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神田寺男vs.伊達剣先

〈霽れたればやゝ身に暑き春かいな 涙次〉



【ⅰ】


 取る物も取り敢へず、じろさん・もぐら國王・安保さんは、國王の掘つた「思念上」のトンネルの入り口まで急いだ。

 すると、出るわ出るわ、元「はぐれ【魔】」で、今はルシフェルに忠誠を誓つてゐる魔物らが、湧くやうにトンネルから人間界に攻め入らうとして來た。

 じろさんは勿論「古式拳法」で、國王は仕事道具のバールで、彼らに立ち向かつた。國王は、じろさんのやうにソフィスティケイトされた格闘術を持つてゐなかつたけれども、身長190cmになんなんとする彼の振り下ろした鋼鉄製のバールで、ぺしやんこにされない【魔】はゐない。


 喧嘩の方はからきし、な安保さんは、たゞ茫然と事の次第を見守つてゐたが、じろさんに「さ、終はつた、先を急がう」と促され、やうやく自分を取り戻した。



【ⅱ】


 その時カンテラは、伊達剣先と対峙してゐた。「確かに俺に似てゐる」。差し手も同じなら、その剣捌きも同じ。たゞ、カンテラには秘められた勝算があつたのだ。

 それは、傳・鉄燦、と云ふ銘刀。伊達は半グレらしく、いゝからかんな刀を構へてゐる。そして、人の皮を被つてはゐるが、所詮はロボット。いつかは馬脚を現すだらう、との讀みに基づいてゐた。


 とは云へ、苦闘は苦闘。何せ自分はこの男のコピーに過ぎない、との思ひが、主にカンテラの剣を鈍らせてゐた。と、


 傳・鉄燦がカンテラに囁いた-「カンテラよ、皮切りを使ふのだ」。カンテラ、その聲に沿ひ、「秘術・皮切り」に打つて出た。伊達はその表皮をひん剥かれ、ロボットの躰を露はにした。然も、そのメカがところどころショートしてゐる。彼の頭脳=コンピュータは、こんな緊張感には耐へられなかつた、と見えた。



【ⅲ】


「よお、カンさん、なかなかの出來だな」と、じろさん。「今日はいゝニュースがあるんだ。あんたの戸籍取得にゴーサインが出たんだ」... 悦美との結婚。新しい名・神田寺男。その呼び掛けに励まされ、「しええええええいつ!!」の氣合ひが、魔界に轟いた。


 見れば、安保さんも來てゐる。カンテラ、敵のダウンしたところを見計らつて、安保さんの頭上を、横滑りに剣を走らせた。安保さんの見た惡夢が、これで消えた。伊達剣先=ロボット剣客は、脆くもばらばらに解體の憂き目と相なつた。もはや、再起はあり得ないところ迄、伊達は追ひ詰められた譯である。カンテラには、伊達とは違ひ、魔導士としての顔があつたのだ。


「此井くんが云つてゐた、『キイ』つてのは、これだつたのか!」安保さんも納得の終焉を、この戦ひは迎へた。



 ⁂  ⁂  ⁂  ⁂


〈人造の躰や虛しと剣士云ひ二人同じも一人は死せり 平手みき〉



【ⅳ】


 ルシフェル「ぐぬゝ。負けたか」-するとその隙を見て、アイパッチの他は一糸纏はぬ遷姫が、「祭壇」台のベッドから、逃げ出した。

「さうは行くか」ルシフェル、山羊頭の髭を伸ばし、彼女の足に絡める。遷姫「助ケテオクレ、かんてらヨ」


 カンテラは自信を回復した。ずかずかと魔界の黑ミサ會場に踏み入り、ルシフェルの髭を断ち切る-「今ダケハカウサセテオクレ」遷姫はカンテラに抱きついた。カンテラ「あゝ、然しこれで最後になるがな」



【ⅴ】


 ルシフェルは、無言で消えた。今や、魔界に主はゐない。じろさん、國王で、黑ミサ會場の周囲を、滅茶苦茶に壊してまはり、この一戦の幕は閉ぢられた-



【ⅵ】


 さて、次回はハッピー・ウエディングのお話かな? 手短かですが、神田寺男vs.伊達剣先、カンテラの勝利、及び精神的な持ち直し、をお傳へして、閉回としやう。



 ⁂  ⁂  ⁂  ⁂


〈焼き飯を食ろて白晝長し春 涙次〉


 

 お仕舞ひ。


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