Chapter7 夢
最近起きているはずなのに夢を見る。
幻覚というヤツだろうか。
頭が飛んでいきそうな程にフワフワして何だか心地良い。
夢の内容は、最近の事のはずなのに、大分遠い記憶…………。
――――あるいは、一緒にモダと家の庭を駆け回った思い出。
モダはバケモンの癖に足が遅かった。
だけど翼を使って飛ぶとすぐに捕まる。だから翼は使用禁止にした。
――――あるいは、モダと一緒にベッドで眠った思い出。
モダは寝相が大層悪かった。
何度も顔を蹴られて起こされたから、私も寝ているふりをして蹴り飛ばしてやった。
そしたら、次の日は私の髪をチリチリに燃やされていた。
あの悪戯笑みは忘れない。
――――あるいは、空爆でお父さんとお母さんごと家が木っ端微塵になった思い出。
泣いた。人生でこれでもかってくらい泣いた。
大切な人を二人も亡くして泣いて、そして激怒した。
なんで私だけが死ななかったんだろう。
そう思ってたら、モダが慰めてくれた。
そうだった……そこで私は一人じゃないと思い出したんだ…………。
――――あるいは、モダと食卓を囲んだ思い出。
私が嫌いなものが出ると、決まってモダに食べてもらっていた。
モダは文句を言いながらもなんだかんだで食べてくれた。
優しいモダが大好きだった。
そういえば、モダが食事をしているところを見たことないな…………。
そうだ、いつまでも夢見てないで今日の分をあげなきゃ。
私は二十センチ大のパン屑をモダに――――
ああ、やっと来た……。