仁義なき「L」VS「G」
いよいよ、やって来たのは八百屋(?)だ。
なんだか蠢く植物が沢山いたり、顔面がある大根みたいな根菜があるが、あのあたりはこないだのアルスのサラダに入ってたので、恐らく八百屋だ。
「いらっしゃい!今日も生きが良いよ!!」
確かに生きがいいが、八百屋のオヤジの頭もミミズみたいなものが髪の代わりに蠢き、何が生きが良いのか分からない。野菜も喋ったりしてるので動物園状態だ。
「あ、ああ、どれが生きがいいかな?」
色々な意味で聞いてみる。どうして魔界はこんなにダイナミックなんだろう。ミナリアはこのオヤジが苦手なのか、背中に隠れてしまう。
「あ、そうか。ミナ、アルスが言ってたのは?」
「アレ…………」
なんだか人見知りする娘みたいに背中の方から品を指さす。なるほど、この調子なら学校も友達はいないだろう。ミセカワ系コーデのくせに人見知りなのもおかしいが。
とりあえず、預かった通貨で品を購入し、受け取った時だ。
棒を持ったガラの悪い2人組の連中がやってきて、果実の様なモノを通貨も払わず、手に取り始める。
「アレは?」
「お客さん、静かに。放っておいて下さい。」
なるほど。アレがウワサのチンピラか。確かにガラが悪い。
あんな棒切れを持って余程、増長している。
「いいのか?」
「いいんです。人数を呼ばれたりしたら、もっと面倒くさいですから」
「しかし…………」
周囲を確認してみると、そこにはシャッターを閉めるための先に小さなフックの付いた金属の棒がある。ミナリアも、服をぎゅっと掴んでいる。不安なのが分かる。
「ミナ、離れてろ。おい、待て。」
ミナリアを離れさせて、その棒を手に、チンピラ2人を呼び止める。
「あ?なんだよ」
「なんかワリぃんか?」
棒切れを肩の上でトントンと弾ませながら、周囲をグルグルと周回するサマはまるで獣だ。無秩序極まりない。
「それはここの売り物だ。金を払え。」
「はぁ?この辺りは俺らの場所だからよぉ。俗に言うショバ代だよ、ショバ代」
「第一、テメェなんだよ。見ねぇツラだな、マジチョーシこいてんな、テメェ。」
やはり話は通じない。だが、そもそもこんな連中を糾弾するために来たのだ。情報収集とは言ったが、こんな連中なら2人くらいは造作も無い。棒を真っ直ぐに両手で構える。
「払え。」
「っせぇな、マジ死ね!」
チンピラの1人が肩に担いだ棒を振り下ろす!それを頭上で受けると切り返して、横腹に素早く一撃お見舞いする!
「っぁあ!!」
「テメェ!!」
鈍い音がして、1人が倒れるともう1人が襲いかかる!それに真っ直ぐ素早い突きを喉元に正確に撃ち込む!よろめいた所に頭上に一撃入れると、白目を向いて倒れた。
「ふぅ………」
「お、お兄様、すごい………。」
店主もあ然とする。向こうで習った剣道は少しは役にたった。向こうで使えば犯罪だが、魔界なら平気だろう。
「おい!ケースケ!どうした!?」
平気だろうと思っていた。
「あ、あぃづが………」
「ヤロォ!何してんだゴラァ!!」
うん。平気じゃなかった!
店主の言っていた通り、すぐに仲間が沢山集まる。目視でも30人かな?何年何組のクラスかな?
店主はすぐにシャッターを閉めて店じまいを決め込む。やったね!おじさん、今日は仕事早上がりだよ!
「お、お兄様、どうしよう………」
「どうするって…………」
どうするも何も………
「逃げよう!!」「えぇ~!?」
「待てやゴラァァア!!」
こういう時は36計である。つまり、逃げる!
街中をミナリアの手を引いてとにかく逃げ回る!ところで、どこに逃げればいいだろう?
そんな時、横の建物の隙間に信玄が見えた気がした!!
「信玄!!」
「こっちじゃ」
間違いない信玄だ。ミナリアと路地に入り込み、走る!
何人かは分かれたのか、背後には3人!
走っていると、真横の建物の隙間に謙信がいた気がした。
謙信は後から追うチンピラの足下に刀の鞘で足掛けして転倒させると、信玄と2人で首を手刀で打ち、気絶させた。
「た、助かった………」
「お前ら、何してるんだ!」
「謙信ちゃん!!」
ミナリアはやはり懐いたのか、謙信の懐に抱き着いた。謙信がミナリアの頭を撫でながら信玄に対してニヤリと笑う。
信玄もそれに対して「チッ」と舌打ちし出すので、咳払いすると仕切り直す。
「まぁ、いい!!こちらの首尾は上々だ!!なぁ、ハゲ?」
「そうじゃなミミズ。こちらは引き上げる所だ。」
「お前ら、いい加減にしろよ………。とにかく、ここから引き上げるぞ!!」
報告を後にして、街から引き上げることにした。
途中、帰路でミナリアからシリトリとかゲームを教わり、それで2人が競いだしたがもうこの2人はスルーしよう。
狩り勝負とかし始めて、討ち取られた鳥がその日、から揚げみたいになって出て来たが、それは本当にその鳥だったのかは定かではない。




