八十八ノ怪 狂気の″ヨシヘ″…前編
この現世には…
未練を遺せし悍ましき彷徨える霊よりも、恐ろしき″モノ″が存在する事を知っていますか?
突然あると思っていた″大事なモノ″が消失したり…。何度も何度も同じ台詞を″耳元で叫ばれた″り…。更には″大事なモノ″が異常な暴走行動によっていきなり破壊されてしまったり………と。
今回はある種、別視点の恐ろしきリアル自己体験を書かせていただく事にします…ーー
「ちょっ、くるまをとめてぅぇ〜っ!!ケイジくんっ!く、くるまをとめてぇ〜なぁあっ!!」
「ひっ!?」
ここは、とあるファーストフード店。
マイカーがドライブスルーの順番待ち中に、突如車内の密閉空間に鳴り響く″オバさんの絶叫″。
狂気の沙汰か「キーン…」と、その甲高い声に激しく震える鼓膜が痛い、痛い…
地獄で蠢く魑魅魍魎?断末魔の叫びって、コレに似ているんじゃないでしょうか…
更に運転手ケイジへ、想定外のハプニングが突如襲い掛かってきます…。それは、そのオバさんの絶叫に合わせ、勝手に後部座席のドアを開き…
(ガチャ!!ガガガ…、ガギャッ……)
「…へっ!?」
そこは車幅ギリギリの狭小ドライブスルー…
当然そんな場所で急に車のドアを開けたらどーなるか?
店舗側壁コンクリート部分へ勢い良く、接触しーの、変形しーの、破損しーの、大破しーの…
良い子は車が動いている時にドアを開けちゃ絶対ダメですよ…?
…と。わざわざ注意しなくとも、ちっちゃな子供でも普通に危険だと分かると思うのですが…
「……。」
そしてこのケイジカーの惨劇に驚いたドライブスルーにいる後続車は、巻き込まれる二次被害を恐れ、凄く混んでいるのに車間距離を思いっ切り空けていました…
「……。」
ついでに自分はハンドルを握ったまま顔面蒼白…。車ドアの修理費と、このオバさんの更なる暴走に恐怖しながら血の気がサ〜っと完全に引いている状態でした…
はいその通り…、我が頭部の血液が全て何処かの部位へと出張中です…
(ギギッ、ギギャッ…)
「あれれ?ケイジくん…、車のドアがちゃんと閉まれへんわ…。何でやろ…?」
「……。」
見たら分かるだろ、思いっ切りドアが変形してんだよっ…!オーッ…マイガァーッ…。俺の愛車がぁ〜…。ドアガァー…デムッ!…うぅ…、修理費がぁ〜…、しくしく…何てこったいっ……
「あっ、そやっ。ケ、ケイジくん、わたしがここのお金払うから早く車をとめてぇ〜!!でないと、お父ちゃんに怒られるからっ!!早く、とめてぇ〜っ!!」
…え?この人はそんな事で、いきなり車のドアを開けたのか…??しかも、コンクリート壁でドアを破壊した件は完全無視か…!?
