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フェルの過去と真相

長く空いてしまいごめんなさいです!



「うむ。どうやら7人が限界のようだ」


1人満足そうにするフェルを他所紅月達は唖然とする。いや誰だってそうなるだろう。まさかの瞬間移動とやらを体験したのだから。現在紅月達の目の前には鬱蒼とした木々がざわめく樹海が広がっている


「え?何が起きたの??」


「さっきまで私達街に居ましたよね?」


「しかも樹海入口···」


「まさに神業です····」


「頑張ればリリアも出来るかな?」


「私!?出来る訳ないにゃよ!!」


「1度その原理をデータに取りたいものだ」


「何お前達も鍛錬次第では出来るようになる」


『いや無理!!』


腕を組みドヤッとするフェルに全員が首を横に振る。ターナやリリア、フーラならまだ可能性は有るだろうが人である紅月達には到底出来る代物ではない。寧ろ出来たら奇跡だ。


「とにかく今は樹海を攻略する事に集中しましょう」


「そうだな。樹海の主な魔物の種族は"草"属性を基本としたウルフ系植物系などが多い。主軸は"火"属性を中心とした陣形がベストだろう」


「なら俺とフェル、凪とフーラが前衛でサポートにはクリストとターナ、後衛は回復と防御を軸にしたアーリアとリリアが務めるでいいかな?」


「それがベストだろう」


「決まりだね。なら行こうか」


紅月の案に全員が納得した所で樹海へと足を踏み入れた──·····



海焔国南西に位置する"誘いの樹海"太古から存在する知る人ぞ知る有名な海焔国屈指の樹海。一度足を踏み入れた者は二度と出てくる事が出来ないとされていて通称"神隠しの森"と呼ばれ滅多に人は立ち入る事がないという樹海なのだ


「全然人が立ち入ってないから珍しい植物だらけだね」


「あぁ」


「凪!!見てあれ、綺麗な花があるわよ!!」


「それは"ニジサキバナ"と言って霧雨の時虹を出す花と言われている。海焔国ではこの樹海でしか咲いてないな」


「クリスト!見てください。光が沢山舞ってますよ」


「アレは"キタホタル"海焔国"では限られた場所にしか生息しない蛍ですね」


「アーリア腹減ったにゃよ···アレ食えるかにゃ?」


「ばっ!?アレは"アオキリダケ"という毒キノコだ...食べたら死ぬぜ??」


生い茂る草を掻き分け樹海を進む一行。人が長年手を付けていないだけあってか樹海には様々な植物や生き物達が溢れていた。例えば色とりどりの実を付ける木や一見蝶に見えて実はトカゲだったり今では滅多にお目にかかる事がない動植物の楽園と言える


「ありのままの自然って悪くないよね」


「そうだな」


「あ!フェルさん。さっき奇襲のせいで聞きそびれたのですけど···一体過去に何があったの??それと紅月も気にしてた”あの子”って誰ですの??」


それはその場に居た全員が気になっていた事。明らかにフェルは何もかも知り過ぎている。ジッと全員に見つめられフェルはフゥ···と息を付き静かに語り始めた


「元より話すつもりだったからな···」




これは今から数十年前の話だ。"平等院"と"黒星院"が首都"ユナイト"を設立し漸く世界の均衡が取れた時の事。元々俺達竜王は今の国に縛られてはおらず気ままに放浪していたのだ。ある者は人に紛れて暮らし、またある者は人に知識を与えたり修行をしたりと自由気ままに過ごしていた。そんな時、首都"ユナイト"である1人の竜使いが誕生した。名を"白蓮の竜使い カルマ"数多の竜達に愛される存在だった。今この世界があるのは彼女のお陰だと言っても過言ではない。勿論、それは竜王たる俺達も同じだ。彼女は良く俺達と出逢い様々な話を聞かせてくれたり聞かせたりと毎日が楽しいと思える時間をくれたのだ。だが楽しい時間はそう長くは続かなかった。ある日いつものように俺達は彼女と何ら変わらない日を過ごしていたのだが突然彼女は苦しみ出した。一体何が起きたのか分からずに居るとそ奴らは現れた。苦しむ彼女を無理矢理立たせ何やら呪文を唱えると彼女の胸から黒い宝石が現れた。それを手に取り奴らはニタリと笑いながら"狂王様の贄の魂貰い受けた残った器は狂王様のモノ狂王様の下僕となれ"と言った。唖然とする俺達の目の前ピクリとも動かない彼女の身体とそのパートナー竜の身体が淡く光り結び付く。そして光が収まり現れたのは彼女や竜の面影など感じさせない黒い竜だった。黒い竜は咆哮を上げると俺達に襲い掛かって来た。一瞬何が起きたか分からないでいたが反撃せねば俺達どころか周囲に被害が及ぶ。けれど姿は違えど元は彼女と竜身体。傷付けずどうにかして彼女を元に戻そうと俺達は必死に呼びかけた。だがどんなに呼び掛けても返事はなくただただ攻撃を繰り出す彼女。そんな彼女と俺達を見ながら男達が嘲笑った。


"無駄無駄そいつはお前達が知ってる彼女じゃない。ただ狂王様の為に働く魂無き兵器...その身が滅ぶまで戦う戦闘兵器さ"


そう言って立ち去ろうとする男達。だが俺達の中で気配を探るのに長けたやつが居てな"アイツらが持っとる宝石から微かやけど彼女の気配がするで"それを聞いた俺達は逃げようとする男達を捕らえようと動くも竜となりし彼女に阻まれ思う様にいかなかった。このままでは男達に逃げられてしまう。そうなれば彼女は···俺達全員が諦めかけていた時だった。宝石を手にしていた男が突然倒れ続け様に次々と男達が倒れて行く。イマイチ状況が読めない俺達だったが脳内に響く聞き慣れた 声にハッとした


"古の竜王様方·····私の声が聞こえてますか?"


