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04.伝わる思い

どなたか知りませんが、初評価、初ブックマークありがとうございます!これからも不定期に頑張っていくつもりなので、何卒よろしくおねがいします!

私は、ドラゴンの前に立っていた。

ドラゴンの眼はしっかりと閉じられ、ぐおぉぉぉという寝息がはっきりと聞き取れるものの、その迫力は図鑑や絵本のものとは比べ物にならない。

無意識に、腰が引けてしまう。


「お前がいくら活躍しているからって、ドラゴンの討伐隊に編成することはできない。いくらなんでも無茶だ」


お父さんはそう言った(正確には、言おうとした)。



でも、私はその無茶をしなければならない。

なぜなら、幼馴染がこのドラゴンの下敷きになっているかもしれないのだから。



…私は、〈盾〉の紋章を持っている。


〈盾〉の紋章は、文字通り盾をこれ以上なく有効に扱える紋章だ。

その堅さは圧倒的で、並の魔物の攻撃ならば、傷一つ負うことはない…とさえ言われている。


言われているが。


ドラゴンの場合、それは当てはまらないだろう。

ドラゴンは魔物の頂点。

その牙は岩を砕き、その爪は鋼を裂くと言われるのだ。

盾なんてもの、いとも簡単に破壊できる。

それでも、無いよりははるかにマシだ。


「お、おい!目を覚ましたぞ!」


ドラゴンは、ゆったりと瞼を開いた。

いささか眠そうにも見えるが、気のせいだろう。

いや、むしろ眠いのなら好都合だ。

魔物の頂点ともいわれるドラゴンを倒せる可能性が…見えてくるかもしれないのだから。


ドラゴンは、おもむろに翼をはためかせる。

それによって、鋭い風が隊を襲う。

魔物専用の技、『翼の風』だ。

珍しくもなんともない、翼を持つ魔物なら大抵は使ってくる攻撃。


しっかりと盾を構え、風を受け流す。

しかし。


「ぐうっ…」


その威力は、他の魔物のものとは比べ物にならなかった。

もちろん、大きな被害を被ったわけではない。

特に〈盾〉の紋章を持つ私からしたら、なんてことはない。


が、そもそも『翼の風』は小手調べのようなもの。


比較的賢い魔物が、相手との実力差を見極めるために使うような技で、それ自体が私にを傷をつけたことなど、今まで一度もなかった。


なのに。

ドラゴンの『翼の風』は、〈盾〉を持つ私にさえ傷を負わせた。


『翼の風』でここまでの威力があるのなら、

ドラゴンの本気の攻撃は、一体全体どれほどのものなのだろうか。


悪寒が走る。


「怯むな!風を起こした程度で大した傷を負うことはない!各自立て直し次第、攻撃を開始しろ!」


「おおぉーー!!」


おと…隊長が、少し的外れな指揮をする。

攻撃を開始しろ、だなんて。

ドラゴンの鱗がどれだけ硬いかを、隊長はご存知ないらしい。



「ドラゴンの鱗って、ものすごく硬いんだよ。神話によると、ドラゴンの鱗よりも硬いものは存在しないとか…まあ、さすがにそこまでではないんじゃないかと思ってるけど。

ただ、亜竜の鱗は鉄の三倍は硬いらしいから、案外本当なのかもしれないね」


リントの言葉を思い出す。

このドラゴンとの戦いが終わったら、真っ先にリントに会って、ドラゴンについて聞かせてやりたい。

リントの話していたことが、役に立ったよ―――とか、ね。



「進言で…

「ガルグエァアア!」


急いでドラゴンの鱗について進言しようとするも、ドラゴンが吼えたことで、遮られてしまった。


しかし、この情報を伝え損ねれば全滅の危険性すらある。

もう一度、声を張り上げる。


「進言です!お父さ…隊長!ドラゴンの鱗はこの世で最も硬いと言われています!各自で攻撃しても意味がないと思われますので、別の指示をしてください!」


口に出して思った。


私はこの世で最も硬い鱗を持つ生き物と戦っているのか…と。


私はどんな無理をしようとしているのだろうか。

岩を砕いて、鋼を裂いて、この世で最も硬い生き物と戦う。


無理に決まっている、ような気もする。


でも。


それでも私は、このドラゴンの前に立つ。


理由は決まっている。


幼馴染みの…リントを、助けるため!


私は決意を新たにし、ドラゴンを見据えた。


そうしたら、何かが起こった。


(シル…僕はリントだ…これが聞こえたら…うーん…なんでもいいや、合図を送ってくれない?)


え?


あれ…今、何か声が聞こえた気が…え…今、僕はリントって…?


謎の声の出どころを、反射的に探す。

一体、どこから…。

…まさか、このドラゴンから…?


ありえない。

このドラゴンがリント…なんてことが、あるはず…。


(シルならば、このドラゴンっぽくないセリフを僕のものだと分かってくれるはず…。)


あった。

このドラゴンはリントだ。

間違いなくリントだ。

多分、本人からしたら祈っているだけなのだろうが、こちらには筒抜けになってしまっている。


(お願いします…)


なーんでそこまで伝えちゃうかなー…。


(頼むから…)


目の前のドラゴンがリントであることを、私は断定した。

こんな情けないドラゴン、いるはずがない。

うっかり者の幼馴染みは、何があったのかドラゴンになってしまったらしい。


(だめだったかな…?)

「はぁー…」


安堵と落胆と拍子抜けの三つの要素が混じったため息を吐きつつ、合図を送れと言われたのを思い出したので、私はドラゴンに近づいて…


(伝わってた…?)


村の人全員の迷惑と、自分の心配を返せという気持ちを込めて…


(何をするつもりなんだろうか…?)


鼻先を、盾で叩いた。


(痛ぁあ!!)


…頭の中に直接悲鳴が響いて、少しうるさかった。

伝わりすぎた思い。


もし、もしも「続きが気になるかもしれない」とか「もっと面白かったらなぁ」とか思っていただければありがたいです…!


そう思っていただけたならば、ぜひとも助言、アドバイス、誤字報告、いやもうなんだって構いません!書いていただけると嬉しいです!自分にできる全力で活かしますので!

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