取り敢えず人身事故じゃなくてよかったですが…、この大人を車に乗せる時はドアをチャイルドロックにしておくくべきでした…
「ケイジくんっ!私がお金払うから早く止めてっっ!!」
「オバさん…、ここはドライブスルーですから、注文後に商品と引き換えの支払いです…。注文もしてないのにお金は支払えないし、わざわざ車から降りてお金払うなんて危ないし、ドライブスルーの意味が無いから止めてください…」
「え?何で!?」
「……。」
…で、さっきから叫んでいるこの超問題児…
実は自分の妻方の叔父の奥さんで、名は″ヨシヘ″という方でした。身内の中でもかなり有名で、トラブルメーカー&軽くぶっ飛んでしまっている人なのです…
「だから、何で!?」
「……。」
それよりも…
さっきからそんなに叫びまくらなくても、ず〜っと、充分、酷いくらい、地獄耳でもないのに、必要以上に聞こえてますよ…もう、半ばトラウマ状態ですから…
…ってか、ああ…、やっぱり俺の愛車の修理費が…と、現実が後から脳裏へ走馬灯の様に追っ掛けてきて…
「ケイジくんっ!お金払うから早くとめてぇっ!!ほらっ、これお金っ。早く受け取ってっ!!ほらっ、これっ、ほらっこれっ!!あー、もおっ、ウチが車から降りて支払ってこよかっ!?」
「あ、危ないですっ。う、運転中だからハンドルを握ってる手にお金を押しつけないで下さいっ…。ホント事故りますからっ…」
「え?何で!?」
「……。」
この人ばかりは甲高い金切り声で…「え?何で!?」を何度も繰り返し、言い続けるのです…
…と。まるで漫画みたいな展開ですが、これらのお話はリアルな出来事なのです…。マジ話で、嘘偽り無き…真実です。はい…泣
そしてヨシヘさんの、そのあまりの五月蝿さに自分の顔は車前方へ向いたまま、ずっと白目も剥いていましたが何か…?
「……。」
血縁関係の無い他人さんだけど、妻方の叔母だし、色々と文句を言いたくても自分の立場上、言い辛いじゃないですか…?
「とめてーっ!」
「……。」
相も変わらず、後部座席からワンワン・キャンキャンと…
そこで再び後部座席から、運転手の顔辺りに目一杯片手を伸ばしてきて、パタパタと万札を振り回してくるヨシヘさん…
「ケイジくんっコレッ、はよ取ってーっ!!」
(プチッ…)
…と。そこでようやく同乗していた妻の堪忍袋の緒がブった切られたみたいで…
「もうっ、さっきから″オバちゃん″が一番うるさいっ!!!ドライブスルーは、お金を支払うのは一番最後って決まってるのっ!後ろに座ってる人がわざわざ″車から降りてお金を支払う″とか、そんな話聞いた事無いわっ!!何の為のドライブスルーやのっ!!アホとちゃう??むっちゃ恥ずかしいし、もうやめてっ!!それにっ…旦那も運転中に、そんなんされたらココで事故ってまうわっ!…で、アンタが壊した車のドアッ、どないしてくれるのっ!この、ドアホッ!!」
「うっ…、◯◯ちゃん…」
「……。」
現在車に乗っているのは、出来る限り無関係を装い沈黙を貫き通す自分…と、その妻。そして全く抑制がきかず暴走モードが止まらない、妻方の叔母″モンスターヨシヘさん″…の三人だけ…
取り敢えず、暴走ヨシヘさんを思いっ切り怒鳴りつけていた我が妻。
「そうだ〜、そうだ〜、もっと言ってやってくれ〜…」…泣
しかし…、この齢にして全く落ち着きの無い傍若無人っぷり…。本当にこの人、巷では落ち着くと言われている六十代中頃か…?
(かなりヤバいし、この人怖い…)
え?幽霊の方が怖い…?
それよりも実害のある人物…、ある意味それが真の恐怖だったりしませんか…?
生活上、必要以上の弊害を齎す、こんな稚拙な大人が身近にいるって事にも困惑&狼狽していますが…
今いる場所は自分が来た事の無い、全く知らない土地だったのです。要は最近二世帯住宅を買ったヨシヘさん家族に呼ばれて、ここへケイジ家族で遊びに来たという事。
そして朝食は子供たちからの要望が濃かった某ファーストフード店へ。その道案内をヨシヘさんにしてもらっている最中でした…
まぁ、恐らくヨシヘさんは、叔父さんから「遊びに来いと呼んだのは俺らだからケイジくんファミリーに、お金を絶対出させるなよ?」…とでも言われてきたのでしょう…
ですが案内なら、まともな″叔父さん″の方について来てもらいたかったのが本音です…ーー
ーーここは兵庫県三田市からちょい大阪寄り。
車なら宝塚からも結構近い土地で、妻方叔父夫婦の娘さんの旦那さんが、この二世帯住宅を凄く気に入って即買ったとか?
