関係ない
オレは、三年間も片想いをしている人が居る。
その人とは奇跡的に三年間同じ教室で過ごせて、部活も共に活動している。
入学して、一目見ただけで落ちた気がする。
姿勢は綺麗に正されていて、瞳は芯が強くて凛とした美しい人だ。
日が進む度に、その人と話す度に……想いはどんどん強くなっていった。
だけどその事を友人に話したことは一度もないし、そして本人にも打ち明けようかは正直迷っている。
修学旅行で定番の男同士の恋愛話を行った時は、「部活に専念したいし、そういうのには興味がない」と即答した。
でも、はっきり言うと興味がないなんて大嘘だ。
その人ともっと一緒に居たいし、触れたいとも思うし、独り占めしたいとも普通に思う。
だけどそれはできない。してはいけない。
彼女は、オレだけのものにはできない。
「先生」
誰も居なくなった静かな教室で、たまたまその人と二人きりになった。
名前を呼ぶと振り向いてくれるその人が、「なにか」と抑揚なく言葉を返してくれる。
特に、用事なんてなかった。
教室を通り過ぎようとした時に、偶然見かけただけだった。
無言でその人の目の前まで歩いて行く。
いくらか年上なのに、オレよりぜんぜん背が低い。
身体も華奢だし性格もちょっとキツイけど、やっぱり女の人なんだと改めて思う。
自分でも驚くほどに真剣な顔をしていて、無意識にその人の前髪をサラリと払った。
先生、好きです。大好きなんです。
出かかった言葉を無理くり呑み込んで、「ゴミついてましたよ」と咄嗟(とっさ)に嘘をついて、慌てて手を引っ込める。
その時、ちらりと見えたその人が驚いた顔をしていて、頬が少しだけ赤くなっていたのが見えた。
無性に嬉しくなって、ニヤつきそうになる口元を手で隠す。
学校生活最後の最後になったら、思い切ってみても良いかな、と思った。
(2015.03.24)




