間話 ある自衛官の苦悩
飯田さん視点です
「で、どうなんだ?彼は賛成してくれたのか?」
「はい、無事に了承していただきました。」
今僕は上官に対して報告を行なっている。
もっとも、上官は防衛省にいて僕はビジネスホテルだから電話でだが。
そもそも僕は彼がダンジョンに入るのは反対だ。
なぜわざわざ一般人である彼がダンジョンに入らなければならないのか。
至極一般的な感性だろう。
だが上はそうではないらしい。
未知の資源の宝庫のダンジョンに人を超人にさせる職業やスキル。
これからの時代をより有利に動くためには必要らしい。
どこら一刻も早く調査をしたいらしく岡本さんが抜擢されたみたいだな。
じゃなければ明日なんてことにはならない。
そんな調整も出来ないほど自衛隊は無能ではない。
上も現実を見たらいいのに…
そう簡単にいくはずないのにな。
「そうか…わかった。ではこちらも物資を手配しておく。武器などは送らないがね。」
「わかりました。では失礼します。」
通話を切る。
この人は上でも屈指の良識派だが聞いたところによると暗殺なんて意見も出回ったらしい。
いくらなんでも無茶だろ…
上の頭の残念さ加減にため息が出る。
あの身体能力お化けの岡本さんだぞ?
それにもし仮に暗殺が成功したとしてもそれが公に出回ったら国連でも非難間違い無しなのに…
はぁ、なんにせよ岡本さんが無事に帰ってくることを祈るか。
祈ることしか今の僕には出来ないのだから。