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Chapter3 余命
国から出てきてこれで何日目だろう。
今歩いている岩山の先にはまたも大きな集落。先は長い。
精神的には大丈夫。海に渡るための手段も滞りない。
だからなんの心配もない。
だけど、唯一心配なのは。
「あと何日もつかな」
私は半分になったパンを手に見つめながら呟いた。
「そんなことして楽しい?」
足元のバケモン、モダが怪訝な目で避難してくる。
「何のこと?」
「そうやってボクを弄んで楽しいかって言ってるんだよ」
言われて、ああ、と思い出した。
「うん楽しい」
「やっぱり人間ってのは悪趣味だ。禍物なんかよりよっぽど悪魔だ」
「空腹は最高のスパイスというでしょう? こうして視覚的にいつ食べれるかなって焦らしたほうが、その時になった時の味は最高だと思うから」
「悪魔」
悪魔、まあ間違ではない。
まあ、どちらかといえば、死神の方がしっくりくるけれど。
私が持っているパンは、モダの残りの寿命だ。
これが完全に無くなった時、私はモダを食べるつもりだ。
私は五センチ大のパン屑をモダに与えた。