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九十ノ怪 ぽつん…と″そこ″に

今回の内容は、極ありきたりなお話なのですが…

しかし、いざそんな場面に出くわしてしまったら…

読者みな様方々、こんなご経験された事は御座いませんか?


ただ道を歩いていて、真正面…ではなく視界の端のほう…。とある場所を通り過ぎた時、一瞬真横に立ちつくす誰かの人影が見えて…「あれ?今、自販機の横に誰かいたな…」と、何気に振り返ってみると…


「……。」


そこには″誰もいなかった″…なんて事が…


物理的に隠れるスペースなんて無く、自販機自体が人影を模した色彩を放っている訳ではなく…、そんな物質的なものが見えた訳でもない。

背後には頑丈でしっかりとした灰色のコンクリート壁があるだけで、まさか″ソレ″が、一瞬で壁を飛び越えたとか?一体何の為に??


でもこれらは毎度毎度見える訳ではなくて、自分ケイジなら己のバイオリズム加減?…で見えたり見えなかったりします…

素で勘違いしてる?年齢的に眼球内の浮遊物が原因?脳が異常?馬鹿だから?天候の加減?何やらは高い所が好き?もしくは気温や湿度の影響?

…と。只、″ソレ″が気分屋なだけかも知れませんが…


…って誰だ、途中で酷い言葉たんごを混ぜた奴は…


いえいえ…

単に己の頭がおかしい疑いもありますが…、そんな認識だけは、ちょい勘弁して下さい…。いや、本当に…泣


一回チラ見したくらいなら信憑性は低いのですが。″同じ現場で複数回見た″…とか、近辺で″身近な親族が事故死…、もしくは病気で苦しみながら亡くなった″…となると話は別です。


ほんの一例として、そこは大阪の藤◯寺IC。

車で高速道路を降り南港方面へ右側には高速道路の高架を潜る手前に二車線。左折用の側道と直進の道路を跨ぐ信号機のついた歩道があり、普段その前を車で通過する事があるのですが…


″稀に人影が見えます″…


高速道路を降りてきた自動車が南港の方に向かって右折すれば、車から見てその位置は左側。

″ソレ″は永遠と信号待ちをしているのか、一瞬ですが″チラリ″と人影が見える時があるのです。視界の片隅に…何故か真正面ではハッキリとは見えないので、通り抜けざま、その全体像や性別等は不明です…

その身長タッパから、動物系ではないと判断。だって人間みたく、信号待ちで″立っている動物″なんている訳がないですから…


そこは高速から降りてきた車が感覚的にも惰性でかなりスピードを出しており、信号が青なら一気に通り抜けるであろう危険な道…。単純に考えて…、ここで事故に遭われた方でしょうか…?

※そこから10メートル程後方の信号機…。一つ手前の歩道横の電柱に、いつも花が添えられていますが…


凄く無念だった…?今も苦しみ続けている…?己が死を理解出来ていないのか…?…そういったたぐいの思念体かもしれませんが…


ふとハンドルを握る手首を見れば、いつもそこには肌身離さず身に付けている数珠があります。それをもう片方の手でそっと触れ、敢えて自分ケイジは″ソチラ″へ視線を向けたりはしません。もし視界の端にチラッとでも見えたら、知らぬ、存ぜぬ。「またか…」程度の感覚で通り過ぎるのです。そう、出来る限り″ソレとシンクロしてしまわない″様に…


…ってかさ?数珠していても見えるモノは見えるのですよ…。早い話、こんなアイテムは只の気休め。神頼み的な軽い気持ち程度の話です。全く効かねぇよぉ〜、効果ねぇよぉ〜……が本音。泣


余談ですが、その影が見える場所から南側…。先の側道を入って高速道路下を少し進んだ先でも…

そこの交差点には民家の角に直径1メートル以上の巨大な岩がゴロリとあり、昔はそこで頻繁に交通事故が起こっていました。

自分ケイジの兄弟、次男タメ兄が高校生の頃。兄の友達がソレにバイクで突っ込んで亡くなってしまい、そこでの犠牲者の内の一人となってしまった事があるのです…

…で、そこも人影を何度も見てしまう一つの魔のスポットと化していたのですが…


自分的に、これらの現象は人通りの多い施設や公共の場…、大きな駅等でも多く見られる案件だと思います。でも逆に″人が多い場所″だから″ソレ″の見分けがつかず、バッタリ遭遇しても全く気付かないし、気にもならない…。読者みな様も知らぬ間に見逃しているのかもしれませんよ…ーー



