第3話 二重人格
この子の名前は、『アンジュ』。どう見ても日本人の名前じゃないよな?それにも増して・・この子の誕生日がスゴイ。壁に貼られた・・よく、子供の手形や名前、誕生日を書いたあれね。
アンジュ(名字って無いようだ) 誕生、2222年2月22日(どんだけ頑張ったのだろう)
ここの住所?場所が書かれていないから、何処に住んでいるのか不明だけれど・・もっと、俺を悩ませている事が・・・
あれから数年後、やっとアンジュが 言葉を覚え始めた頃。
俺は、直接 アンジュに言葉を教えていた。脳内で直接やり取りする・・そんな感じ。アンジュの物覚えは、凄まじく・・みるみるうちに言葉を覚えていく。
アンジュの自我が出てきた頃。俺とアンジュとの意思疎通が出来るようになっていた。まだ幼いアンジュだけれど、まだ 四肢の支配権を持っているので 俺はアンジュの動きをただ見ているだけだった。
俺がアンジュの体をあやつり・・自由に出来る日は来るのだろうか・・・はぁ・・・。
それは、突然はじまった。アンジュがつかまり立ちを 始めた頃。両親が目を離した・・その時、アンジュは 興味を持ったアイロン?(母が大型のこてを使い、父の服のしわを伸ばしていた)を 触ろうとして・・よろよろと歩いていく。母は 気付いていない・・・アンジュは、立ち止まり、体を前に倒し手を伸ばす。重心が前に傾く・・・。
何を始めるか分かった俺は、必死に止めようとするが・・俺の意思は無視される。やがて、アンジュの手が・・俺は、怒った!「このバカ娘!」俺の剣幕に驚いたアンジュは、一旦動きを止めるが・・いつもの事と思い、手を伸ばそうと・・・
俺はあせった。いままで一番 どうしていいのかわからなかった。とにかく、やめさせるようとアンジュの体を支配しようとする・・・
それも突然はじまった。おれの意思で アンジュの体を動かすことができた。後ろによろける様に倒れる俺。倒れた拍子に 大声で泣きわめく(動かせた事に驚いた俺と体を奪われ驚いたアンジュが・・)、気付いた母が、アンジュをあやしながらベットへと連れていってくれた。
ベットに寝かさた俺は、試しに四肢を動かしてみる。俺の意思通りに動く・・満足!驚いたアンジュは、俺に猛抗議をするが・・うれしすぎる俺は、それを取り合うつもりはない。
しばらく、体を動かし、言葉を出して いろいろ試していると・・・猛烈な睡魔が襲ってきた。
起きた俺は、アンジュの体を動かすことができなかった。あれ以来、アンジュは俺の言葉を無視して 話しかけに応じてくれない。束の間の・・・ふぅ。これでは、俺は、アンジュの中で陰の人生を歩む事になりそうだ。神様代行は・・・出来るのだろうか?
そういえば、あの神様・・遅刻とか・・ダメ神様じゃないのか?