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私はルーレシア・ソフィーです。
ルーレシア男爵家の令嬢で今年で18になります。
私はダルスタル王家の第一王子であるクラトス様との婚約が決まっており、数カ月まえにダルスタル王家が所有するシュベル離宮へと引っ越してきました。
私の元にリチャードからの使者であるバルシスがやってきていました。
リチャードというのはラインベルク公爵家の跡取りで次期公爵になる方の事です。
ダルスタル王家が所有するシューベル離宮の貴賓室にて私は無理難題を突き付けられていました。
「という訳でして、今後はリチャード様がこの国を統治される可能性が極めて高いのです。ソフィー様におかれましては賢明なご判断をお願いしたいとこのバルシスは思っております。」
「ですから何度も頼まれても婚約破棄など致しません。」
「ソフィー様お気持ちは分かりますが、リチャード様の機嫌を損ねるのはソフィー様とっても有益とは思えません。形式上でも構いませんのでリチャード様に従って頂けないでしょうか??」
「ふざけないでください!!なぜそんな事を強制されなければならないんですか??」
「リチャード様は気性の荒いお方で我慢や忍耐ができるお方ではありません。リチャード様の命令を拒めばソフィー様に何をするか知れたものではありません。」
「それはもはや恐喝ではないですか??」
「リチャード様のおなーり!!!」
使者としてやってきていたバルシスが慌てて膝をつきました。そして貴賓室の扉が開いてリチャードその人が入ってきたのです。
リチャードは嬉しそうにバルシスにこう尋ねました。
「どうだ婚約破棄を承諾しただろう。なにせこのリチャード様の嫁になれるんだ!!!二つ返事でオーケーに決まっているよな。」
「いえ、それがソフィー様には婚約破棄を断られました。」
「なんだと??」
「おい!!テメエ!!王子との婚約破棄を断わったって本当か??」
「はい、クラトス様との婚約破棄をするつもりはありません!!」
「どういうつもりだ???このリチャード様の嫁にしてやろうっていうんだぞ!!喜んで婚約破棄する所だろうが!!!」
「リチャード??あなたこそどういうつもりですか??王家の屋敷を大軍で包囲するなど!!」
「そんなもん決まってるだろうが!!このリチャード様があの愚鈍な王やボンクラ王子に成り代わりこの国の王となるために決まってるだろうが!!」
「おいもう一度聞く。あのボンクラ王子との婚約破棄をしてこのリチャードと結婚しろ!!もちろん承諾するよな!!」
「お断りします。クラトス様との婚約破棄はいたしません!!!」
「テメエ!!この人間としても貴族としても優れているリチャード様のどこが気に食わねえって言うんだ。」
「力で脅して要求を通そうとする野蛮で下劣な事しかできない方のどこが人間として優れているのですか??」
「テメエ、調子に乗ってるんじゃねえぞ!!こっちが下手に出てればいい気になりやがって!!」
するとバルシスがリチャードに言いました。
「リチャード様、そのような態度を取れてはソフィー様に嫌われてしまいますぞ。」
「知った事か!!!もういいこんな女!!!こんな下品な女こっちから願い下げだ。せっかくこのリチャード様の嫁にしてやろうって言うのに!!このリチャード様がこれだけ礼を尽くしてやってるのに!!!このクズ女!!!」
「兵士達で屋敷で取り囲んで脅迫したり大声で喚き散らすのが礼儀だと本気で思っているのですか??」
「うるさい!!!黙りやがれ!!!このクズ女!!!」
「リチャード様、ソフィー様の機嫌を損ねては結婚などとてもできませんぞ。」
「別にいいさ!!!大事あのはこのクズ女の機嫌をとる事じゃない。秘宝ゼブリアを手に入れる事だ。このリチャード様は大神ミクローネからダルスタル王家が授かったという秘宝ゼブリアが欲しいだけだ!!」
「秘宝ゼブリアがあればエリクサーや貴重なマジックアイテムが作り放題らしいじゃないか。さらには奇跡を起こすゼブリアは王位の証でもある。それを手に入れれば俺様の国王にふさわしい証となる!!!まさにこのリチャード様にふさわしい秘宝と言えるだろう!!テメエなら秘宝ゼブリアを扱えるはずだからなあ!!」
「リチャード様??そこが分からないのですが、なぜソフィー様が秘宝ゼブリアを扱えるのですか?王家の人間しか扱えないはずですが??」
「んな事も分からないのか。」
そると若い女性の声が聞こえてきました。
「この女がすでに身清めの儀式を終えているからよ。」
すると扉が開いて赤いロングヘアーをなびかせながらロゼッタが貴賓室に入ってきたのでした。