…と、そこで別話ですが。昔、自分ケイジの友達″ペイ″から聞かされたお話が一つ。

彼の仕事はカレンダー通りに、毎日電車通いしていました。でもハードなのか度々残業で家に帰るのが遅くなる事があったのです。そんなある日、ただの気紛れかプラットホームではいつもと違う場所に立ち、終電から数本前の列車に乗ろうと待っていたら…


(カタンコトン、カタンコトン…)


彼は時間潰しに、ずっと携帯をいじりながら列車を待っていました。寂しいかな、そんなホームは終電近くもあり、ラッシュ時とは違い人は疎らにしかいません。

…と、そこで。この駅では停車しない準急列車が目の前を一気に通過しました。

するとペイが何気に通過中の列車を見た時、列車内に立っている人が殆どいない二枚越しの窓ガラスの更に向こう側…。要は反対側のホームにサラリーマン風の″人が立っている″のが見えたのです。

(※ガラケー時代の話しです)


「……。」


ペイは「残業…?自分と同じで気の毒な男性だな…」と。勝手に、その人も″反対方向へ帰る残業仲間″とみなし、少し苦笑い。すぐに持っている携帯へと視線を戻しました。やがて列車は、そのまま通り過ぎたのですが…


「…あれ?」


列車が通過した直後、彼の視線は携帯画面を見ていましたが、その視界の先…。ふと前を見直した時。確かに反対側のプラットホームには″人が立っていた″筈なのに、今は誰もいなかったのです…

よってペイはまじまじと正面へ向き直しキョロキョロ…ホームを見て確認したのですが、その辺りには誰も人がいなくて…

その″人″は通過中の列車に飛び乗ったのでしょうか?もしくは線路上に飛び降りた?実は、やっちゃった迷惑Y◯◯Tuberだったとか…?

いや、まてよ…。体調不良で意識を失い、そのまま線路に落下していたとしたら…?だったら、一大事だっ…!?


「……。」


……否。


携帯片手に慌てて前へ身を乗り出す感じ、ペイはキョロキョロと下の線路も見渡してみたのですが…


「誰も…いない…」


完全に消えてしまったであろう、その不気味な″人″…。単なる見間違いだったのでしょうか?いや、視力も1.0と良好で、通過列車のガラス越しにハッキリとその姿が見えていましたから…


(ゾゾッ…)


そしてペイは全身へ身の毛もよだつ悪寒と共に、得体の知れないモノを見てしまった恐怖で背筋がゾゾッ…と。いつも列車待ちをしていた位置まで猛ダッシュで戻ったとか…

もちろんそれからは残業で遅くなったとしても、その目撃現場には一切寄りつかない様にしているとの事。そのお陰か、同様の心霊体験は無いみたいです…



そして更に上記ソレとは別パターンの話で…

今度は自分ケイジの妻方の″叔父オジ″から聞いたお話になります…


その叔父の実の兄…、要はケイジ妻の父親…自分ケイジからは義父になりますが。この二人きょうだいが小学生くらいの頃。義父はデカい女郎蜘蛛を長い木の枝に乗せ、それを持って叔父おとうとを追いかけ回した事があるらしいのです。

叔父は幽霊以外にも蜘蛛が大の苦手。悲鳴をあげながら逃げ、近くにある神社の拝殿下の空きスペースに身を隠しました。しかし隠れはしたのですが、実はそこも蜘蛛の巣だらけで五十歩百歩…。絶叫したいのを必死に堪える幼い頃の叔父。慎重且つ音を立てない様、半泣き状態になりながらも、必死で蜘蛛の巣を払い除けていたとか。

…で。神社は石畳以外、少し大きめの砂利で埋め尽くされており、蜘蛛を片手に持つ追跡者アニキの足音が生々しく叔父の耳元へと届いてきました…


(ジャッ、ジャッ…、ジャッ、ジャッ…)


確実に近づいてくるゾッとする足音。

「もう兄に見つかってしまったのかも…」…と、叔父は下を向いたまま半ば諦めていたのです。兄貴に「あの気持ち悪い巨大で気持ち悪い蜘蛛を押し付けられる…」…と…


(ジャッ、ジャッ…、ジャッ、ジャッ…)


やがて足音は叔父が屈んでいる目の前で止まりました、。そして立っている人の影が叔父の屈んでいる叔父の視界へ入ります…


ああ…、ウホッ、ヤられる…


この時、叔父は目をグッと瞑りながら完全諦めモードに突入。全身から力が抜け、あとは兄貴にされるがまま、大嫌いな蜘蛛を体へ押し付けらるだろう……と。


「……。」


「……。」


「……?」


しかし、いくら待っていても何もされなかったのです。いや…、寧ろ人の気配すらしない?それは、不気味で怪しげな雰囲気…とでも言えばいいのでしょうか…?