″環境の良い超高級住宅街近く″…って、選んだ理由はまさにソレかもしれません。
そして今回、ケイジファミリーが″そこへ″お出掛けとなった理由なのですが…
妻方の叔父夫婦の娘で、妻と同じ歳の従姉妹にあたる″ミユ″が結婚し「新築二世帯住宅を買ったから、一度家族で遊びにおいでよ?」…と、お誘いを受けたのが事の発端でした。
そこは森も深く大自然に囲まれているだけで最寄りのバスも遠くて、1日に数本往復するだけ…と少なく。近くには、簡単に買い出し出来る様なコンビニやディスカウントショップも無かったのです。
しかも山手だから急で勾配で坂道ばかり。冬季積雪の量も半端無く、車の免許が無い叔父叔母老夫婦にとっては、まさに便利が悪過ぎる地獄の様な土地だったのです…
では何故わざわざそんな土地へ急に引っ越す事になったのでしょう…?
そこへ移り住んだ理由は、ミユの旦那さんの意見が1割…で。残りの9割は叔母のヨシヘさんが叔父の退職金…。所謂、家の預貯金全てを使い込み、借金までしてしまっていたのが原因とか…
詳細については…
ヨシヘさんは叔父に内緒で家の預貯金を、金遣いの荒い実の妹″カス″や、見知らぬ″赤の他人さん″へ貸していたとか…
更に選挙になると凄く五月蝿くなる、あの宗教ねか信者の友達に騙されて、高価な着物やブランド品を多数買わされたり…。他にも色々アリアリで…
そして一番お金を浪費したであろう問題筆頭、独身で実の妹カス。
彼女はヒモの様な男に金銭を全て騙し取られるまで、長年現役バリバリのキャリアウーマンでした。その時の金回りの良い生活から男をバカにしている傲慢さが剥き出しに、普段からブランド物を買い漁り、買って飽きたら捨てる様に人へプレゼントしたり…と散財の限りを尽くしていたのです。
人から「こんな高価なモノをいいんですか?カスさんありがとう(はあと)」やら「いつも違う綺麗な衣装を着てくるカスさんって凄く素敵ですね(はあと)」とか言われたりしたら、何か″ゾクゾク″…っと脳内のアドレナリンが分泌されまくっていたのでしょう…
…と。そんな感じに人から称賛されるのが好きな、本当に金遣いが荒い人だったみたいなのです。
まるで自分の浪費親父の、女性バージョンみたいな人ですね……。滝汗
しかし彼女が長年勤めていた会社が急に倒産し、金の切れ目は縁の切れ目。同時に貯金の大半をヒモ男に持ち逃げされてしまいます。
そして再就職を目指すも、本人は汚れ系や軽作業的なものは大嫌い。役職でない下で一から働くなんてもってのほか。しかも齢六十過ぎなのに細かい選り好みをし、我儘ばかりで再就職先なんて見つかる筈もありません。
そんな中″金遣いが荒い″のだけは直っていなくて。超馬鹿さ加減っぷりを発揮する、その余波が実の姉であるヨシヘさんの元へ…
「姉さん。今月の生活費が足りなくて困ってるの…。だから″また″お金を貸してちょうだい…?」
…″また″という事は何度も貸していたという証左。
で、毎月毎月叔父さんにバレない様、金の無心に叔父宅へ顔を出す様になった妹カス。その都度ヨシヘは旦那さんに内緒で妹に生活費を渡していたらしいです。
その時、偶然会ったカスが叔父に言った嘘八百が酷い…
「ここは、生花がとっても安いから買いに来てるの」
…と言ってたとか…
事件発覚前に、わざわざ電車代を出して墓前に供える花が安いとか?少し変だな…?と、最初から叔父も怪しがっていたのですが、それを深く追及しなかったのが仇となってしまったみたいです…
更に別件。
ヨシヘさんの友達は金絡みのアノ宗教信者だからか。こんな彼女は騙し易く、その信者からすれば、ヨシヘさんは格好の獲物だった事でしょう。
このご時世、誰も着もしない家族全員分の、高額な着物をヨシヘさんにローンで買わせたとか…。そしてその信者友達とやらは、知人の着物店から紹介料のマージンバック貰っていたと思われます。
それに今だ、そんなヤツを友達と言ってる事を考えれば、ヨシヘさんは何かしら脳に問題があると思うのですが…
更に、その友達?からの勧めで「運気が上がり、徳が増えるし、有り難いから」…と、叔父に内緒で。全く有り難くも何とも無い、その宗教新聞を毎月三世帯分も取らされていたとか?
