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第玖話 緊張ト安ラギ

 第一回御前会議が終了して二週間後、わたしがいつものよに、上がってくる報告の確認や、食料問題を解決するための漁業を考えていると、誰かがノックした。


「失礼します! 姉さん」


 どうやら葵らしい。それもどうも慌ててる感じだ。


「どうぞ。どうしたの?」


 すると葵はかなり慌てた様子で話し出した。


「大変なんですよ! 先程海岸に打ち上げられている男性を発見したという報告がありまして」


「うん。確かに大変だけど、ちゃんと治療したらそれで終わりじゃないの?」


「それが、今はまだ気を失っているようですが、気を失う前に『仲間が……』と言い残したようです」


「何!? 最近嵐が来てたし、それ絶対沖合で船沈没してるじゃん!! 急いで全漁船と一二三に護衛艦だけでもいいから吐き出させるように伝えてくれ!! 手遅れかもしれないけど、遺体だけでも回収して! それと、皇居を使ってもいいから、病棟の確保もさせて! 足りなかったらワークナーさんに簡易的な物を作らせて!」


「分かりました!!」


 すると、葵は、走ってわたしの事務室から出て行った。

 捜索は国の漁師達総出で行われた。

 護衛艦は流石に製作が完了していなかったが、現在一二三が身を削って、簡易的なボートを製作してくれている。

 そうしていると、遭難者が見つかった沖合で人々が浮かんでいるのが発見された。まだ意識のある人もいれば、危うい状態の人も存在した。その人達は全員救出されたが、もう既にこと切れてしまっている方が全体の約半数に及んだ。しかし、逆に言えば、約半数の人を救うことができたのだ。その人達は、国中の医療施設や簡易住宅、そして皇居の庭に運ばれた。

 それからしばらくして、ある程度落ち着いた時にわたしの事務室には葵と友美ちゃんそして一二三が来ていた。


「とりあえず、ひと段落付きましたね」


「まさかこんなことになるとはな。でもすまなかったな。護衛艦だけでもできてれば、もう少しは人を救えたかもしれないのに……」


「それは仕方ないよ。余裕を与えたのはわたしだしね」


「そうそう。そのことで考えてる暇があったら、まずはあの人達をどうするか考えないと」


「確かにな。元の国に送るとしても、現状うちの国にはそんな大型船は無いからな……」


「これは、大型船ができるまで待つしかないね。今建造中の船に加えてもう一隻いるだろうけど……」


「その点は任せといてくれ。責任を持ってできる限りを尽くす」


「期待してるよ」 


「おう!」


 わたしは話に区切りがつくと、自分の椅子にもたれかかってため息を吐いた。


「姉さんも疲れてるんじゃないですか?」


「そんなことないよ~」


 すると、全員が怪しむような表情でわたしを見てきた。


「そうだ! 葵姫! 明日はわたしと一緒に式典用のドレスでも決めない?」


「あ~。そういえば、決めるように言われてたな~。自分の事だから後回しにして忘れてた」


「も~しっかりしてよ! もう葵姫は女王様なんだから! それにわたしも海軍大臣として何かドレス決めなきゃだし」


「そうだね。明日はその予定に変更しよう!」


「それは僕からみなさんに伝えておきますので、安心してください。急ぎの用は僕が代わりにやっておきます」


 わたしは葵に抱き着いて顔をすりすりさせた。


「ありがとう! 葵~!」


「姉さんったら……」


「「尊い……」」


 その光景を見て、後の二人は和んでいるようだった。


「そうだ。護衛艦って何になる予定なの?」


「フリゲート艦」


「因みに何型に近いの……?」


「え。もがみ型」


「最新型やないかい!!」


 わたしと友美ちゃんは揃って一二三の頭を叩いた。


「ちょっと! まだ他の国はガレー船なのよ!」


「あ。古い方の軽巡洋艦の旧もがみ?」


「いや。だから、フリゲート艦だって。二〇一九年のもがみ型」


「「オーバーパワーにも程があるわ!!」」


「あはは……」


 わたしと友美はぶち切れ、葵も流石に苦笑していた。


「待て待て。流石にヘリは無いから!! まぁ、対潜及び対空設備は外してないし主砲は勿論、いろんな設備がオート化されてるけど……」


「「呆れた……」」


「え~と。因みに燃料と、弾薬はどうするんですか?」


「あ~。燃料は原子力で、弾薬に関しても、友美の三八式歩兵銃と同じで俺のスキルで生成できる」


バシッ!!


 友美ちゃんは一二三の頭を叩き、わたしと、葵は呆れ返っていた。


「なんで、元の世界より進んでるのよ!! まだこっちは大艦巨砲主義にも至ってないのよ!! もしかして葵姫がこんな注文したの?」


 その時の友美ちゃんの顔はまさに鬼だった。


「いや! わたしは、石炭でもいいから、できれば燃費のいい護衛艦を造ってほしいと言っただけです! 友美さん!」


「いやだって燃費がいいと言ったら原子力だろ? それで、原子力の発電力があれば弾薬を使わない高威力のレールガンできるんじゃね!? と思って、やってみたらレールガンはまだ試行錯誤中だけど、原子力を使ったエンジンができちゃった」


「なんで一二三のスキルだけインフレしてるの……」


「でも、もう一個の大型の方は注文通りにしてるぞ! 原子力で、他にも改造してるだけど!」


「もうそれは、別物……」


「わたし、先を見据えて注文したのを後悔した……」


 わたし達は、一二三以外疲れ切っていた。だがこうして久しぶりに集まって話せたのはとても楽しかった。

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