表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/15

05.人の紋章

「皆さんは、身体変化の紋章を知っているだろうか?


通称『変身の紋章』と呼ばれるのだが。


そうか、知らないか。


ならば教えてやろう、ありがたく思いたまえ。


身体変化の紋章とは、文字通り自分の体を別の生物に変化させることのできる紋章だ。


その効果は、魔法の紋章と同じく、念じることで発動する。


変身する対象は紋章に描かれた生物だけだが、人間から別の生物になれるというだけで、かなりの汎用性を持つ。




例えば蜥蜴になれたなら、雨樋を通って屋上に出たり、


山積みになった洗濯物に隠れ近づいた人を襲ったりすることも…


…ましてや監禁状態から抜け出すことなど容易いだろう。




ここまで言えば、もはや犯人は歴然。


ついに尻尾を掴んだぞ、連続殺人犯め。


尻尾切りなど試みず、神妙にお縄につくがいい。




――――とある推理小説の解決編

「これから、どうしようかなー…」

(ねー…)


僕とシルは、話し合っていた。

僕の方は思考会話(テレパシー)だけど。


「まさか、リントがドラゴンになってるなんて…」

(僕の方こそびっくりだよ…)


あの後…


(痛ぁあ!!)


盾で引っ叩いてきたシルに、僕は衝撃を受けて思考会話(テレパシー)

をばら撒いてしまった。


(何するんだよ!痛かった…いや痛くはなかった、全然痛くなかったけど!心が痛い!うわあぁぁ…)


みたいな情けない僕の声がドラゴンから聞こえたと思ってくれていい。


おかげで、村全体が静まり返ってしまった。

その状況で、いち早く僕のドラゴン化に気づいていた幼馴染が動き、


「皆さん、このドラゴンはリントなんです!」


という止めの一言を叫んでくれた。

おかげで村のみんなは訳がわからないまま思考を放棄せざるを得ず、シルの言葉を全部鵜呑みにしてくれた。


シルには本当に感謝しないと。


シルがいなかったらどうなっていたことか…

考えたくもない。


村の大人達はドラゴンが僕だったことを知ると、すぐさま会議を始めた。


多分、僕をどうやって人間に戻すかの会議をしているんだろう。


そんな訳で、今はシルと喋っているところである。

打開策が見つかればいいんだけど…


ちなみに、シルは自分の家の二階から僕の頭の上に飛び乗って、そのまま居座っている。

身軽だなぁ…。

思考会話(テレパシー)しやすくて、良いんだけどね。


「そういえば、今日はリントの誕生日だったよね?はい、誕生日のお祝い」

(わあ…すごい…)

「でしょー?」

(全然見えなーい…)

「ドラゴンの視野の狭さにすごいって言ってたのね…」


ん、んん?


(…今、なんて?)

「ドラゴンの視野?」

(その前、すごく大事なこと言ってた)

「お祝い?」

(それもものすごく大事だけど…それじゃない)

「えーと…誕生日?」

(それだあぁ!)

「うわ、頭の中がうるさい。大きい声出さないでよね、直接響くから」

(厳密には喋ってないけどね…って違う、誕生日!)


そうだ、すっかり忘れてた。

僕は今日で十四歳になるんだ。

十四歳ってことは…


「あ、紋章ね。私もあの日は大変だったなー…それで?

 リントの紋章は何だったの?」

(この流れでそれを聞く…?)

「なんで?」

(察しが悪すぎる…)

「え?突然の悪口?」


まあ、いいか。


(僕のドラゴン化は、十四歳の誕生日…つまり紋章を授かる日に起きたんだ。この2つを紐付けない手はないでしょ)

「あー…なるほどね…」

(わかってないなこれ…)

「全部聞こえてるんですけど」

(じゃあわかってるの?)

「そのくらいは…ええと、リントは紋章によってドラゴンになった、って言いたいのね?」

(そうそう。だから紋章の形を調べれば、なにかヒントが見つかるはずなんだ)

「で、視野が狭すぎて見えないから、それを私に見てほしいと?」

(察しがいい時と悪い時の差がひどい…)

「全部聞こえてるんだってば!」

(あ、そういうことね)


よく考えたら、僕の思考はだいたいシルに筒抜けだ。

だから僕が考えていることは分かってるはずなのか。

じゃあなんでいちいち聞いてくるんだろうか…


「話したいから…かな。リントと話すのはとっても楽しい」

(それは普通に嬉しいな…で、何だった?)

「そうね…うーん…人の形に似てるかな…?」

(ふうん…人かぁ。人ねぇ…変身の紋章だと考えれば…人に変身するための紋章なのかな…)

「まぁ、なんでもいいじゃない。使ってみれば?」

(そうだね…じゃあ、念じてみよう…えいっ!)


少し考えれば大人たちの会議が終わるまで待つべきだと気づいたはずなのだが、まあ、それは後の祭りというやつかな。

前置き、前書きの方に入れてみました。

今回、しゃべってばっかりでしたね。


もし、もしも「続きが気になるかもしれない」とか「もっと面白かったらなぁ」とか思っていただければありがたいです…!


そう思っていただけたならば、ぜひとも助言、アドバイス、誤字報告、いやもうなんだって構いません!書いていただけると嬉しいです!自分にできる全力で活かしますので!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