彼女は
目の前に懐かしい面影が映る。
彼女はインタビューを受けていた。
暗い。
握りしめたその手を離しかけるほどに
私の胸を衝撃の電気がなぞった
冷や汗。
彼女は近くの青い椅子に座り込む。
刹那。
私は目を閉じる。
その場を立ち上がる。
足先に風が吹いたように感じた。
寒いな。
立ちくらみの感覚とともに私は床に着く。
私は目を閉じる。
思い浮かぶのは彼女の顔だった。
罵詈雑言の中で微笑む。その想像が一本の白い糸に見えた。
その糸を掴み、私はこの地獄から出ようとしていた。
眠れない。
汗、汗。
私は起き上がる。
再び彼女と対面する。
彼女は白いベッドに寝転ぶ。
ことの顛末も覚えていない彼女は、
いつしか私を飲み込まんばかりだった。
思わずすぐそこにあるスマホを取る。
震える指先。寒い、寒い。
止まらない鼓動とともにキーボードを刻む。
彼女は喘ぎ出す。
『どうしたの』
と伝えるだけに、ここまで多くの文章がいるのか。
スマホを伏せ、私は彼女をまじまじと見る。
嗚呼、可愛い。
溢れた感情は思考回路を潰す。
その手に取りたい。
余った右手で握りしめる。
見れば見るほど引き込まれる。
揺れるスマホ。すぐに振り返る。
バタバタと焦りながら私はその画面を覗き込む。
彼女が果てる。
私は舐めるようにスマホを見つめ、
『ごめん。』
そこから始まる彼女からの文を、
理解する間も無く、スマホがブツリと切れる。
私は血眼になっていたその目を一度瞬きした。
彼女は横たわっていた。
……………つっっ
熱が冷める。
背中を少しづつ冷たい感覚が襲う。
周りに見えた景色が、ただの暗闇となり、
彼女の映るモニターを消した。