表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/15

07.魔物の群れと竜の魔法

姿の見えぬ敵の軍勢から命を狙われるほど、恐ろしいことはないだろう。

それらは音もなく近づき、対象にその牙を突き立てる。

何より厄介なことは、その牙には様々な毒が忍ばせてあるという事実。

身を隠し、毒を盛る。

暗殺者と化した彼らを恐れない冒険者はいない―――。


気をつけろ。

奴らは、すぐ、そこにいる。


――――――――――――――――――――――――――

裂け蛇(スクリームスネーク)


この魔物は、(スネーク)系の中で…いや、すべての魔物の中で一番警戒すべき魔物である。


別に大して強いわけではなく、(スネーク)なのに毒すら持っていないという変わった魔物だ。

倒そうと思えば簡単に倒せるだろう。


しかし、こいつを無策で倒せば命はないと思え。


裂け蛇は、その命が尽きるときに壮大な断末魔を上げ…。

その断末魔は、周囲の魔物の群れを呼び寄せる。


あとはまあ…言わなくてもわかるよな。


――――携帯!魔物図鑑〜冒険者の天敵〜 より

side:シル

「…そうか、変身の紋章はそういう仕組みだったのか」

「何の話?――――!」


私は気づいた。

崩れた家の瓦礫に潜む魔物と、その殺気に。


魔物というのは、本来は人を避けるもの。

ならば、なぜここまでの殺気を向けてくるのだろうか。


「何か、いる?」


音量を抑えたリントの言葉に、私は最低限の頷きを返す。


――――いる。


私は身構える。

残念なことに今は盾を持っていないから、応戦することはできないけど…

リントを守ることぐらいはできるはず。


魔物は一匹。

片方(わたし)が引きつけておけば、もう片方(リント)は助けを呼べる。


そう伝えようと思って、リントの方を確認すると…


「…?」


リントは虚ろな目をしていた。

おもむろに手を伸ばし、魔物のいる方に手の平を向ける。

それは、まるでこれから魔法を使うような動作だった。


待って?

魔法の紋章がないと、魔法は使えないんじゃ…


「fire」


えっ、今なんて言ったの?

ふ…ぁあ?だめだ、分かんない。


そんなよく分からない言葉と共に、手の平からは火の玉が出てきた。


「火の玉が出てきた?!」


その火の玉は謎の魔物を瞬く間に燃え上がらせ、その姿を映し出す。


それは、蛇のような魔物だった。


私はこの魔物が何かを知らなかったけれど…

蛇の魔物なら、毒を持っていることはほとんど確か。


近くに寄らずに倒せたのは幸運だった―――――


と思えたのは一瞬だけだった。


燃えている蛇が、「キシィィィィ!!」という耳をつんざくような断末魔を上げたのだ。


私の顔は今、ものすごく青いと思う。


これが顔面蒼白なのかな…。


まずい、現実逃避をするな、しっかりしろ私。


恐らく、先程の蛇は裂け蛇(スクリームスネーク)だったのだろう。


なぜ裂け蛇と呼ばれるかには諸説あって、

解体する時に悲鳴がうるさい(といわれる)から…だったり、

断末魔で耳が裂けそうになるから…だったり。

単純に、叫びと蛇をかけたものだという説もある。


そして、何よりも気を付けるべきはその性質。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


そのため、冒険者たちの間では「冒険者の天敵」と呼ばれ、ほど恐れられている。



つまり、今の状況は…

森から魔物の群れが現れる直前、というところだろうか。


『だろうか。』なんて言ってる場合じゃないよ!

一周回って冷静になっても解決しないよ!


思考を現実に引き戻す。

もう何をすればいいのかもわからなくなって、思わずリントの方を向くと、


「…何やってんの?」


つい口に出てしまった。

返事はなかった。


リントは、指揮者のように手を空中で動かし、せわしなく指を走らせて…

まるで何かを描いているようだった。


ふと指を止めるリント。


「…何してたの?」


返事は聞けなかった。


なぜなら、リントが何かを書いていたところから、真っ黒な煙が吹き出したからだ。

その煙はだんだんと集まって、一つの形になっていく…

今朝見たばかりの、あの形に。


そう、忘れもしない…


「ドラゴン…?」


リントが手を払うと、煙のドラゴンは一直線に森へ向かい…

集まってきた魔物を食い荒らした。


圧倒的で、一方的な蹂躙だった。


あっという間に魔物を平らげたドラゴンは、満足そうに霧消した。


今起きたことの信じられなさに、私が硬直していると…




「あ、この焦げてる蛇って…もしかしてさっきの『何か』?

 ありがとう、シル」


リントが何故か私にお礼を言ってきた。

さっきの虚ろな目でなく、いつもの黒い目をしている。


更に固まる私に、リントはとどめの一言を口にした。


「あれ?()()()()()()()()()()()()()()()()


ま、まさか…


「覚えてないの?!」

「え、えっと…?何を…?

 僕は気を失ってたと思うんだけど…?」

少し遅くなりました!すみません!

もし、もしも「続きが気になるかもしれない」とか「もっと面白かったらなぁ」とか思っていただければありがたいです…!


そう思っていただけたならば、ぜひとも助言、アドバイス、誤字報告、いやもうなんだって構いません!書いていただけると嬉しいです!自分にできる全力で活かしますので!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