へ?何で同じ新聞を月に3つも?全くもって意味不明です。
しかしパチンコに大負けして、ご機嫌斜めな時に偶然、叔父がそれを発見してしまい…
「こ、こんなもんっ、いっぱいあっても!ケツ拭く紙にもならんやろがっ!しかも、何で毎月三ヶ月分もとるんじゃっ!!阿保か、お前はっ!さっさと止めちまえっ!このっクソババアッ!!」
…と、叔父がブチキレするまでの数年間。ヨシヘさんはその宗教新聞をずっと購入し続けていたのです…
しかし一世帯に何で宗教新聞をそんな数買わせたのか…?読む用、保管用、飾る用?…なワケはない。単に騙されていたのでしょう。
「有り難い″らしい″のに…」
更にヨシヘさんが新聞契約を止めたら止めたで、今度はその宗教友達が「ヨシヘちゃんっ!何で急に新聞とるの止めたのっ!アナタはもうっ、友達でも何でもないっ!きっとバチが当たるわっ!!」…と、逆ギレしてきたとか?
そんな酷い事を言ったり、多額の金銭を要求してくる人が親友?このヨシヘさんばかりは、いい加減騙されていると気付かないのでしょうか…?
これらを理解出来なきゃ永遠に貧乏くじを引き続け、泥沼生活に陥る事はハッキリと目に見えてます。
と、こんな感じに。己が犯罪を犯している事すら理解出来ない迷惑宗教信者によって、半ば叔父夫婦は離婚の危機に陥ってしまっていて…あな恐ろしや…
既にメディア全般、政界も根強く害国に汚染されてしまっている昨今。芸能界すら宗教ソレの巣窟だし、その勧誘を断ればその界隈で干されてしまうらしいですね…
完全に日本人としての道徳心は薄れ、モラルは何処へやら。それに、その宗教の教祖は通名外国人だと知らない人が多いんでしょう…
悲しくも国民の民主主義精神も薄れ、芋蔓式に信者が増えており中◯の言いなりとか…
もう日本は家畜みたく指示、管理され従わさせれる、お隣の中◯みたく、かなりヤバい状況なのかもしれません…
…で、話を戻し。
オマケにその親友から「わたしの知人信者が凄く困っていて、お金を貸してあげて欲しいの。ヨシヘちゃん、どうか助けてあげて?」と懇願され。全く見ず知らずの赤の他人たちへ結構な大金を貸してやってもいたとか…?
