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パーティに入ろう

「すいません、この子あなたを見て驚いちゃったみたいで」


 壁を解除すると謝られた。

 現れたのは三人の男女のパーティだ。


 一人は大きな剣を背負った俺と年齢が同じくらいに見えるカインという男だ。

 髭が似合う色男でがっしりとした体格の男だ。恐らく剣士だろう。


 もう一人はニコニコとした笑みを浮かべている綺麗なミアナという女性だ。

 こちらも自分と同じくらいの年齢に見え、軽装で細身の剣を持っている。恐らく剣士だろう。


 そしてもう一人、無言で警戒心むき出しで見てくるのはルウという少女だ。

 魔導士っぽい服装をしている事から恐らく魔導士で間違いないだろう。

 年齢は十代中盤に見える、身長は小柄で細いが冒険者をしているだけあってそれなりに引き締まっているように見える。胸は大きくないが何より顔はとても可愛い。


 銀色の髪と目は日本で見た事のなくて思わず見てしまう。

 あまりにもじっと見すぎたせいかルウとかいう少女が不機嫌そうにこっちを睨んでいる。

 思わず目を逸らしながらミアナさんに話しかける。


「えっと、いえいえその……こちらこそ変な物を作ってしまいすいません」

「……俺は剣士だからよくわからねえけど地属性魔法って奴か?」

「いえ、地属性とは違う奴です」

「……ふーん、ジョブは何だよ?」

「コンクリート開拓士です」


 言った瞬間、銀髪ロリは顔を顰めた。


「こんくりーとかいたくし?」

「おいおい、なんだそりゃ。聞いた事ねえぞ」


 カインはちらりと隣のミアナを見る。

 ミアナはというと首を傾げる。


「さあ、私も知らないわ。……けど色んなパーティに加入を断られた人の事は知ってるわ。確か珍しいジョブだったって話」


 へえ、噂になってんのか、ろくな噂じゃなさそうだけどな。


「ソロでここにいるって事は結局パーティに入れてもらえなかったってわけか。お前攻撃魔法とかは使えるのか?」

「いえ、何も……」

「そうか、持ってる武器は……って何だお前スコップなんか装備して。いや待て、俺もギルド直結の武器屋で聞いたぞ。剣やナイフに目もくれず錆びたスコップを持ってった変わり者の冒険者の話」


 目もくれずっていうか剣もナイフも装備出来なかっただけなんだけど……。

 カインはじろじろと俺を見る。


「攻撃魔法もなく持ってんのはスコップじゃさっきまでいたコボルドにも勝てそうにねえな」

「そうねえ、初心者なんでしょうね」

「えっと、さっきのコボルドの群れは……」

「ああ、俺らが倒しておいたぜ、あいつら必死に壁を壊そうとしてたのか俺らが近づいても全然気づいてなかったからな」

「余裕だったわね」


 ミアナは微笑みながらちらっとカインに視線を飛ばす。


「ねえ」

「ああ、お前はそういう奴だよな、世話好きな奴だ」


 カインは頷いてから俺に笑いかける。


「なあ、お前パーティ探してんだろ? 一時的にだがパーティに入らねえか?」

「パーティですか?」

「ああ、俺らとある調査をしててな、人手がいるんだ」

「あなたが良かったら……だけど」


 二人は俺の様子を窺っている。

 どうやらこの人たちは良い人の様だ、俺をパーティに入れてくれるなんて。


「じゃ、じゃあお願いしま……」

「不細工」


 ずっと険しい顔をしていた銀髪ロリが呟いた。


「こんな不細工と一緒のパーティなんて嫌よ」


 こいつちょっと自分が可愛いからって……と反論の一つでもしようとしたところでカインが急に黙り俺をじろじろと見てくる。


「確かにお前随分と不細工だな」

「…………」


 ファッツ? 今なんていったこいつ。


「不細工」

「ちょっと二人とも、そういうのは言うもんじゃないわ、彼だって好きで不細工なわけじゃないわ」


 ミアナさんまでなんときつい一撃だろう。

 俺は思わず近くの木に身体を預けてしまう。

 本当の所逃げだしたかったがショックでそれどころじゃなかった。

 俺、自分で思ってたよりも不細工だったのか……。

 ショックで打ちひしがれているとルウという少女がいきなり俺の腕を触ってくる。


「…………っ!?」


 驚きで声にならない声を出しているとルウは二度ほど頷く。


「うん、やっぱり見た目通り不細工ね」

「そうか、努力が足りないな」


 そんな改めて……って待て。

 何かおかしくないか?


「かっこいいは作れるのにもったいないわね」

「……あの、ちょっと良いですか?」

「何か?」

「俺の顔そんなに不細工ですか?」


 違和感を感じて聞くと三人はお互い顔を見合わせてから俺の顔をまじまじと見る。


「顔は別に……なあ?」

「そうねえ、どちらかと言えば悪くない方だけど……」


 と言いながら三人の目線が下に向かっていく。

 主に俺の身体を見てだ。

 何だろう、何かこの人らの言う不細工は俺の思っている不細工と何かが違う気がする。


「まあでも見た目でどうこう言うのは良くねえよ」

「そうね、人間中身よね」

「中身って、でもこいつ壁しか作れないんでしょう? 仲間に入れたって足を引っ張るだけよ」

「おい、ルウ」

「だってカイン、貴方だって見たでしょう? コボルドすら倒せなかった奴よ」

「最初はそんなもんだろう、お前だって魔法を覚えるまでは似たようなもんだったろう」

「そうねえ、出会った頃のルウなんて……」

「私の事はどうでも良いでしょう!」


 銀髪ロリは怒りながら俺を睨む。そして。


「ふん、好きにすればいいわ」


 不機嫌そうにそっぽを向いた。


「困った子ねえ……まあ、えっと……ぶさ……三浦さんでしたっけ? 一緒に行きましょう」

「おう、ぶ……三浦、一緒に調査しようぜ」

「…………」


 こうして俺は三人と一時的にパーティを組み一緒に調査をする事となった。


 パーティ選び失敗したかな……と若干思いつつ。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

毎日更新は難しいかもしれないですが出来る限り早く更新しますので、今後ともよろしくお願いします。

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