でも再び瞳を開けば、前に立っているであろう″人の影″だけは、しっかりと目に映っていて…


でも遅い…、いくらなんでも焦らし過ぎる…


もしかして気付くアクションをする迄の焦らし作戦なのでしょうか?

取り敢えず、真正面を向いたらいきなり…「ハイッ、蜘蛛!」…とか?いや、因果応報か?蜘蛛が枝を伝い自分アニキの手の方に来てしまって、慌てて持ち方を変えたりして?難儀してるとか?

それにしては影が動く気配すらなくて、兄貴は叔父じぶんを面白おかしくバカにしているのでしょうか?怯える自分を嘲笑い楽しんでいるのでしょうか?すると段々と、それが許せなくなってきて…


「もうっ、やめてよっ!!」


仕方無く叔父はそう叫び、ゆっくりと面を上げたのです…


「…!?」


…ですが、叔父の視界に映ったモノは″クレイジー兄貴″や″大嫌いな蜘蛛″等ではなく、誰もいない″ただの閑散とした参道と、何も無い寂しい神社の空間″だけが延々と広がっていました…


「…え?」


再確認の為に慌てて下を見るも、いつの間にかさっきまで確かにあった人影は消え去っていて…

要は、これは昔からケイジや叔父じぶんが何度も垣間見てきた心霊現象の類。よって急ぎ腕に付けていた数珠を手で握り直し、死に物狂いで一目散に出口の大鳥居に向かって走り出しました。


(ジャッ、ジャッ…、ジャッ、ジャッ…)


「はぁはぁはぁ……」


と、その時ーー


「ーー…、…っーー」


さっきまで″自分がいた場所″…

背後の方で誰かが囁いている気がして、兄貴が叔父じぶんを驚かそうと、後から躍起になって追いかけてきてると思い込み。その振り向きざま


「や、やめ……!?」


しかし″そこ″には、嫌がらせをする兄なんて″モノ″は存在せず…。只、″ゆらぁ〜″っと薄黒い人影の様な″モノ″が立っていて、さっきまで叔父が屈んでいた方をジッと見つめたまま、やがてその場からスーッと消え去ったのです…


「!!!?」


…ってか、問題児である義父アニキは何処行った??


叔父曰く。それが己の背後霊か?はたまた、そこにいた地縛霊や浮遊霊の類いなのかは一切不明との事。


「おっちゃんな?幽霊と蜘蛛だけは、ホンマにダメなんや…」


「で、ですよねぇ〜…」


自分ケイジもよく似た話や体験をしていますが…

自分の実兄であるナガ兄が、親父に対する恨みを抱えたまま入院先の病院で生死の境を彷徨っている間や、他界した後に何度か″ソレ″に似たモノを目撃しましたので…


…と。妻の実家にいる時に自分ケイジと叔父の二人で、長々とこの手の会話をしていたのです……が、突然横から我が妻がこの会話に参戦し…


「ウチはな?何にもしてけーへん幽霊なんかよりも、色々と実害のある叔母ヨシヘちゃんが受け付けへんわ。あー、ホンマ最悪や!」


「「……。」」


そんなリアルな皮肉を吐露する妻。

こんな妻みたいに霊的なモノが全く見えない、何も感じない。ぶっちゃけ、すぐ思った事をハッキリと口に出せる人がホント羨ましいです…はい…


自分ケイジ的には何処ぞでバッタリ幽霊と鉢合わせするのと、殺虫剤片手に台所で追い詰めたゴキ◯リが突如こっちに向かって走ってくるのと、同じくらいのレベルで恐怖を感じますが…


で…、それ以上に怖いのが実は″キレた我が妻″…、おっと…、これは書かなかったという事で…


幽霊よりも我が愛妻が一番怖かった……


…ってか、最後が妻オチって何だよっ!


…と、という事で。

上記の様なのを日頃から注意しチェックしておけば、もし同様の体験をされたのなら、それは″貴方様に霊感がある″と思って貰っていいと思います。


要は、『人の死に際の場所や状況、そして苦しみに遺恨』…ーー


それらが起こりうる現場…、死亡数の多い病院や自殺の名所。殺人現場や死亡事故が多発する現場等…

身近な状況なら、近しい親族が酷く未練を残したり、苦しみぬいて亡くなられたりしたら…直後。読者あなた様も、モロ心霊体験されるかもしれませんよ…?



…と、今回はここまで。最後まで読んでいただき、ありがとう御座いました。





完。

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