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私の事大嫌いな彼女とのlove ストーリー  作者: San


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1/1

最悪の出会い  1

この世界には、苦しみがあまりない。


事故はほとんど起きない。

病気も風邪ぐらいだ

裏切りも、失恋も、破産になっても


人はみんな、だいたい幸せだ。



彼女と出会ったのは、人生で一番最悪のタイミングだった。


僕はその日、

・寝坊して

・全力疾走して

・角を曲がった瞬間に

・コーヒーをぶちまけて

・同時に彼女と激突した。


「うわあああああ!!」


熱々のコーヒーが、

彼女の白いワンピースに直撃した。


「………………」


彼女は、ゆっくりと自分の胸元を見下ろした。


じわーっと、

綺麗なワンピースに茶色いシミが広がっていく。


「……あの」


僕は、人生最大級の土下座をした。


「本当にすみませんでした!!

クリーニング代も! 新しい服も! 僕の人生も!

全部弁償します!!」


彼女は無言のまま、僕を見下ろしていた。


五秒。

十秒。

十五秒。


「……最悪」


ぼそっと、そう言われた。


ですよね!!!!



「……あなた、顔もうるさい」


「顔!?!?」


「存在感も重たい」


「初対面でそこまで言います!?」


それでもなぜか、

彼女はその場を去らなかった。


むしろ、じっと僕の顔を見つめてきた。


「……ねえ」


「は、はい」


「なんか、あなた見てると……」


彼女は、胸のあたりを押さえた。


「ちょっと、苦しい」


「えっ、救急車呼びます!?」


「違う、そういう苦しさじゃない」



それからなぜか、


彼女は僕に連絡先を聞いてきた。


。。。。。。


数日後、僕らはカフェで再会した。


彼女は、僕の顔を見るなり、

露骨に嫌そうな顔をした。


「……やっぱ無理。

なんか、生理的にちょっとキツい」


「来てくれたのに!?」


「でも……」


彼女は、コーヒーを一口飲んで、顔をしかめた。


「あなたと一緒にいると、

胸の奥が、きゅーってする」


「それ、恋じゃないですか?」


「最悪の可能性言わないで」




「ねえ」


三回目に会った日、彼女は言った。


「あなたって、なんでそんな暗いの?」


「えっ、明るく生きてるつもりなんですけど」


「その“無理して明るい感”がもう苦しい」


「ひどくない!?」

。。。。。。。


それでも彼女は、

毎週なぜか僕に会いに来た。


理由はシンプルだった。


「退屈なの」

。。。。。。。


彼女はベンチに座って、空を見上げた。


「この世界、なんでも楽で、

なんでもうまくいって、

なんでも満たされてて……」


「最高じゃないですか」


「最悪に退屈だよ」


「えっ」


「刺激がゼロ。

感情の起伏がログアウトしてる」



「でも、あなたといると……」


彼女は僕を見た。


「イライラするし」


「はい」


「ちょっとムカつくし」


「はい……」


「正直、顔もあんまり好きじゃないし」


「今、言う必要ありました!?」


「でも」


彼女は、少しだけ困った顔をした。


「……生きてる感じがする」



僕は、その瞬間、

普通に嬉しかった。


「あ、じゃあ……また会います?」


「……うん。

たぶん、会う」


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