第5話 異能検査
すっかりなじんだ母は、みんなで(アンジュ と とおる と とおるの母親)お弁当を広げている。午後から始まる就学前検査に 一緒に行く約束をしたようだ。
母親同士どうも顔なじみの様子だ。病院が一緒?・・確か、ケガも病気もしていないはず?俺の疑問に誰も答えてくれるはずも無く、アンジュの目がいたい・・・。
昼食が終わり・・学校へと一緒に歩き出す。
(とおるの異能、みた?)
(見たよ。)どうもベンチに腰掛けたあたりで、アンジュが目覚めたようだ。が、体を取り戻そうとしなかった?疑問に気付いたのか・・?
(面白そうな事をしてたから、それに、(とおるの異能は、)誰にも話さない。)
アンジュの瞳がキラキラしているのがわかる。面白いおもちゃを手放す事はないようだ。
歩きながら、アンジュはとおると話をしている。とおるは、先ほど(俺との話)とすこし違和感を感じるのか、話づらそうにしている。・・・しばらく話をしていると 違和感にも慣れた?だろうか、アンジュとも友達になれたようだ。
学校に到着すると、親と離れて 一人一人 中にはいっていく。中での検査は、いつも見慣れた検査。身長・体重・視力・等々・・・体力検査・反復横跳び・等々・アンジュがサボり始めた。午前の遊びに疲れたのか、動きが散漫になっている。・・・そして、問診と続いていった。
俺の順番になる数人前、アンジュの視線が机の上に・・何気なく試験用紙を覗き込んだ。興味がないアンジュは、視線を動かす・・ここに興味を引く物がない。
俺は、一瞬アンジュがのぞいた用紙を・・顔が動かない・・見えない・・
(どうした?)
(机の上のあの用紙がみたい。)
(用紙?・・ああ、これか。)
確か、母は、「就学前検査」と言っていた。でも・・ここに書かれているのは「異能検査」・・・。?
(俺は、字がよめるのか?)
(そうだ)俺のドヤ顔で アンジュが嫌な顔をする。
「先生、今年は見つかりました?」
「いないようだ。」
看護師が検査用紙を、パラパラとめくっていく。
「この2人・・?」
「誕生日が面白いだろう、親たちが競って その日に産むように頑張ったようだ。その日に生まれたのは5人。そのうち、2人が病死・1人が事故で死亡している。」
「5人・・そう・・。」急に興味を失くしたようだ。
「以前、ここから1人連れ出しただろう。それ以来戻ってこないから、親達の間で噂になっている。」
「どんな?」あまり興味なさそうな・・
「政府が異能者を集めている。なにかの実験に・・、とかの噂。」
「そう、間違いじゃないよね。でも、必要な事だから。」看護師の視線が、刺さる。
「わかっています。」医師の背筋が伸びたようだ・・・。