Chapter5 戦争
最近空を仰ぐのが癖になってしまった。
「ねえモダ、なんで戦争なんかしてるのかな」
次々に落とされる私が居た元国側の戦闘飛空船を他人事のように眺める。
「愚問だねチト。生物が戦争をする理由は共通してただ1つだけだよ。奪略さ」
こちらもまた他人事のように足元で這うバケモン、モダが講釈垂れた。
「人の物が欲しいから戦争をするの? まるで子供」
「そういうものだよ戦争ってのは。特に人間のする戦争はね」
「バケモンは戦争をしないの?」
「しないよ、ボク達は自分達以外のモノには基本興味が無いから」
ふうんと相槌を打っている間に、宙の戦闘飛空船がまた一艇弾けた。
「それは、なんとも平和的だね」
「全くだね。キミたち人間も見習ったらどうだい?」
「無理だよ、あっちが独り占めをやめるか、こっちが奪おうとしようとしない限りは」
やれやれと言いながら、モダは人間のように首を振って呆れて見せた。
「譲歩って言葉を知らないのか人間は。半分づつ分け合ったり色々方法はあるだろうに」
「それは無理」
あまりにもきっぱりと否定したものだから、モダは面食らってギョッとしている。
「半分づつなんて無理。だってそんな余裕どちらにも無いもの」
また共和国がやられた。やはり亡命という選択は間違っていなかった。
途端、ぐうと腹の音が鳴った。イライラする。
私は八センチ大のパン屑をモダに与えた。