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使っても無くならない財布の使い道 小心者地味女子の場合  作者: 入間秋生
小心者地味女子 瀬田ミドリの場合
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寄付をしよう

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・マンション買う

・なじみの養護施設への寄付

・子ども食堂の運営

・エステ

・リゾートスパ

・PCを買う

・旅行


泊まるホテルはスパもあるので、リゾートスパと最近書き足した旅行がクリア。

お金はあるんだから、また行きたくなったら行こう。

マンションは保留。


寄付。

これを済ませてしまってから旅行に行こう。

ちょっと宝くじが当たったことにして。

リュックサックに1千万円をつめて出かける。

結構重いな・・・


養護施設は家から徒歩20分程度。


私は子供が好きだ。

幼稚園の先生になりたいなぁ、なんて思っていた時期もある。

20代半ばくらいから、養護施設の子どもと月に一度遊ぶボランティアをしている。

大人と子供の団体で一緒に出掛けるのが主だ。

ちょっとした学校行事の用で楽しい。


ボランティアは、自分が子どもを産めないと、わかったころに始めた。

その頃付き合っていた人とも別れ、その後恋愛からは遠のいている。

だからと言って、養子を取りたいと思っているわけでも、養護施設の子どもたちを自分の子のように思っているわけでもない。

ただ「幼稚園の先生になりたい」という昔の夢と、「デザインをやりたい」という今の夢を両立させようとしただけだ。


とはいっても周りはそう見ないので、ちょっと面倒くさい。

特に両親は、子供が好きなのに産めない、ということを私以上に気に病んでいてはれ物に触るように接する。

それが優しさや愛情からくるとわかってはいるけど、私はもう何年も実家に帰っていない。


ぼんやりと昔のことを思い出していたら、施設についたので、受付で責任者の先生を呼んでもらう。


責任者であるおじいちゃん先生が出てきた。

「お久しぶりです」

私があいさつする。

「お久しぶりです。お元気でしたか?」

「ちょっと仕事が忙しかったんですけど、辞めちゃいました~」

あははーと笑って答える。

「あのー誰にも言わないでほしいんですけど、寄付したいんです。」

「ありがとうございます。寄付の書類を持ってきますね」


「あ、あの!相談なんですけど・・・匿名にしたいんです・・・

だから書類とかなしで・・・」

先生がいかぶしげな顔で振り向く。

「・・・いくら寄付するつもりなんですか?」

「ええ~っと・・・一千万・・くらい・・・」


先生が黙って私の向かいに座る。

「そんな大金どうしたんですか?」

やっぱり不審だよね・・・うーん・・・

おじいちゃん先生から見たら、私もここの子どもたちと大して変わらないのかも。

なんだか親に秘密を打ち明けるよう、諭されている子どもの気分だ・・・

「宝くじが当たって!」

「ちゃんとご自分の為に貯金したほうがいいですよ。

仕事も辞めちゃったんでしょう?

そんな大金を受け取るわけにはいきません!」

その後は先生から敬語でお説教されることになってしまった・・・


曰く、宝くじが当たったくらいで仕事を辞めてはいけない

曰く、簡単に宝くじが当たったなどと人に言ってはいけない


結局なんとか100万を受け取ってもらい、帰ることになった。

ミドリのやることは色々空回りで、うまくいきません。

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