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白昼夢のヒメ!!~夢魔の姫とカケラの王子~  作者: ブラボー
偽りのアナタへ
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無効の従者 ~色~

「ここはどの辺りになるんだ?」

「この基地は里からは距離の離れた山奥の洞窟を改良して作られています。入り口は正門に近く、裏口は里に向かう街道へ出られます。幸い、正門に潜り込ませた手下がお嬢様達の動向を知らせたので、あの時は間に合いましたがね……」


周囲の天井などは明るく、あまりそれを感じさせないが確かに岩肌が所々、剥き出しになっている。


「あまり感じないでしょう?」

「うん。もっとちゃんとした施設かと。」


「最近の技術革新に追い着くために、我々も日々、魔術に対する努力などを惜しまないのです。もっとも後手に回るのは否めませんが、実はこの天井なども物質強化の魔法が使われているのです。」

「へぇ~………」


細かい話をしながら、食事を進める。

だが…………


「ごちそうさま!」

「ごちそうさまです。王子、まだ食べきらないのですか?」


「誰のせいだ!!」


「軍議もあります。お早めに。」

「お兄様、がんばれ!」


やはり量が多くてキツい。

ミナリアもエルナも、先に片付けて行ってしまう。


「う………」


かつて剣道の合宿でも、こんな無茶振りあった気がする。

食べれば強いとか最早、横暴極まる論だ。

強面こわもてのコック長が、さっきからチラチラ見ている……。

怖い………。こっち見ないで!


「ほら、頑張れ頑張れ♪あと少しだ。」


ふと気が付くと、目の前の座席に少女が座っていた。

ドレスに身を包み、長いポニーテールを揺らし、こちらに笑みを浮かべている。

こんな子、いただろうか?


「どうしたんだい?そんな顔して」


周りをもう1度見渡す。


「……………。」


誰も居ない。

目の錯覚か、幻か。


「ほら、冷めるよ?」

「君は?」

「え?私かい?それより、君の名は?名前を名乗るときくらいは男性にリードしてほしいかなぁ」


「俺はヒロ。訳あって、王子代理だ。」

「王子代理………。そんな事、言っていいのかい?」

「…………誰も居ないように見えるんだが」


それを聞くと、女の子は「あはは!」と笑い、頬杖を突きながら蠱惑的にこちらを見つめた。


「直球だなぁ、キミは。そう言うのも好きだけどね♪私はエアリア。気軽にエアって呼んで欲しいな」

「あぁ、よろしく。エア」


「こちらには馴れたかい?」

「…………。」


質問が最初からおかしい。

知っている。


「警戒してるのかな?」

「そりゃ、そうだろ。何故、分かる」


「カマだとしたら?」

「…………。」


黙る。

可能性はなくはない。だが、状況から見てカマをかけた線は低い。何者かは分からないが、本能的にカンが告げている。  

     (こいつは、ヤバい奴だ。)

エアリアは、その様子を見てか、こちらに屈託のない笑みを浮かべた。


「冗談だよ♪もぉ~、カンがいいなぁ!」

「アンタ、何者だ?」

「私は王女さまだよ♪こうして皆には見えないのも、皆も見えないのも、私の希少魔法レアマジカルだよ。」


「初めて聞いたな。レア・マジカル?」

「まぁまぁ、信用してよ~!じゃぁ、まずはサービス。キミが大事にしているものをあげよう♪」


にわかには信じがたい。


「キミのお友達がココに向かってるよ?良い人も、悪い人もね。もうすぐ着くよ。」

「どういう意味だ…………」


ヒラヒラと手を宙でぶらつかせると、ニヤリと笑いながらエアリアは告げた。


「ジャンケンって、裏をかけば勝てるものだよ。深読みは厳禁だけどね」


まばたきして、まぶたが一瞬だけ閉じる。

そこに既にエアリアはいなかった。

喧騒や人も何もかもが元通りになっていた。

幻術だったのか………。確か、レア・マジカルと言っていたが。


「あれ………」


残していた食事も消え失せていた。

空の食器だけが残っていた。エアリアが食べてしまったのだろうか?


