時間飛行
夜に輝き出す街の
端っこで今日をながめてる
虚無な群衆のなかで
ひそかに恋をするひとがいて
名前をつぶやくのと
哲学を求めるのは永遠
宇宙をまな板に載せて
喰えない部位を切り落として
残ったちっぽけな腑を
今日は愛と呼ぼう
真夜中に溶けていく雑踏
わたしから切り離される正答
世界は今日も正しく廻る
ただしわたしの与り知らぬところで
輝きは
眼に痛いから
午前三時までフライト
わたしだけが食べられる宇宙
夜空 成層圏 腕を広げ
星空だけが受け止めてくれる
正しさよりも
愛しさがほしい
煙草のにおいが懐かしいこともある
ひとりが残響する空で
時間飛行の要領で
あすの時刻まで