第8話 ハンター
15歳になったアンジュととおるは、もうすぐ卒業。卒業前に重要な授業があるが・・・アンジュととおるは、自習となって 暇をもてあそんでいた。
屋外で自由に活動できる子供の職業は、きまっていた。『ハンター』、近くの森に行き、獣(コロニー内の家畜だけでは、全ての住人にいきわたる事は出来ない。)、薬草の採取(日のあたりの悪いコロニーで薬草は育たない。)を 仕事とする。そもそも適正になる人数が 少なすぎた。いつも不足しているハンターは、コロニーの花形職業でもある。
クラスの生徒が、色々な職業の講義・適性検査を受けている間・・アンジュととおるは、実際に ハンターをやってみる事にした。今は引退したハンターに弟子入りして(どうせ学校に行ってもしばらく自習しかないので、簡単に学校の許可がおりた。)・・装備を整え、それほど強くない獣のいる 近くの森へ・・・。
獣の狩り方を教わり・・・見習いハンターは・・・
「おーい、そっちに行ったぞ!」追い立てる師匠の声
「・・・」声を出すと気付かれる・・アンジュととおるは、身を伏せ・・
『ガサガサ・・・』不安・・そんな顔をした猪?が こちらに来る。
『カサカサ・』何かいる、本能が危険を伝える。右で何かが動いた・・猪?は、左に動き・・体の向きを変えようとした。
『カチャ』乾いた金属音、猪?の足にワナが食い込む。
『ギィーギィー』猪?の鳴き声が森に響く・・
「おぅ、こんどはちゃんと出来たようだな。」にこやかな師匠の笑顔。ここ何度か失敗して、苦虫を噛み潰したような顔がうそのようだ。
「じゃ、アンジュ。血抜きしてみろ。」結構深く穴を掘っていた師匠、アンジュに声をかける。
ロープを太い枝に掛け・・3人で木に吊り下げる。アンジュは、刃の厚い包丁?を取ると、猪?の首をはねる。ドサッと同時に血が穴へと吸い込まれていく。あたりに血の匂いが充満・・危険な獣を呼び寄せるので 本来はコロニーのそばでやりたいのだが、血抜きが遅くなると 臭い肉になってしまう。
3人が警戒していたからか・・・獣が近づく事はなかった。
「もう良いだろう。」
枝ぶりのいい木を使い、3人で担いで コロニーまで運搬する。途中、油断する事は許されない。美味しそうな獲物を 運んでいるのだ・・夜までに帰らないと・・・。
「よい、ついたぞ。今夜は、少し豪華な宴会になる。」嬉しそうに師匠は笑っている。
「明日からは、刃物を使った、より実践的な狩りを教えてやる。」
段々、実習はハードになっていく・・・。