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目を覚ますと、見馴れた自室の天井が見えていた。

寝ぼけていたのか頭が働かなくて、しばらくしてから自分が目を開けていたことに気付いた。

体が重くて、動かすことも何かを考えることすら億劫だ。

この狭い部屋のなかに自分しか居ない。

それは当たり前のことなのに、どうしてか違和感を覚えた。

ここに誰か来るとすれば兄だけだ。

しかしその兄も今は遠く西北の戦乱に加わっている。

戦に赴く兄を送ったのはつい先日のことだ。

それなのに、随分昔のことのような気がする。

いつものように怠惰に1日をごろごろ過ごしたはずなのに、どうしてここまで体が重いのか。

釈然としない気持ちはあるものの、それ以上何かを考えるのはしんどかったから、やめた。

眠ることもできず、ただ目を開けてぼんやりしていた。


「ん、起きてたのか」


気をつかったのだろう、音もなく入室してきた彼は意外そうに言った。

返事の代わりに一度視線を向けてまた戻す。

随分な対応だとは思ったが眼球を動かすことだけで精一杯だ。

そんなでも反応を見せたからなのか、彼はものすごく優しい微笑みを見せた。


ああ、全く。

どうしてこの兄はこうも僕に甘いのか。


呆れられていると分かったようで、傍らにこしをおろすとむにむにと頬をつねってきた。

いつもなら抵抗くらいするのにしないでいるとすぐに手は離れていった。


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