表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
害獣駆除はお任せを! -モンスター退治屋さん繁盛記-  作者: 弐逸 玖
第七章 紋章の乙女は憂う ~皇太子殿下、西へ!~
99/183

第7章『紋章の乙女は憂う』までの登場モンスター

※お話には直接関係の無い、どうでも良い設定なので

 読み飛ばしても本筋の理解には全く影響はありませんのでご安心を。

ヴァーン商会作成の報告書より抜粋。



環境保全庁指定 第124号緊急調査に関する報告会 資料 


 請負者 リジェクタ組合中央本部 登録業者 ヴァーン商会

 

       責任者氏名

        商会会頭/リジェクタディビジョン・ディレクター ウィリアム・ヴァーン




 Ⅲ.出現報告のあったモンスターの傾向について


   主任リジェクタ ウィリアム・バーン

   作成者     ウィリアム・ヴァーン

   確認者     ウィリアム・ヴァーン&ターシニア・フィルネンコ


 Ⅲ-ⅱ 状況の分析について


 ――前略


 先般より出現が顕著になったとされるモンスターの種類(Ⅳ参照)について

 分類、検討を行った結果、水属性の妖精が圧倒的に多い、と言う事がわかった。


 何故このような偏りが発生しているのか、現状ではわからない状態だが

 帝都付近の災害や開発によって生息域が狭められ、いわゆる『人類領域』へ

 出現せざるをえない状況に陥った可能性が考えられる。


 別添資料において、通常、主に目撃される場所について挙げるので

 環境保全庁以下、担当各位においては生息域の調査をされるよう

 この場を借りて要請をするものである。


 また、出現において人間に危害を加える形跡が認められていない。

 その為、彼らの知性の高さを鑑みれば、何某かの目的を持って出現している

 可能性もあるが、現状彼らの目的はわかっていない。

 後日、本格的な調査を行う必要があると、この場を借りて進言するものである。


――後略  



 ※報告書確認者追記

 本項調査については一部、皇家並びに宮廷に関わる事項が含まれるので

 追調査を行うにあたっては、事前に必ずMRM議長たるリンケイディア皇子殿下に

 報告のうえ、宮廷内にて決済をして頂く必要があることを認める。


 なお、上記はリンケイディア皇子殿下の代理人として、殿下の名においての

 環境保全庁並びに関係各位への命令であるので、本件に関わる全ての関係者

 においては間違い無く従われたい。


       署名  フィルネンコ害獣駆除事務所所長

             宮廷騎士代理人 ターシニア・フィルネンコ


 主任リジェクタが○月○日追記を承認した。

         署名 ヴァーン商会リジェクタ・ディヴィジョンディレクター 

                    ウィリアム・バーン

 


 以下、白紙


――後略




Ⅲ-ⅱ

 今回の調査にあってはヴァーン商会リジェクタディビジョンは、

 フィルネンコ害獣駆除事務所との共同で調査にあたった。

 なお役割分担は下記の通り。


ヴァーン商会

 リジェクタ四名を投入し帝都近隣の調査

 ディヴィジョンディレクターであるウィリアム・ヴァーンが直接指揮を執った。


フィルネンコ害獣駆除事務所

 リジェクタ三名の他、助手一名、あらため役として親衛騎士一名を帯同し

 水のモンスターを総べるものであるとされるサイレーンとの接触を目的に

 主にグレーデル大鹹湖だいかんこ付近の調査にあたった。

 指揮は所長であるターニシア・フィルネンコが自ら行った。


――以下略 




 

Ⅲ-ⅲ目撃されたモンスター

   ※ヴァーン、もしくはフィルネンコが現出を確認したもの。

    その他のものについてはⅣ-ⅲにて改めて報告する。 


ボジャノゥイ

 巨大な人の姿をしたカエル。髭を蓄えたものも居るのが過去には専門家に

 よって観測されている。

 人や家畜を川に引き込んだりもするが、基本的には漁や川全体の守り神として

 大事にされていることが多い。

 大河や古い河川に好んで住み、人工的な河川 〈運河、用水等)は嫌う

 傾向にある。

 本来王朝連合内でも南部に多く生息し、帝国本国の河川では確認された

 ことは今まで無かった。

 今回は一部の河川で、土手にあがっているのを数回にわたり目撃されている。

 

