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学術都市キーン3

 拝啓

 父上様、母上様。

 僕は今異世界に来ております。

 神のいたずらで出会った可愛い女の子とちょっと旅に出て良い感じになりそうだったのですが。

 どういう運命のいたずらなのか。

 美少女ルートからイケメンルートへと変わりそうです。

 敬具


「いやいやいや、待てよ。何で俺?」


 俺じゃないでしょう? ユウハ様、そうユウハ様じゃなかったの?

 ユウハ様を指さすがイケメンは振り向いた俺の両肩を抱き真顔で言う。


「隣のミニミ族じゃない、お前だ。お前が良いんだ」

「いい、いいって。俺はそういう趣味無いから」

「わがままだな、分かったじゃあそこのミニミ族の娘も付けるから」

「付けるって何? 3P? 三人でとか経験無いっていうか余計無理なんだけど! 俺は最初は普通が良いの! つかお前は一体誰なんだよ」


 店から出てもついてきて服を引っ張ってくるイケメンを邪険に扱うとイケメンは、手を放してくれた。


「おお、そういえばしっかりした自己紹介がまだだったな。我は十魔王の一人、死霊の王、チェリッシュ・ガイラルである、貴様は特別にガイラル様……と呼ばせてやる」

「呼ば……え、魔王?」


 何こいつ魔王なの? この世界に魔王がいるって話は聞いてたけど登場まで速くないか?

 もしかしたら嘘なんじゃないかと、死霊の王とか妄想で生きてるやばい奴なんじゃないかと思い隣のユウハ様を見るとユウハ様は諦めたような顔で頷く。


「前にしおり……神様から聞いたことがあるから分かるが、この方が言っているのは正しい。死霊の王、不死のノーライフキングチェリッシュ・ガイラルで間違いない」


 マジかよ、何でこんなRPGで言えばラスボスに近いような奴と出会うんだよ。つかこいつ馬車に一緒に載ってたろ。

 魔王のくせに平凡な乗り合いの馬車でエンカウントとか作りが雑にもほどがある。

 RPGツクールでももっとマシな作りしてんぞ。

 突然の事で反応に困ったが暫く一人で突っ込んでたら徐々に落ち着いてきた。


「んで、そのガイラルさんが一体俺に何をしろって?」

「ふむ……言ってなかったか。ならば改めて言おう。貴様、俺の部下になれ!」

「断る!」


☆☆☆


「は?」


 断言したらガイラルじゃなくユウハ様が唖然とした顔で声を絞り出す。


「おま、え? 本当に良いのか? この魔王から誘われるってお前相当凄いぞ」

「何が凄いんだよ、お互いよく知らねえのにどうせ理由とかねえだろ」

「いや、理由はある」


 ガイラルが言い切る。


「まず、貴様はそのミニミ族の娘を庇った所だ。実は我の死んだ妻はミニミ族でな、非常に可愛かったしエロかった。種族特有の頭の悪さはあったが常に我を立ててくれ良い妻だった。世界ではミニミ族は差別されている、が貴様の行動は我に好感を抱かせる行動であった」


 次に!


「ワイバーンを瞬殺する強さだ、知り合いなら弱くても良いが部下にするなら当然ながら力は必要だ。その点貴様は問題ない」


 最後にと前置き。


「貴様はワイバーンを一人で倒すほどの力を持っているのに全く偉ぶっていないではないか、半端に力を持つものは驕る者が多く鼻につくものだが貴様にそのような感じはなかった。ふむ、我の部下にふさわしいではないか」


 ガイラルは微笑む。


「どうだ、これで貴様も我の部下になりたくなっただろう? もう一度聞く、我の部下になれ」

「断る!」

「三浦!?」


 俺は胸の前、腕でばってんを作りながら否と言った。

 いやま、確かにこいつの言い分はちょっと俺の心に来たよ? 言われてみればその通りの行動をしたしそれを褒めてくれるのは嬉しいけどね。

 けどさ。


「何故だ? 何故ここまで言っても我の部下にならぬ」

「気持ちは分かるけど、俺誰かの部下にとかなりたくねえよ。自由に生きたいんだよ」


 ついでに言えばこのまま学校にも通いたいし。部下になったらどうせそのまま魔王の付き人とかになるんだろ?

 どうせなら俺可愛い女の子の付き人になりたい、ユウハ様の付き人で人生終わりたいまである。

 ちらりと見るとユウハ様が青い顔をして俺を見ている。

 目が合った瞬間、俺の腕を掴んで耳元に近づいて来た。


「お前、ここまで言ってそれは殺されるぞ?」

「ええ」


 んな事言われてもなぁ……。

 でも確かにこいつ魔王だったよな。こんなに誘われて断ったらこいつも怒って俺を死霊にして強引に部下にするかもしれない? やばいかも。

 恐る恐る見ると。

 ガイラルは思った以上に普通だ。別に怒っている様子はない。

 むしろ関心するように頷いている。


「自由……か、ならば仕方がないか」

「え、良いの?」


 ちょっと怯えたのだが予想外だがガイラルは決して俺に強要したりはしなかった。


「確かに他の魔王ならば無理やり部下にする者もいるかもしれないが……そもそも我自身十魔王としての役割を果たさず自由に旅しているから言えないというのがある」

「はぁ、何だよそれ。お前もそうなのかよ」


 ガイラルは楽しそうに笑った。


「まあ聞け、今回のワイバーン襲撃は恐らく龍王の仕業だろう。奴は人間を好いていないからな。勿論我は別に他の魔王の邪魔をしようとは思わん、だが罪のない人間を害すほど嫌ってはおらぬ。安心しろ」


 一体それを聞いて何を安心しろというのか。


「それにしてもワイバーンをものともしない……か、ふむ。貴様能力はどうなっている? 確か人間はカードとかいうもので能力を見れるというではないか、どれ試しに見せてみろ」

「ええ」


 何でだよ、見せて万が一何か気に入ったら更に勧誘されるじゃん、ただでさえレアジョブだしそういうの普通にあり得そうで嫌なんだけど。

 ユウハ様に助けを求める視線を送ると。


「ふん、そのくらい見せてやったら良いじゃないか。ついでに私も見るぞ。弟子の成長は師匠である私も把握しておかなければならないからな。ほら、見せてみろ」


 何で乗り気なんですかねこの人は。

 別に俺の能力値なんて大したもんじゃねえだろ。

 つっても最近見てないけど。

 そういえばどこにしまったかな?

 荷物の奥の方に言っているであろうギルドカードを探すと。


「おお?」


 いつか見たように淡く光っているのが見えた。ちらっと見ると大分やばい事になっていた。

 ――これ、見せなきゃ駄目?

 出し渋っていると二人が急かしてきた。


「ほら、早くしろ」

「我を待たせるな」

「もういいよ、ほら」


 ギルドカードを放ると二人はそれを掴み熱心に見て。


「ほう……これはまた極端な」

「なんだこれ……」


 一人は感心してもう一人は少々引いた目で見ている。

 それを見て俺はしかめっ面を浮かべた。


☆☆☆


ギルドカード

【名前】三浦冬馬

ジョブ コンクリート開拓士

ジョブレベル29

スキル コンクリート魔法 耐状態異常2 サイレンス無効 即死無効 魔力消費軽減 神々の祝福

習得魔法 コンクリートウォール コンクリートキャノン コンクリートドライブ コンクリートヒール コンクリートショット 

耐久力 4612

魔力 530000

筋力 329

敏捷力 412

知力 258

運 5


☆☆☆

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