第拾弐話 進水式
オズメン帝国の者達が暴れた日から一週間、彼らはあの事件の償いをするようにインフラの整備の手伝いや、文化、技術の伝授などを積極的に行ってくれた。
そして遂に、我々の誇りとなる艦艇のお披露目式が行われるのだ!!
その日は完成された港にオズメン帝国の人達を含め、みんなが集まっていた。そして港には特別に高台が用意され、後ろには巨大な赤いカーテンが架かっていた。そして、司会進行として、葵と、壇上の中心に私が女王として鎮座していた。
葵は指定された時刻になると、思念伝達を工夫して使い、後ろの人にも声が聞こえるようにした。
「今日、この日を迎えられたことを光栄に思います。この度、司会を務めさせていただきます。白雪 葵と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。では、早速女王陛下から開会のご挨拶をいただきます」
わたしは自分の椅子から立ち上がり、中央の前に行くと、葵と同じように思念伝達を発動させた。
「今回浸水する主力艦そして護衛艦、計二隻は我らが日本王国の誇りとなり、希望となるだろう! 我々はこれらの艦艇を先人とし、必ずや、この海を西の帝国の脅威から解放し、自由で開かれた太平洋を実現する! そして、我々はこれより沖縄、日本列島を支配下に置き、西の帝国に対抗できる国力を所有することを目標とする! 勿論、武力での征服は行わない! 対話での理想の達成を目指す! 最後に、皆さんに報告を行います。これより、我々の国名は日本王国を改め、大日本帝国とする! この帝国の名は、自由で開かれた太平洋を象徴する名となるだろう! そしてわたしはこれより、女王でも、女帝でもない、“天皇“となる!! わたしはこれから、葵姫天皇だ!!」
その瞬間、国民から盛大な歓声が上がった。
「では、次に、山本 一二三海軍大臣から大日本帝国初の艦艇の発表を行います」
一二三は左手から壇上に上がり、わたしにかぶらない位置で、前に出た。
「我々大日本帝国が初めて保有する主力艦、そして護衛艦はこちらです!!」
その言葉と同時に、後ろのカーテンが落ち、わたしの後ろの左右に二隻の艦艇が姿を現した。その瞬間会場からは再び歓声が上がった。
「まず、護衛艦であるフリゲート艦から紹介する。この艦の名は、“もがみ“とし、水上、水中、上空での戦闘を可能にし、極秘のエネルギーにより、長期的な作戦が可能になっている! そして、主力艦の名は、戦艦“長門“とし、西の帝国にも負けない四十一センチの主砲、装甲は最大三百五ミリを保有しており、長門も極秘のエネルギーにより長期的な作戦が可能になっている! この二隻、もがみと長門が我々大日本帝国の誇りと希望となるだろう!」
一二三のスピーチが終わると、大歓声と共に、オズメン帝国の人達が頭を抱えてしゃがみ始めた。やはり、この世界の人達からしたら異次元の船だったのだろう。
そんなオズメン帝国の人達を後ろ目に、式典はそのまま進んだ。わたしと一二三が、シャンパンをもがみと長門にそれぞれぶつけ、一二三が壇上から降りると、再び葵が話し始めた。
「オズマン帝国の方々は航路が確定し、もがみと長門の船員達の訓練がある程度完了し次第、もがみと長門で必ず送り届けることをお約束します。これをもちまして、もがみ、長門の進水式を終了いたします」
わたし達は式典が終わると、そのまま転移組全員と共に皇居に戻り、会議室に集まった。
「「「「「「「「カンパ――――――イ!!!!」」」」」」」」
わたし達はお酒や食べ物なんかを持ち寄り、小規模ながらパーティーを開いた。
「一二三そして有賀ちゃん。とりあえず、ご苦労様でした!」
「ほんと、無事に浸水して良かった……」
一二三は脱力してその場に倒れこんでしまった。
「ほんまやで! うちが監修した港も、急いで作った割にはしっかりしてたやろ?」
そう。わたしは突貫工事でお願いしたので木でできたお粗末なのでも別にいいやと思っていたのだが、幸樹ちゃんはちゃんと石材などを使ったしっかりした物ができていたのだ。
「いや~流石だよな~。"アリガ”!!」
「"アリガ"ちゃうわ!! "アルガ”や!!」
「なんだかこの会話も久しぶりですね」
「そうですね。わたしもインフラ整備や訓練の指導で疲れました」
「俺も~」
「確かにそこのカップルにも結構な量の仕事頼んでるしね。デートの時間作れなくてごめんね」
「「全然大丈夫です! あとカップルじゃありません!!」」
仲いいな~。
「ひふみんも、大仕事が終わったんだから、とりあえず飲んで飲んで~!」
「あぁ。悪いな」
こうしてみんなで集まってたわいのない話をするのは懐かしくもあり、楽しかった。
そうして、みんなでどんちゃん騒ぎしていると、会議室の扉をノックする音が聞こえた。葵が扉を開けると、アルゴさん、アルナさん、サガちゃん、ワークナーさん、そして、まだ放心状態のメルテムさんが居た。
「皆さんだけでお祝いとは、ずるいですぞ」
「お姉ちゃん達~! 仲間に入れて~!」
こんなかわいい子に言われては断れるわけもなく、皆さんも混ざってどんちゃん騒ぎは継続された。途中、完全に酔ったメルテムさんが高身長なのを生かし、わたしをバックハグする形で絡んできた。
「天皇さんよ~!! なんだよあの船は!! あたしでも見たこともね~くれい強そうじゃね~か!! それに港も最低限だけどしっかりしてたしよ~! なんなんだよこの国は~!!」
「ま、まぁおほめ頂き光栄です」
「天皇さんよ~! あんたがあたしのことを盟友だっつったんだから、あんたもため口でいこうぜ~!」
完全にうざい酔っ払いになってるし、しかも、力が強くて痛い!! これ暗殺じゃないよね!? 加えて文字通り当てつけてきやがってる!! 当たってるよ!! 豊満なのが当たってるよ!!
無いわたしに当てつけてくるのが無性に腹が立って殴りたくなったが、祝いの席なのでよしておいた。
それに、みんながとても楽しそうなのに、この空気を壊してはいけないしね!
こんなゆる~い国家でも、楽しくて、みんなが居ればそれでいい!
画像→Wikipediaより