「………て!………だ…………ろう!」


気が付くと、どこからともなく聞き覚えのある声がする。

揉めているようにも聞こえるが………。

まさかと思い、そちらへ急ぐ。


「下がれ!ニンゲン!!抵抗すれば撃つぞ!」


「やかましい!!いいからミナリアとハルトを出せ!!無事なのだろうな!?」

「無駄乳、落ち着かぬか。オヌシらしくも………」


騒ぐ2人に向かい魔法の銃弾が放たれ、2人の間の空が切り裂かれた。


「……………。」

「……………。」


これには2人も静かに憤りと殺意を表した。

腰の刀に手をかけて、刀身から金属音が鳴る。


「待ってくれ!!」

「謙信ちゃん!!信玄おじさん!!」


そこへようやく辿り着いて、居合わせたミナリアと割って入る。

間一髪だ。銃と刀でも多分、この2人なら負けない。

危うくエルフを傷付ける所だ。


「おお!ハルト!!」

「無事だったか!!」


キラキラした瞳で各々飛び付こうとするので、ミナリアと2人で顔面にパンチが入る。


「ぐわぁあああ!!」

「うぎゃあああ!!」


盛大に殴り飛ばされる。勿論、ミナリアは実は怪力なので謙信の方が吹き飛ぶ。

何か、こう言う飛距離を競う競技みた気がする。


「イイ拳じゃぜ………」

「こ、こう言うのもなかなか悪くはないな……」


鼻血を垂らした謙信と頬を腫らした信玄。

なんだかハァハァ言っている。もしかしなくても変態だ。


「………なんですか、このイロモノは」


そこへエルナが辿り着く。


「む!!またしてもイイ娘が!」

「肌が小麦色じゃな。オヌシ、アレもいけるのか?どうみても南蛮であろう」


そんな2人を差し置いて説明をする。


「実はこの2人はカクカクシカジカな………」

「ほぅ?カクカクシカジカなのですか」


「「端折はしょるな!!」」


テキトーな説明にはツッコむ。

もうなんなんだ、この2人は。こんなのがミナリアの友達だとミナリアの未来が心配だ。思わず、ミナリアを見やる。


「………………。」

「ん~?なぁに?」


いや、この2人がいなくても心配かも………。

自覚がないのか、キョトンとしている。

ともかく、暴れん坊な将軍2人を基地に招き入れて、早速事情を聞くことにする。


━━━━━…………。


「とまぁ、以上がワシらの集めた情報じゃ。」


エルフの敵対者はどうやら山岳地帯での活動が苦手らしく、ここまでは捕虜にしたエルフの情報から憶測で来たらしい。


「ただ、奴らもお前達を血眼になって探しているらしい。途中、他の山岳兵にも出くわし、襲撃も受けたが、それは処理した。」


「………待て?処理した?」

その報告に思わず、口を挟んだ。


「うむ。」

「まさか、それで焦っていたのか!?」


「よぉわかっとるのぅ。」

「そうだ。だから早くせねばならぬ。」


そのやり取りに、エルナ以外はミナリアを含め、みな察していなかった。


「距離は!?」

「ここからなら3里ほど。」


案外、近い………。

マズすぎる!


「エルナ!!」

「………仕方在るまい。総員、荷をまとめろ。急げ。」


「お兄様、どういうこと?」

「ミナ……………」


あまりこう言う知識を彼女には告げたくはなかった。

これは行軍に関わる知識。戦争いの知識だ。

血は血で洗うしかない。怨恨は怨恨を呼び、戦いは戦いを呼ぶ螺旋となる。

できれば………。

出来ることなら……………。


「お前には教えたくなかった…………。」

「え?」


「………いいか?ミナ。自分だったらと考えるんだ。1匹のペットがいて、それが逃げた。それを追って4人が外に出るとする。」

「うん。」


「1人が探しに行ったまま帰ってこない。なら、他の3人の内にミナがいたらどうする?」

「あ……………」


そう。

そこから探す。いなくなったであろう場所から探すのだ。

距離にして何百キロなんて距離じゃない。軍なら人は多く、もっと速い。とくに密な軍なら尚、速い。


「じゃあ、謙信ちゃんなんかの早くって………」

「早く脱出しなければならないの事だ。」


倒さなくても追われただろう。

倒しても捜索されて時間の問題だろう。

あの2人が警戒しないワケがない。

こればかりは仕方が無い事だった。


   ━━━ 良い人も悪い人もね ━━━


そんな先ほどのエアリアの言葉が脳裏を過ぎるばかりであった。

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