それは紛うことなき彼女の声だった


"あまり時間が無いので手短に要件のみをお伝え致します。お願いです。どうか黒い宝石諸共私達を抹消して下さい。あの宝石は”狂王”そのもの竜と竜使いの命を生贄に自らの命の糧にし魂なき亡骸を兵器として利用する為の魔道具···破壊しなければ”狂王”復活に近付いてしまう"


そう頼んでくる彼女に俺達は首を横に振った。いくら彼女の願いと言えど俺達にとって大切な人に代わりないのだから─·····


"どのみちこうなってしまっては私達は助からない。未来永劫、狂王の命の糧になるなんてそんなのは嫌。だからお願いします。私達が私達である内に抹消して···"


そう懇願する彼女の声は泣いているように思えて俺達は互いに見つめ合うとコクリと頷き宝石と黒い竜に向き合い微動だにしない黒い竜とその後ろを漂っている宝石に向かってブレスを放った。瞬く間に消えていく黒い竜と宝石──・・・


"ありがとう─·····私達の願いを叶えてくれてコレはほんのお礼"


消え行く彼女が俺達に手渡したのは人数分の宝石で一体なんなのかと首を傾げていたら彼女は笑いながら話してくれた


"ふふっ。その宝石にはね貴方達の失くした古の呪文が刻まれています。体内に取り込む事で本来の力が蘇るはずです。そしてソレを見つけた場所は"黒星院"が所有する教会の祭壇····もう解りましたよね?誰が”狂王”を復活させようとしているのか"


俺たちは彼女からその話を聞いて驚愕すると共に心から憤怒した。まさか平和の為と唄い竜と竜使いを育成していたあの”黒星院”が自ら崇める”狂王”復活の為に竜使いや竜を生贄にするとは到底許される筈ない。怒りを顕にした俺達を宥めながら彼女は告げた



"だからお願いです···どうか竜と他の竜使いの子達を”狂王”の手から守って下さい。私達の二の舞にならないよう─···最後に私は貴方達に会えて良かった。竜と友達になれて幸せだった。いつか貴方達が心から護りたいと想える人に出逢えた時貴方達とその人達に幸あらん事を──・・・"


「その後は察しの通り黒幕である"黒星院"を相手取って俺達は戦っていたのだ。だがパートナーが居ない俺達にとっては苦戦を強いられてな。ちょっとした隙を突かれ聖域と言う名の霊山にそれぞれが拘束されたのだ。それがお前達の知る竜王伝説の基盤になる出来事だ。そうなった以上当時の俺達に出来る事は一つ。自分達を扱えるパートナーが現れるまではそれぞれが拘束された霊山で力を蓄えつつ狂王が支配していた竜脈を国ごとに俺達の竜脈に染め上げる事に徹したのだ。さすれば例え"暗黒星"が発動したとしても侵攻は抑えられるからな」


そう言って笑うフェルに俺達は何も言えなかった。あまりにも壮絶過ぎる話だし何より自分達が今の今まで過ごして来れたのフェル達、竜王のお陰だったのだと改めて痛感した。すっかり気を落とした俺達に気付いたのかフェルはニッと笑い高らかに告げる


「だがそれももう終わりだ。この日の為俺達は耐えてきた。そして掛け替えのないパートナーと出逢えた...」


ゴウッ─


フェルの周りを焔が取り囲む。そして紅月達を真っ直ぐ見つめた後、膝をつき頭を下げた


「パートナーであり伴侶であもある紅月、そしてその親友たる凪、フーラ、クリスト、ターナ、アーリア、リリアよ···─俺達と共に革命を起こしてくれないか?全ての人と竜の為に」


まるで騎士が誓いを立てるような振る舞いをするフェルの姿に紅月達は目を奪われる。気高く何者にも屈しない孤高の王として君臨していたフェル...そのフェルが俺達を頼ってくれた事が嬉しくて─・・・


「何を今更言ってるのフェル!俺達は一心同体なんだから一緒に戦うのは当たり前だよ」


「私フェルさんと一緒に戦えるの凄く嬉しいですわ!!」


「俺達は仲間だ助け合うのが当然だろう?」


「私達は貴方に救われた。協力するのは当然です」


「にゃよ」


「うんうん!俺達が居れば怖いもんは何も無いよ」


「そうです。きっと私達なら何だって出来きますよ」


「...ありがとう」


下げていた頭を上げ僅かだが穏やかに笑うとフェルは立ち上がり地面を睨み付ける


「話は済んだ...とにかく先を急ぐぞ」


「そうだね」


「が、先ずはアイツを倒さねばな」


ピシッと地面に亀裂が入り凄まじい音と共に巨大な緑色の蛇が姿を表した。その目は紅く煌めいていてシューシューと音を出し大きく口を開いて紅月達に襲い掛かった


「戦闘開始─・・・」

いよいよ蛇虹とのバトル!

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