器用貧乏
広く、浅く、要領よくこなす。
それが私のモットーだ。
他人に見下されないために、両親から期待されるために、困っている人が私を頼ってくれるように。
そんな私は、いつの間にか学級委員長と呼ばれるようになっていた。
これはこれは、なんて鼻が高い。
勉強ができて、人から頼られて、スポーツは少し苦手だけれど。
私は、理想の学校生活を謳歌していた。
私は完璧なる模範生だ。頭髪も、服装も、全てがマニュアル通り。
チャラついている奴らを見ると、無性に腹が立つ。
学級委員長もやりながら、風紀委員の手伝いを任されることも増えた。
うん、なんて素晴らしい。
学校は、勉強をする所だ。
遊ぶための私物、お洒落するためのアクセサリなど、校則に違反する者はどんどん取り締まった。
とても気分が良い。
しかし、いくら言っても聞かない奴らも居るものだ。
髪を染める者、化粧の濃い者、香水がきつい者、上げればキリがない。
が、その内の一人に奴は居た。
髪色が淡くてチャラついている、ヘラヘラと陽気な態度ばかりの校則違反者。
普段は生意気な態度ばかりとるくせに、いざという時は「お願~い」と甘えて来る。
いや、奴は私に微塵の興味も持っていないだろう。
故に甘えて来ると言うよりは、おちょくられているという方が正しいかもしれない。
こういう奴は、本当に大嫌いだ。鬱陶しい。視界に入れるのもおぞましい。
しかし何故なんだろうか。
家に居ても、勉強をしていても、最近は奴のことばかり考えてしまうのだ。
話しかけられると嬉しい、他の異性と喋っているところを見るとむかつく。
認めたくはないが、これはきっと恋なのだ。
だけど、奴にはすでに好きな人が居るらしい。
異性には幅広く声をかけていたというのに、ある日突然パタリとそれが止んだ。
そしてその日から、一人の女子生徒に鬱陶しく付きまとっているのをよく見かける。
馬鹿馬鹿しい。実に馬鹿馬鹿しい。
もしも、もしかしたらと、少しだけ自惚れていた私がとても滑稽だ。
奴はいつものように、私をおちょくるだけ。
その度、私の気持ちが大きくなっていることなんて知らずに。
(2015.03.24)




