~。こ、ここは……?」




