蛇神一族
一行は事情を説明する。
同席した文華も、それとなくだが聞いているようだった。
「ふむ………なるほどのぅ。エルフ共の企みか。彼奴らめ。行動は把握しておらぬワケではないが、何が目的なんじゃ………」
そこへ、ふすまを開けてミニスカートの和服を着たツインテールの気の強そうな女の子が入ってくる。
「お姉さま!」
「おぉ、地華!首尾はどうであった?」
「ダメ。偵察に出した子も、何もないって。酷い手傷を負って帰ってきた子もいるの。黒い奴らの仕業だって、言っていたわ」
「あの黒い奴ら………おぬしらの言う、イドの魔人だったかのぅ?」
天華は拡げた扇をパタリと閉じて、こちらに聞く。
「アレは尖兵よ。恐らく、集団で襲いかかるように命じられているだけで、捕縛したりするのは難しいわ。」
「ふむ…………。玄華はどうしているかのぅ………」
ヘルナリナの返答に、天華は唸る。
「天、玄姉さんは…………」
「捜索は続けておる。地華が今、手管の猫共、総出で探しておるが………」
「文ちゃん、ごめん。私の力不足で……」
「地華、あなたのせいじゃないわ………」
「玄華さん………いとこ、なんだっけか?どうしたんだ?」
「行方不明なんじゃよ。しかも、ちょうど奴らの襲撃のあった前後から」
察するに、玄華はエルフ共に捕らわれていると考えるのが妥当だ。だが、地華の捜索虚しく、まるで全容を掴めていないのだろう。
文華は妹らしいので、心配していても然もありなんと言ったところだ。
「まぁ、その件はおぬしらにはあまり関係はない。とりあえず、客として、おぬしらを迎えよう。部屋も用意させるゆえ、ここを拠点にしばらく活動するといいじゃろ」
「ありがたい。帰ろうにもエルフの軍団に目を付けられていたら、包囲されて捕縛されるか殺されるのがオチだからな。この襲撃事件、解決まで手伝わせて貰うよ。」
━━こうして、ルーズ国襲撃事件解決の手伝いをすることとなった。
「…………と言うわけだ。そちらに敵が向かうとも分からない。準備だけはしておいてくれ。最悪、籠城もな。」
「分かった。準備はしておこう。スナイパーなどの配置もしておく。また何かあったら連絡してくれ。」
「頼んだぞ………」
持ってきた通信用の水晶でエルナと通信を行った。
そこへ………
「わっぷ!!」
「アナタはやらないの?」
顔面に枕が飛んできた。
投げたのはヘルナだ。
部屋では絶賛、枕投げ大会が開催されていた。
「きゃあ!………もう!手加減しないわよ!!」
「へへ~ん!!手加減なんていらないもんね~!!」
なぜかミナリアと天華の妹・地華が意気投合して、白熱している。
謙信、信玄はというと………
「……………!!」
「………………!?」
けんか腰になり、無言で枕を躍起になって投げ合っている………。リリは意味も分からず、きゃっきゃとそれを見ている。時折、その投擲した枕がリリに直撃するが、リリはそれでもケラケラと笑っている。
「いや、俺はいい………」
窓の外からは陽の光が差し込んでいる。
ルーズ国は昼夜逆転ということだったので、恐らく今はルーズの夜なのだろう。道理で夜テンションで枕投げなんかしてるワケだ。
「ちょっと、外へ散歩してくる」
「あら、じゃあ、私も行くわ」
そう言って部屋を出るとヘルナも後をついてきた。
「ついてこなくても……」
「いいじゃない。散歩を一緒にするなんて、夫婦みたいで………」
「なんか言ったか?」
「いいえ、別に」
屋敷内を彷徨くことにする。
屋敷内は特に高価なモノは置いていないようだが、時折、不自然に壺や掛け軸などが設置されている。
「こういうところに何かあったりして………」
ふと、設置された掛け軸を捲ってみる。
「……………。」
「あったわねぇ………」
掛け軸の裏にはボタンがある。
「押してみますか?………なんて」
「ポチッとな!!」
「バカ!!ホントに押すやつがあるか!!」
ヘルナが軽いノリでボタンを押すと、隣の壁からガコン!!と音がした!
「確か、この辺から音が………」
ヘルナが音のしたあたりの壁を調べる様に押すと………
「あっ」
壁が回転し、ヘルナはそこへ吸い込まれて行った。
「ヘルナぁ!?ちょ!!おい!!」
急いでヘルナが吸い込まれた壁を調べる。
自分もそこへ吸い込まれる!
「ちょまぁぁぁぁ!?」
どう言う仕組みか、中は凄まじい風が吹いており、あっという間にある場所へと吹き飛ばされた。
「うべっ!?」
風圧により、壁に叩きつけられたが、怪我はない。
「くっそぉ………なんだよぉ………」
壁とキスするハメになった。
ここはどこだろう?辺りを見回すと、薄暗い部屋なのは分かる。
「なんじゃ、おぬしら………。ようここが分かったのぅ。」
そこには酒を飲みながら、つまみをつまむ天華がいた。ヘルナもなぜかご相伴に預かって、一献、飲んでいる。
「ここは?」
「わしの自室じゃよ。どうじゃ、おぬしも………」
「おいしいわよ?」
ため息をつくと、ヒロはそこにどっかりとあぐらをかいた。
「しゃーない。貰うか。」