親友が困ってる??その宗教友達は謎の人物へ本当に金を渡していたのでしょうか?この失礼極まりない謎の人物からは、金だけ寄越せの一方的な相談のみ。貸してくれる優しい本人には会いもせず、頭も下げず、ただ金銭だけを要求してくるそんな人間が、貸した金を返してくれるワケがない。
まぁ、″貸した人も貸した人″でしょうが…
…ってか『そんなのは信者同士、親友が貸し合いしてやれよっ』…と私なら思いっ切り言い返してやりますが。語学やIQが著しく低い方には、難しかったのかもしれませんね…
冷静に考えれば分かる事なのにヨシヘさんは思い立ったら吉日、頼まれれば即行動&即暴走…
騙されまくりの、カモられまくりの、ある種、理解よりも先に行動してしまう大人の多動症でもありました。
コレらの話からも、その熱狂的な信者である″友達″からは、金銭面でのかなり酷い悪意が窺えます…
…ってか、普通なら気付くでしょ…?滝汗
そして考えが全く足りず、全く周りも見えていないこの叔母の暴走によって貯金はすぐに底を尽き。そこから更に借金まで重ね、周囲まで巻き込む暴走は止まる事を知りません…
そして後日…
タイミングよく叔父夫婦の娘であるミユの結婚話がめでたく決まり。それを機に叔父が「娘夫婦の為に新居の購入資金を退職金から援助してあげよう」…って話になり、さぁ大変。
…どっかで聞いた様な話だな…。自分はこの話がリアルに笑えない…。滝汗
こんな身内の恥ずかしい話だから、自分は叔父夫婦から直に、その内容を聞いたワケではありません。
話は周りに回って、後から身内である妻が自分へその暴露話をしてくれたのです…
叔母の人物像を考えたら「″いつか、何かドデカい事をやらかすだろうなぁ…勿論、マイナス面で…″」とは常々思ってはいましたが、まさかここまで酷かったとは…
実質の被害総額は貯金、退職金、借金を含め1500万超えというのが驚き…
貯金は根刮ぎスッカラカン。数件に及ぶサラ金の督促状も届き。その悪意ある宗教友達は「ヨシヘちゃんが勝手に買ったんやし、ウチは知らん」…と完全に開き直って知らぬ存ぜぬを貫き通し、その問題は平行線&口論は泥沼化。まさに悪魔のアタオカ泥棒迷惑宗教信者へと変貌してしまいます…
この友達とやらは、ヨシヘ夫婦が遠方へ引っ越すと聞いて、内心凄く喜んでいた事でしょう。だって借金問題で揉めなくて済みますから。
そして完全に怒り心頭に発した叔父と娘のミユは、血圧マックス状態で″クレイジーヨシへ″に詰め寄りました…
「あの泥棒妹や、全く知らん人間へお金を貸したりっ!こんな誰も頼んでない、高い着物とかも勝手にローンで買ってしもてっ…。一体誰が着るのっ?誰が付けるの!?コレ、何で私の旦那の分まであるん??誰が、何処へ、何の為にコレを着ていくの??日数が経過してるし、オーダーやから返品も出来へんしっ!借金だけ残って、こんなんやったら息子の″ウキ″にお小遣いをいっぱいプレゼントしてくれた方がよっぽどマシやったわっ!!冷静に考えたら馬鹿でも分かる事やのに…、何でこんな無駄遣いなことしたんやっ!!お母ちゃんのドアホッ!!」
娘のミユが母ヨシヘの肩を激しく揺らしながら、そう怒鳴りつけました。でも…
「だ、だって…。妹が酷く泣き崩れていて、すごく可哀想で…。◯◯ちゃんも『友達が困ってるの…』って、わたしに泣きついてきたから…」
もう馬鹿丸出しなヨシヘさんの言い訳は完全にグダグダ&沼落ち状態…
少し考えが足りない彼女は、大胆且つコソコソと妹の浪費&無駄遣いに加担。事の重大さと我が家族に対しての謝罪の言葉は何一つ無かったとか…。そして我が妻のあまりのアホさ加減に、叔父さんは
