第拾漆話 バカンス
わたし達がいる場所はそう。
「「「「「海だーーーーーーーーーッッ!!」」」」」
思えば、毎日毎日、仕事仕事仕事。ろくに遊べる日なんてほぼ無かった。だからこそ、今日はとことこん楽しむんだー!!
でもなぜか腹が立つ。推定CとDこっちに至っては測定不能、最低でもG……。一二三はどうでもいい。
「葵姫? 何ボーっとしてんの? 早く遊ぼ!」
「そうやそうや! もったいないで~!」
「そうですよ! 遊びましょ!」
「そうだぞー。それに、お前の目線がどこ向いてるかバレバレだからなー。まな板」
「「「え?」」」
「おい。一二三。ちょっと来い。海のもくずにしてやる」
「やべ!」
「待ちあがれーーーーーーッッッッ!!!!」
後から聞いたが、この時のわたしは浜辺に現れた鬼の様だったそうだ。わたしは一二三を浜辺まで追い詰めた。そこで一二三はわたしに連続で海水をかけてきた。わたしがそれに仕返しする形で一二三に海水をかけた。それが段々と盛り上がっていき、気づけばみんなでかけ合いをしていた。
わたし達は少し疲れたタイミングで、砂浜に生えているヤシの木の下で一休みしていた。
「いや~。ほんま沖縄に来れて良かったで~」
「そうだな。"アリガ"」
「だから"アリガ"ちゃうわ! "アルガ"や!! 」
「はいはい」
わたしは一二三と幸樹ちゃんがいつものノリをやっているのを眺めながら、波の音に耳を傾けてウトウトしていた。
「ねぇ。葵姫?」
「何? 友美ちゃん?」
「競争しない?」
「競争って言っても、どうするの?」
「そうだな。じゃ~。あのちょっと沖に行った所にある岩まで行って、先に帰って来た方が勝ちってのは?」
「お! いいね~」
「それやったらうちもやりまっせ!!」
「じゃ~わたしはスタートやりますね」
「俺は万が一に備えてアップしとくわ。二人はウキがついてるけど一人は全くだしな!! ガハハ!」
「おい。一二三。やっぱお前、海のもくずにするわ」
「やべ!」
「それに! どうせ寧ろ重いし、抵抗があって重いだけだし……!」
「葵姫。わたしは葵姫のだって可愛らしいと思うよ」
「そうや! こんなんなくてええよ!」
「そうですよ! 葵姫先輩。こんなのあっても邪魔なだけですし」
「うるさい! 持つ者に、持たない者の気持ちが分かるか……! それに今のわたしには嫌味にしか聞こえないから止めて……」
「「「アハハ……」」」
「くそーー!! こうなったら絶対負けられるかーー!! 行くよーー!!」
「逆に薪にしやがった……」
「このポジティブなとこが葵姫のいいとこなんだけどね~」
「じゃ~行きますよ~!! よ~い! スタート!!」
わたし達は一斉に走り出して海に飛び込んだ。やはり2人は元々運動神経がいいからなかなかやるけど、わたしの気合と悲しみと嫉妬には敵わない!! わたしは一番で岩を折り返して、そのままぶっちぎりで戻ってきた。その次に友美ちゃん、幸樹ちゃんといった順番だった。
なんだか胸の小さい順になっているような気がしたが、きっと気のせいだ! うん!!
「よっしゃー!!」
「「はぁ、はぁ、負けたーー!!」」
「根性論って、大事なんだな……」
「そうですね……」
わたし達は、波の音を聞いたりして休みながら、ビーチフラッグや、ただ単に海に浮かんだりして夕方まで遊んだ。
「よし! そろそろ帰るか~」
「そうだね~。にしてもシャワー浴びたい。一二三か幸樹ちゃんシャワー貸して~」
「あたしも~」
「わたしもお願いします」
「分かったよ。長門の方が広いからそっちを女子が使え」
「俺はもがみの方を使う」
「「「ありがと~!」」」
「でもうち、一応もがみの艦長よな?」
「一応一二三は海軍大臣兼連合艦隊艦長なんだからいいんじゃない?」
「あ。その事なんだがな。葵姫」
「何? どうした?」
「造船も葵に引き継いでくれないか? とてもじゃないが現場と政治と造船の三つのわらじはきつい」
「分かった。じゃ~帰ったら、葵に頼んでみよ」
「分かった。ありがとな」
そんな会話をして、砂浜を去ろうとした時、砂浜に何かが打ち上がった。
わたし達は、形を見てまさかと思い、慌てて近づいてみるとそこにはなんとわたしよりも少し小さい、ローブを纏った女の子が倒れていた。
イラスト ルイ Twitter→@sokona726




