サンド
高校生活は、まあまあ楽しい。
友達もそれなりにできたし、勉強も運動も追いつけないわけじゃないし。
だけど最近、学校に行くのが億劫(おっくう)になりつつある。
「オ、オイ。鞄、持ってやる」
「いや俺が持つし……ねぇ、手繋ごう」
「ハッ?! なんだテメ、オレが先だっつの!」
「もー、ギャンギャンうるさいなぁ、お前は」
両サイドからそれぞれ言葉が飛び交って、思わずため息をつく。
いったい、いつからこんなことになってしまったのか……は、もう覚えていない。
もう長いこと続いている気もするけど、このツンデレとクーデレの男二人は、飽きることなく私の両サイドを陣取っている。
友達には「イケメンズに挟まれて、羨ましい」と言われたが、ぜんっぜん良くない。
いつも二人でギャイギャイ言い合いしてるし、とにかくうるさいし、邪魔。
荷物をどっちが持ってくれるとか、正直どうでもいい。
というより、別に持ってもらわなくても良いし、手を繋ぐなんてもってのほか。
いまだに言い合っている二人を置いて、先に教室へ向かう。
朝からあんなのに付き合っていたら、早々に疲れてしまう。すでに疲れてるけど。
しかし、まだまだこれからだった。
移動教室や体育の移動時間、お昼の弁当の時間、終わってからの昼休みの間。
この男共は、ひっきりなしに私の元へやって来る。
友達が口を揃えて、「良いな~」とぼやくが、ぜんっぜん良くない。
休む暇もなければ、好きに行動もできない。
放課後、先生からの頼み事を終わらせた私は、荷物を取りに教室へ行った。
ところが先客が居たようで、開いていたドアから少しだけ顔を覗かせて、中の様子を見てみる。
居たのは、案の定あの二人だ。
ため息混じりに中へ入ると、睨み合っていた二人が私を見た。
すると急にこちらに歩み寄ってきて、あっという間に壁際に寄せられる。
「え、ちょっとなに……」
「オイ、いい加減にどっちかにしろよ」
「は? なにどっちかって」
「俺か、こいつかってこと」
「オレだろ!」
「いーや、俺」
何を言っているんだ、この人達は。
どっちかにしろと言われても、私は別に、どっちにもそんな気はない。
二人がまた言い合いを始めたのを良いことに、ここから抜け出そうとする。
が、同時に両手首を掴まれて、それは叶わなかった。
「オイこら、逃げるな」
「どっちか決めるまで、返さないよ?」
実は仲良いんじゃないの、この二人。
真剣なような、笑顔のような二人に、私は引きつった笑みを浮かべるしかできなかった。
(2015.03.18)




