28話 準備期間その2
「もうダメだ!」 「一体どうしろっていうんだよ!」
「うわぁー!?」
「そこどいてください!」
「……こりゃひでぇな。」
ホテルを抜けて辺りを見渡すと阿鼻叫喚の光景が飛び込んできた。
とりあえず騒ぎを収めないと。
「落ち着いて聞いてください!落ち着いて!」
とりあえず声を上げて周囲に呼びかける。
「え?あなた岡本竜也さんですか?」
近くにいた高校生らしき子が声をかけてくる。
活発そうな子だな。
「ああそうだよ。とりあえず落ち着け。」
すると俺の存在が周囲に伝わったのか徐々に声が収まってくる。
「あー、大丈夫ですか?とりあえず落ち着いて現状確認しましょう。」
あの後なんとか事情を説明できたのでとりあえずジョブをできる限り戦闘系にしてもらった。
魔法使いなんかもあった。
出来るだけ魔法職みたいな遠距離攻撃ができるほうが安全だからな。
あ、サバイバーの職業を保有している人がいたぞ。
野村さんだったかな?
幼い頃に事故にあったらしい。
現在は立派な社畜だそうだ。
可哀想に。ご冥福をお祈りしよう。
他にもいくつか変態寄り……特殊な職業についた人がいるみたいだ。
後々一緒に戦うかもしれないので確認しておかなくちゃな。
「子供はどうするべきでしょうか…」
「15歳以下ならどこかの施設に保護しておけば安全ですよ。16歳以上じゃないと狙われないので。」
質問に答えていきながらも思考はやめない。
「とりあえず市民会館に移動しましょうか。」
大人達は学校などの公共施設で戦うことになるそうだ。
単純に逃げ込める場所が近くにあるだけでも肉体精神ともに安定するからな。
スマホが鳴る。
飯田からか。
「ん?はい、もしもし。どうした飯田。」
「今回岡本さんにも仕事を依頼したいのですが。」
「それはもともと受けるつもりだが……内容は?」
「まず出られない範囲を説明します。今回出られないのは私達が宿泊している安閑市。およそ12 ㎢の市です。」
「今回はその中で緊急時の応援に駆けつける、そうじゃない場合は単独での行動となります。
いわゆる遊撃のポジションですね。」
「了解。そっちは大丈夫か?」
「まぁなんとか。また連絡します。」
なるほど。
とりあえず移動を開始しよう。
「ではこれから移動を開始します!ついてきてください!」
現在時刻は朝の5時近くになっていた。
始まるまであと13時間
今回出てきた市は実在しません。