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ランニング・ウォリアー  作者: 0・The Fool
1年インターハイ
5/32

初めてのロードバイク

感想を頂きましたレフェル様。並びにこのお話を読んでくださる皆様ありがとうございます。



 部長の案内のもと、八神輪業に辿り着いた。


「登坂の体格を考えると、この辺がちょうどいいか。

ローラー台の上に固定するから待ってろ。」


 部長はそう言いながら、奥から取り出した物にお勧めのロードバイクを固定する。

ローラー台といって室内走行する為の固定台だ。

そして、ロードバイクにペダルを取り付け準備は完了だ。

部長はボクをロードバイクに跨がらせ、サドルの高さを調整する。その際、ロードバイクの値段を見てしまった。


「ゲェッ!!!! 150000!!!!」


 何度も確認してみても、実際にそう書いてあった。


「どうした? 登坂?」

「ろ、ロードバイクってそんなに高いんですか?」

「ああ? これか? これでも安い方だぞ?」


 安い! コレで!


「ロードバイクの素材は鉄、アルミ、カーボンとあって、カーボンが軽くて高い。ただし、脆い。逆に鉄は重くて頑丈だが、安い。

そして、こいつの素材はカーボン。ロードバイクの素材の中じゃ高級素材だがだいぶ前の型落ち品だからな。

拘れば、100万円を軽く超すのもある。」


 ひゃ、100万円。ダメだ。桁が違いすぎる。とりあえず、思うことは、何かの弾みで傷つけたら、どうしよう! その事だけだった。

そんな考えがよぎった時、背筋に寒気が襲った。


「すみません。ちょっと手洗いに。」

 そう言いながらWCと書いてあるドアに手をかけた。


「…え?」


 そこには先客がいた。その人物は可愛らしい瞳をこれ以上ないくらい見開いてボクを見つめている。


「………。」

 無言でその小さな手が便器を洗う道具に握られる。


「ご、ごめんなさい!」


 ボクが謝罪した瞬間、

「何やってんのよ!! このスケベ!!」


 ともみちゃんの一撃がボクの顔面にヒットした。


「すまんな。登坂。トイレのカギが壊れて何かの弾みで開いてしまうらしいんだ。」


 そういうのは最初に言ってください。

心の中で苦情を言いながら、ともみちゃんに誤っていた。


「ちょっと! お兄ちゃん! そんな重要な事、こいつに言ってよ!!」


 ボクの言葉を代弁するかのようにともみちゃんが叫んだ。


「すまんな。ともみ。それと、登坂。ペダルの交換や必要な物も取り付けた。それと、この靴に履き替えて見てくれ。」


 言われた通り靴底に金具のついた靴を履き替えてみると、丁度良いサイズみたいだ。


「丁度良いサイズです。」

「俺の小学生の時の物だが、サイズが合うようで良かった。」


 その一言にショックを受けた。


「…結構成長しているはずなのに、ボクって小学生サイズ?」

「…同じ血を分けた兄妹なのにこの差は何よ?」

 部長はボク達の様子に意を介さず、たんたんと話を進める。


「とりあえず、登坂。必要な物は全て取り付けた。

ペダルにベルにサイクルコンピューターボトルとボトルゲージを2個ずつ。夜走る時用のライト。こちらはレースの時は外して貰うが。

値段はしめて160000だ。

すぐに支払わなくても構わないし、バイトなりなんなりして返したって構わない。」

「親と相談して支払いは決めます。」


 ボクの答えに納得してロードバイクを渡す。


 こうしてボクはロードレーサー達の戦場を駆け抜ける最初の相棒と出会った。


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