表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異界飼育日記  作者: 二川よひら
1/7

プロローグ

 玄関ドアを開けると、湿った風と共に、雨音が流れ込んでいた。

 いつの間にか降り出していたらしい。玄関に立つ配達員さんの服にも、点々と雨の跡がついてしまっていた。

 となると、荷物受け取りにこの時間を指定したのは、悪かったかもな。

 慌ててボールペンを取り出して、乱暴に受け取りサインをした。

 段ボールを渡した途端、挨拶もそこそこ足早に遠ざかる足音を見送り、戸を閉める。

 まあ仕方がない。この荷物だけは楽しみにしていて、自由時間のある今、確実に受け取りたかったんだ。

 段ボールについた水滴を撫でる。ざらりと表面に水の線が伸びた。

 よし、中までしみていない。

 安心して、部屋の中に運び込む。

 ミカン箱くらいの大きさ。ずっしりとした感触。通販の買い物にこれだけ浪漫を掻き立てられたのは久しぶりだ。

 用意していた机上のスペースに箱を置く。ひと思いに梱包を引っぺがして中を覗き込んだ。

 段ボールのほぼ中心に、緩衝材に包まれた筒状の透明容器。その周りに、ビニールに細々と小分けされた備品らしきものがみっしり詰まっていた。

 付属物が思った以上に多い。お手柔らかにお願いしたいんだけど。

 ちょっと引きながら、箱の隅に挟まるように押し込んであった紙片を引っこ抜いた。

 これが取り扱い説明書のようだ。質の悪い灰色の紙に、ぼけたプリントが手作り感ありありの表紙には、素っ気ない文字が張り付いていた。


 初心者向け異界飼育キットA〜ダンジョンセット〜


 そう、私はダンジョンを飼ってみることにしたんだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