アプカルル

 鳥の頭を持ち背中に羽を持った男性の姿だが、水のモンスターとして区別する。

 恐ろしげであるが人間を襲うことは無く、大水などの際には事前に

 待避場所を教えたりする。

 普段は姿を現さず生態は不明。人に目撃されることはごく希。

 今回も目撃例は一例のみ。


カッパ

 緑色の肌に甲羅を背負い、黄色いくちばしを持つ子供の姿のモンスター。

 悪戯好きで畑などに被害が出る場合があるが概ね小規模。

 また、特種な格闘技を好み人間に勝負を仕掛ける場合がある。勝てばほぼ

 どんな病気も治る薬をくれるが、負けると肛門から手を突き入れ、生きる力

 そのものを抜き取られ、治療には困難を要する。

 また、頭頂部に平たい皿のような器官が有り、これが完全に乾くと死ぬ。

 本来は帝国本国内では絶滅したとされる。

 カッパについてはかなりの頻度で確認された。


グレンデル

 全身にうろこを持つ身長一〇mの緑色の巨人。異常な怪力を誇り更には獰猛で

 人肉も好んで喰らうとされる。

 目をつけられた場合、並みの人間にはほぼ手の打ちようがないと言って良い。

 これも帝国学術院による区別では妖精に含まれる。

 普段は深い水の底で暮らしているので目撃例は極端に少ない。

 帝国本国はもとより王朝連合全体でも、ここ数十年目撃例が無かったが

 本国の河川で二度ほど目撃された。

 

ケルピィ

 見た目は灰色の大きな馬だが、足元にひれが有り、尾もひれになっている。

 人を欺して背中に乗せ、そのまま深みまで全力疾走してその肉を喰らう。

 と言う習性を持つが、馬としては優秀で、かつては飼い慣らすものも居たと言う。

 また人語を解し自らも話すので会話が成立する。

 淡水域のみに生息すると考えられていたが、今回は塩水湖のグレーデル大鹹湖

 付近にて目撃されている。


シェリーコート

 貝殻の服を着て海藻のスカートをはいた少女。

 基本的には無害なのだが、川辺を歩く人達を惑わし、道に迷わせたり

 川に落としたりするような悪戯を好むため、被害者が死に至ることがある。

 見た目は愛らしい少女であるが、好んで関わりにはならない方が良い。

 ケルピィと共にフィルネンコ以下のチームが、全員確認している。

 

黒エルフ(ダークエルフ)

 原種と言われるエルフから派生したらしい内の一種。

 通常は薄暗い密林の中で狩りをしてくらすと言われるが、人間との接触が

 基本的に禁忌とされるエルフの戒律もあり、目撃例は極端に少ない。

 かなり黒に近い褐色の肌と、黒い髪が特徴的。

 大きく長い外耳と発光する瞳は種族共通。ダークエルフは発光部分は赤。

 森の中に暮らす彼らだが星見と航海術に長けるのもエルフ全体に言える共通点。

 寿命は約180年程度といわれ、18を過ぎると人間から見ると

 見た目の成長は止まって見える。

 エルフの中でも特に魔導に長けるとされる。

 何故か帝都内で複数の目撃例がでた。


白エルフ(エルファス)

 種族としてはダークエルフの近隣種になるが、こちらは住む場所を水辺の草原に

 定めた種族。それが故にサイレーンとの関係も深いとされる。

 住む場所の都合から、目撃例や人類との接触例はエルフとしては多い部類になる。

 発光する瞳はエメラルドグリーンで、その名の通り肌は抜けるように白い。

 エルフの中でも特に星見と航海術に長けるとされる。

 今回は珍しく帝都周辺でもかなりの頻度で目撃され、なにかを探していた

 ようであった。と言う証言が複数得られている。


スプリガン

 これは妖精ではあるが水の括りでは無く、陸のモンスター。

 古代遺跡の守護者として知られ、一部の古代遺跡に関して盗掘に入るものを

 人もモンスターも関係無しに、全て排除する強力無比なモンスター。

 また、陸の女王に対して絶対服従の態度を取ることでも有名。

 ここ百年、直接接触したものが生還した記録が無いので外観がどうであるかに

 ついて専門家間でも議論されるところである。

 フィルネンコチームが接触を果たしたが、結局姿を確認するには至らなかった。

 今回は陸のモンスターと人類に対する、傍若無人なサイレーンの振る舞いに対して

 警告をするために出てきたものらしい。

 

サイレーン

 これのみ、括りは妖精では無く精霊になる。

 可憐な少女の姿で大きな白い翼を持つ姿。本来は海に住み、航海する船乗り達を

 歌や踊りで惑わせ、最悪船を沈めるかなりたちの悪いモンスターでもある。

 また、水の属性のモンスターの王とされ、そのサイレーンを率いる女王は

 海では無く、何故かグレーデル大鹹湖に居を構えるとされるが、ここ数十年は

 誰も確認したものが無かった。

 今回はフィルネンコチームが、こちらも全員で目撃、会話をすることにも

 成功している。



――以下略


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