ギルドへ行って自分の適性職業を知ろう
どうやら俺は無事に転生出来た様だ。
起き上がると真っ白な部屋という事は無く。
視界に入ってくるのは今まで見た事のない世界だ。
川に掛かっているのは石で作られたアーチ状の橋。
家も道も石で出来ている。
更に街の奥には石で作られた大きな建物のようなものもある。
続けて視界を下に向けると、往来を歩くのは人や獣の耳としっぽを生やした獣人っぽい奴、更に言えば皆、剣やら杖やらと言った武器を持っている。
異世界。
そう、異世界である。
俺は日本から異世界へ転生したのだ。
「聞いたか、東の森にバッファローメイジが現れたって話」
「ええ、コボルドの群れの話だろ?」
何を言っているのかも分かる。
言語能力も問題ない。
流石は神様、マッチョなだけじゃないぜ。
少しの間周囲の様子を窺ってからさてどうするかと考えてみる。
「ギルド」
頭に浮かんだのは異世界版職業安定所的な場所。
俺がやっていたゲームでも大体ギルドという物が存在していた。
「ちょいちょい人に聞きながら探してみるか」
☆☆☆
人に聞きまくった結果、ようやくギルドに着いたので早速入ってみた。
「広いなぁ……」
外から見た段階で相当でかい建物だとは思っていたが中は更に広い。
広間は吹き抜けで二階で飲んでいる屈強そうな奴らの姿が見える。
右手を見れば掲示板で人だかりが出来ていて、左は酒場になっているのかバーテンみたいな奴が存在しており、多数の机とウエイトレス、そして奥に階段があり、そこから二階に上がれるようだ。
ともかく、登録をしなければ。
空いている受付に並んだ。
「すいませーん」
声をかけると奥から出てきたのは顔に入れ墨が入った筋肉ムキムキ、眼帯を付け鋭い眼光のいかにも歴戦の猛者感を出したおっさんである。
「……何か?」
不機嫌そうである。
更に言えば低く、滅茶苦茶渋い声だ。
てか普通こういう所の受付って可愛い女の子が相場じゃね?
何でこんないかにもな人が現れんの。
内心ビビりながら、こそこそ目を逸らしながら口を開く。
「その……ここで冒険者的なものになりたいなと考えてまして……」
「冒険者志望か、歳は?」
「25です」
言うや否や受付のおっさんはじろじろと俺の身体を見た。
「ふん、じゃあこの紙に書け」
「はい」
言われた通りに書いていると受付のおっさんが俺の紙を見て目を細める。
「何か?」
「その無職ッてどんな職業だ?」
「いえ、その……自宅を警備する的な自由職っていうか……」
無職の説明なんてさせるんじゃねえよ、気まずいわ。
「よくわかんねえけど適当なもん書くな、ちょっと待ってろ」
おっさんは紙を受け取ってから奥に引っ込むと、暫くして出てきた。
「待ったか」
「少し……」
「…………」
「ぜ、全然待ってないす」
睨まれたから思わず嘘ついちまった。
睨むくらいなら待ったかなんて聞くんじゃねえよ。
お前は俺の彼女か。
「ほら」
おっさんが一枚のカードを差し出してくる。
「何すかこれ」
「良いから持てよ」
「は、はい」
言われてしぶしぶ持つとカードが淡く光った気がする。
そして名前の下の空間に文字が浮かび上がっていく。
「そいつは特別な素材で作られたギルドカードだ、持てばお前の生命力に反応して適性ジョブが決定される。それで頑張れ」
なるほど、便利アイテムってわけだな。
やべえ、こういうの俺すげえ好きなんだけど。
俺の適性ジョブは何になるんだろう。
まあでもあのマッチョ神にお願いした位だからきっと凄い適性になるは……ず。
「…………」
「出たか」
「…………」
「何だ、黙りやがって見せてみろ」
おっさんが黙り込む俺からカードを奪う。
「んーと、職業は……コンクリート開拓士?」
眉間に皺を寄せながら俺を見てくる。
「なんだこりゃ」
「…………」
祝、俺の異世界での職業が決まりました。
『コンクリート開拓士』
あのマッチョ野郎、次会ったら執拗に股間に蹴り入れて悶絶させてやる。
☆☆☆
ギルドカード
名前 三浦冬馬
ジョブ コンクリート開拓士
ジョブレベル1
スキル コンクリート魔法
習得魔法 コンクリートウォール
耐久力 362
魔力 7800
筋力 34
敏捷力 50
知力 72
運 2
☆☆☆