無効の従者 ~色~
こうして、朝食を済ませて城の入り口に全員が揃う。
準備と言っても、ほとんどはアルスが準備してくれていた。
ミナリアは相変わらず、ミニスカートに弱冠露出のある軽装に、髪はツインテールにまとめていた。
が………
「よし!」
「おいおい、ずいぶん物騒だな」
ミナリアは手には甲に鉄のあしらわれた革製のグローブに、足下はデザインは洗練されたブーツだが先に鉄板が入った安全靴。腰には小型の魔方陣の入ったマグナムと見える銃が見える。
「アナタのはこちらです!」
そう言って出されたのはマスケット銃に刀にそっくりな剣だ。ご丁寧に籠手など具足もある。
「謙信さんと信玄さんに聞き、これにしました。どうやら東洋のものが使いやすいようですね。」
知らないわけではないので、それとなく具足なども装備してみる。銃も刀と供に腰に下げてみる。
「剣はともかく、銃は使ったことがないな。弾は?」
「ありません。陣を印として銃の内部に組み込み、魔法による銃弾を射撃します。」
「へぇ~」
「馴れない内は体に倦怠感や疲労感が来ますが、王子ならすぐでしょう。馴れて下さい。飛距離も本人次第です」
銃を構えてみる……。
キッチリと照準を定めるサイトまで付いている。
マスケット銃にサイト………
「あぁ、これも持ってゆけ」
信玄が、懐から何か取り出して投げ渡す。
手に取ると分かるが面具だ。面具とは顔に装備する日本の甲冑の一部だ。顔全体を覆うものもあるが、今回は頬などを覆うタイプだ。
「ワシの使い古しじゃが、あればあるだけよかろう?二枚目が台無しになっても大変じゃからな」
「お前が言うとなんだか、身の危険を感じる」
「ふ、だそうだハゲ!気を付けろよ、ハルト!」
「ありがとう謙信。」
そうこうしていると、またもや二人は喧嘩しはじめる。
取っ組み合いはいつものことなので、もはや割愛。
「お兄様、カッコイイ……」
「そうか?ミナも可愛いぞ?」
「そうかな?えへへ………」
「はいはい、兄妹愛も過ぎると何だかエロい方に行くッスよ」
ニカウがそう言いながら、今度は手に収まる様な小さなズタ袋を手渡してきた。中には何か入っている。
「通信アイテムッス。何かあったら、これに呼び掛けて欲しいッス。」
どうやら連絡用らしい。
「さて、これで準備オッケーだね!!」
「そうだな!じゃ、行くか!!」
「いってらっしゃいませ!」
「土産期待するッス」
「ミナ!男には気を付けるのだぞ~!」
「ハルト!女には気をつけるんじゃぞ~!!」
ニッコリ笑ったアルスと、ニヤニヤと笑いながら手を振るニカウ。
それに喧嘩で髪が乱れた謙信に、ハゲが眩しい信玄に見送られ、ついに旅立つ!
目標はエルフの里!事前に渡された地図にはマギアルを経由して、その先に門があり、その先は「UNKNOWN」とだけ書かれている。本当に何もかも遮断しているのが分かる。
「ねぇ!お兄様!二人で旅するのは初めてだね!」
「そう……なのか?悪いな。なら、楽しくなるといいな!」
「うん!!」
ミナリアも元気な娘だ。
となりで終始、笑顔を絶やさず歩いている。
ちょっと露出が高い気もするが、可愛らしい限りだ。
「エルフの里ってどんな所かな?」
「そうだな………。妖精とかいそうだな。」
「妖精?ミコさんみたいなのかな?」
「あ………。あはははは、アレは特別じゃないかな?」
話題は尽きない。
よほど楽しみらしい。
まもなくマギアルに通りかかり……
「よう!ミナリアちゃん!お兄ちゃんとお出かけかい?」
「うん!エルフの里にね!」
「そうかい!気を付けてな!これ、持ってきな!」
ヨイチさんの店前を通り抜け………
「アニキ!お出かけですかっ!?」
「アニキ!留守は任せて下さいっ!!」
「お嬢、お気を付けて!!」
街の守備隊に挨拶……
「アニキだって………」
「ヤクザみたいだから、あの呼び方はやめろって言ってるんだが」
「ところでお嬢って?」
「お前だろう」
「お嬢さまってこと?」
「まぁ、そんなとこ………かな?」
やがて街を抜けて、しばらく平野を歩き、河川の流れる豊かな街道をゆくと、大きな門が見えてくる。
ここまでで半日ほどかかったが二人で地図を確認したところ、あれが恐らくエルフの里に通じる門だ。地図上では、あの先は記載されておらず、未知の領域となる。
「ミナ、通行証は?」
「あるよ?お兄様こそ」
「大丈夫だ。」
通行証を確認し、それを首から提げて門へ近付く。
門には番兵の姿が二人ほどしか見えない。
軍人に近い格好をした番兵で、エルフと言うのは伝承通り、金髪に、尖った長めの耳。顔立ちは美しく、瞳もエメラルド。
アルスが言うには確か「森の守護者」の異名がある一族らしい。