「お前のアホ妹は「ここの花が安い」やって?高い電車賃かけて此花から花買いに来てたら、よけ高こつくやろがっ、アホめっ!そんなもんっ地元で買えやっ、ボケッ!!これで可愛い孫、娘夫婦らに何にもしてやられへん様になってしもたやないかっ!それに…「自分の妹が可哀想」やって?泣きじゃくって言われても、死によっても、全く可哀想やとは思わんなっ!!なぁ…?有ると思ってた年金がスッカラカンになってしもた″俺や家族の方が、もっと、もっと可哀想″やとは思わんのかっ!?このドアホったれがっ!!!」
まさにその通り…
この件が発覚後、叔父は重篤な鬱病に罹り現在も通院&治療中に…
「うぅ…」
そして叔父夫婦の毎月支払っている借家代が高いので。どうせ、なけなしのトコから高額捨て家賃を支払うくらいなら…と。叔父夫婦の年金8割を住宅ローンで援助し、残りの2割はヨシヘが借りた借金の返済へ当てながら。娘夫婦も背負い込む、親子孫三代に渡る長期ローンで二世帯住宅を購入する事になってしまいました。
でも…、己の意思とは無関係に。生まれもって借金を背負わされる、お孫さんのウキくんが本当に可哀想で…
と、新たなる土地に来て。トドメに言ったヨシヘさんのひと言に驚愕…
「知り合いも友達もいないし…、こんな不便な土地で、何でわたしがこんなに辛い思いをしやなあかんの…?酷いわ…」
まさに絵空事。
まるで他人がやった事の様に、平気で愚痴をこぼすヨシヘさん。リアルにそう言って、娘のミユと叔父から再度、超絶激怒される羽目に…
「お母ちゃんの自業自得に家族が巻き込まれたんやろっ!ドアホッ!!もう、家から出て行きっ!!」
「じゃかましいっ!!まんま、全部お前の所為やろがっ!!早よ、この家よから消えちまえっ!!」
「うぅ…」
おーい…、それは誰が見ても″全部あなたの所為です″よ?ヨシヘさん…
その数時間後。
最終的に、行くアテもなく公園で棒立ちしていたヨシヘさんを優しい旦那さん…叔父さんが迎えに行った様ですが…
でもホント、よく離婚されなかったな…。口は悪いが、なんだかんだで叔父さんは凄く優しい方でしたから…
で、この重大な自爆テロに関して始終完全無自覚なヨシヘさん。…原因と結果、因果応報。その経緯を脳内で一切処理&理解出来ていないのがある意味凄い方です。
そんなキャラだからか、娘夫婦・夫婦での喧嘩は絶え間なく日常茶飯事で勃発。
やっぱり学習能力が無いのか、ヨシヘさんは新しい新居で娘夫婦と同居し始めたら始めたで、義理の息子へ「男の子が冷やご飯なんか食べたらダメ!」と耳にタコが出来るくらい″レンジでチン″をしつこく勧めていたらしいです。
「義母かあさん、何度も何度も…何度も言うけどさ…?俺は母子家庭で育ったから冷やご飯に慣れてるし、こっちの方が食べやすいから放っておいてくれっ」
「いやっ、だから、男の子はっ…」
「はぁ…。もう、いいってば…」
「いやいや、ミユの旦那さんに冷やご飯なんか食べさせてたら、私が怒られ…」
「お母さんっ!!何度もうるさいっ!!黙っときっ!!!」
それを見かねた娘のミユに、再び一刀両断されるヨシヘさん。何故怒られているのか?…が、全く分かっていないのです…
「うぅ…」
……と。今回こんな複雑な状況&ご家庭へ突如″招待″される事になってしまったケイジファミリー…
はぁ、どーするよ?自分は、妻の身内…叔母のヨシヘさんは凄く苦手なタイプの人なんだ…。いや、寧ろ得意な人なんていないだろうけど…。いや、詐欺師なら騙し易いから喜ぶかな…
彼女は、話し掛けてきても同じ言葉を何度も何度も繰り返し、行動したら行動したでワケのわからない取り決め?の様な事柄を押し付けてくるのです。
例えば「″墓参りは同じ道を帰ってはいけない″」…とか?
あの〜、すいません。妻の実家の墓参は出入り口一つの、踏切まで長〜い一本道なんですが?自分たち家族は墓参りの後、線路の裏手の金網を越えて脱出したり、御陵の池を泳いで帰れと言っておられますか、ヨシヘさん?
