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学長選3

「すいません……嘘ついてました。本当は学長になりたいです。でも筋肉連はデルコイ教授の方に付いてるし、ついでに言えば死にたくなくて……ごめんなさいごめんなさい」


 現在部屋の隅に隠れてぶるぶると震えているのはミーア教授だ。

 ユウハ様と言い、この学校の教授達は二面性が無ければ務まらないのだろうか?


「おい、ユウハ様。こいつ何とかしてくれよ。話になんねーぞ」

「なんとかと言われても、筋肉連も敵に回ってるとなればなかなか難しいものがあるっていうか……」


 ユウハ様まで腕を組んでうんうん唸っている。

 ていうか今変な単語出てこなかった?


「あのさ、一応聞くけどその……筋肉連って何?」


 嫌な予感しかしない単語を聞くとユウハ様は顔を顰める。


「筋肉連とは筋肉を鍛える事、良質な筋肉を持っている者、良質な筋肉を作る事に命をかけている学閥集団で、たとえ学会の論文が正当な物でも、そいつらが納得するような筋肉賄賂を贈らなければ難癖をつけ、論文にケチをつけまくる厄介な奴らだ」

「それって力あるのか?」

「あるさ、学会において相当発言権がある。私はそれによって潰された位だ。糞、筋肉賄賂を贈っておけば良かったと今になって後悔している」


 ユウハ様が真面目な顔で説明すればするほど俺は首を横におとしてしまう。

 そもそも学閥集団? 筋肉に命をかけているのに?

 更に言えば筋肉賄賂って何、流石にパワーワードすぎないか?


「ここって学術都市だよな? 何でそんなわけの分からない集団に発言権が存在してるんだ?」

「それは……お前なら分かるだろう?」

「…………?」


 さっぱり意味が分からない。

 そんな脳みそが筋肉になってそうな問いかけを俺にするな、分かってたまるか。


「分からない」

「神様だ」

「あー……」


 納得、神様ね。脳筋の神様共ね。あいつらならやりそうだ。

 千年も意味のないどうでも良い戦争をしている輩だし、強いていえば向井の奴とか関わってそうだ。


「向井か? どうせコンスタドール向井だろう?」

「いや、違う」


 え、じゃあ川崎? マキシマム川崎の方か?

 でも向井の話だとあいつそういう事しなそうな感じするけどな、中立的って聞いたし。


「この学術都市建設の際ヘイゼル公に資金提供をしたらしくて、その際に条件として筋肉連を作ってしまったんだ、そう。神ライブラハートみくにゃん様が」

「…………なんて?」

「聞こえなかったのか? ライブラハートみくにゃん様だ」


 思わずこめかみを押さえてしまう。

 もう四人目だし今更だけどさ、神様のネーミングもう少し何とかならない?


「一応聞くけどそいつどんな神様なの?」

「私は会った事が無いが聞いた話だと容姿は美しく、褐色肌で胸は大きくムチムチしているらしい、更に言えば下半身が筋肉質で大腿四頭筋? が引き締まっている神様だと聞いている」

「やっぱり女の神様か。そんな感じか」


 話を聞く感じだとエロそうであってみたい気もするが性格が向井みたいなやつだとしたら、ほぼ間違いなく人の話を聞かないだろうなあ……。


「にしてもどうするよこれ」


 俺は隅で震えているだけで使い物にならなそうなミーア教授を見る。


「ふむ、私は彼女が懸念していた二つを解決すれば大丈夫なんじゃないかと思っている」

「二つ?」

「筋肉連の説得とデルコイ教授に彼女を殺させない……という事だ。前者は不可能に近いと思うが意味は分かる。ただ後者はもう少し話を聞きたい」


 見るとミーア教授が涙目になりながらちらっとこっちを見る。


「ロハ学長が死んでユウハ教授がいなくなってから急にデルコイ教授の対抗馬に上がった人が皆消息不明になってる、多分殺されたんじゃないかって」

「へえ、それは怪しいな」

「怪しい、怖い、私結界魔法しか使えない、死にたくない」


 ミーア教授が急に片言になったのは置いといて、確かにそれは怪しすぎる。

 ふとユウハ様を見る。

 ユウハ様は他人事のように聞いている、もしかしてレーゼフォンだかっていう神様にスカウトされてここを離れなかったらユウハ様も消息不明になってたんじゃね……?

 ……まあ、何もなかっただけ良かったという事にしておこう。

 とりあえずだ。


「分かった、じゃあ俺らが筋肉連を説得してついでにデルコイ教授を何とかするから、代わりにお前学長選に出てくれ」

「私? 私に協力してくれるの?」


 あ、ちょっとだけ目に光が入った。


「一応力は貸すよ。上手く出来るかは知らんけど。それでどうだよ」

「分かった、やってくれたなら……」


 ぎこちなくだが頷いてくれた。


「よし、んじゃ筋肉連を説得に行きますか。ユウハ様、そいつらはどこにいるんだ?」

「うーん、言い出しといてなんだが本当に行くのか? あいつらって本当に話が通じない輩だぞ? 正直関わりたくない」

「んな事言ったって行って説得しなきゃ話が進まないんだならやるしかないだろう。頼むよ、案内だけでもしてくれ。最悪会話に入ってこなくても良いからさ」

「……分かった、どうなっても知らないからな」


 ユウハ様はしぶしぶ頷いた。

お久しぶりです。左手の痛みがぶり返して暫く休んでいました、すいません。

ただようやく左手も良くなりましたので徐々に書き始める予定です。

良かったらまた暇つぶしにでも読んで頂けたらと思います、今後ともよろしくお願いいたします。

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