…で。そう言った本人は怪しくもジリジリと他人の家の壁伝いに帰られましたが…。不気味且つ不穏過ぎて、他の墓参の方から苦情・通報され、リアルにその趣旨が書かれた回覧板が回ってきたのは秘密です…
喋り出したら同じ話を繰り返すリピート機能を完備し、針飛びするレコードプレイヤーだったら強引に停止出来るのですが、このヨシヘさんだけは絶対に止まりません…
…と。やたらと、超長かった、この人の紹介はここまでとして…ーー
ーー来客万歳。
この時の我がファミリーは自分と妻。娘の長女のヤカ、次女のサリ、幼児の息子ユトの計五人家族。
取り敢えず三時間にも及ぶ長旅を経て叔父夫婦と、その娘のミユ夫婦たちが一緒に住む新居へと到着しました。
ご招待どうもありがとう。そして、もう帰ってもいいですか?
「…??」
でも、着いたはいいが車を停める場所が無い…。そこで突然ヨシヘさんが、思いっ切り明後日の方を指差して…
「あっ、ケイジくん!ほらっ、そこっ!!そこの駐車場が空いてるから、そこに車を停めたらいいわっ!」
「……え?」
ヨシヘさんの指差す先、まだ誰も住んでいない別の新築添え付けの駐車場………なのですが。『無断駐車厳禁』…って立て札が有りますが何か?
「もおっ、お母さんっ!無茶苦茶言わんといてっ!ケイジさんも困ってはるやろっ!車の事が分からんかったら黙っときっ!!どアホッ!!」
「うぅ…」
皆の前で恥ずかしげもなく、ヨシヘさんの実の娘ミユさんがユトと同じ歳の幼児を抱きながら怒鳴る、怒鳴る…
そ、そんなに怒鳴ったら寝ているお子さん起きて泣いちゃいますよ…?
と、こんな感じで、結局は自分たちの車を叔父宅の自宅車庫に入れさせてもらい、ミユ夫婦の車は前面道路に路駐してくれる事になりました。
まぁ、こんな閑静な住宅街に駐禁なんて来ないでしょうから…
そして家が勾配で山手急斜面の所為か、玄関までも長い急な階段で。そこを登っている最中、一番先に登っていたヨシヘさんが上段で急に振り返って…
「ここの階段、急で凄く危ないから気をつけやっ!!ケイジくんもユトくん抱っこしながらだから特に気をつけたってなっ!!つけたってな…、つけたってな……」
逆に…こんな階段の上段で、急に立ち止まられる危ないし、声がやたらとデカいし…。山手だからヨシヘさんの声が″やまびこって″るし…
「わわっ…、あ…。は、はい。あ、ありがとうござ……」
「ケイジくん、階段危なかったら言いやっ!急やしっ、息子さん抱っこしてたら…あ″ーっ!!」
「!!?」
(ドシャッ…)
「もうっ、お母さんっ!何してるのっ!!」
振り返ってまで注意喚起してくれていたヨシヘさん。
しかし、しつこく自分の足元の注意を促してくれていたのですが…。無理な体勢で振り返った事もあり、自身がバランスを崩し、自分の腕を思いっ切り引っ張りながら階段で転倒し、自爆されていました…
こちらは何とか踏ん張りましたが、危うく後方の皆を巻き込む、あわや階段転倒大惨事になるところで…
ヨシヘさんは決して人間的には″悪い人″ではないのですが、少し考えが足らず、反対に悪い人間に騙され易いタイプの人…
それは己だけではなく、身内まで滅ぼしかねない危険なタイプと言えるのですが…
やがて階段を上りきった門へ着くと、その先は凄く大きな庭園が広がっていました。そして、その中にある自家菜園が家族の視界へと飛び込んできたのです。
「す、凄い…」
キュウリにトマト…ピーマンやらネギ…。食べれる野菜を中心に、他にも色々なものが植えられています。
と、そこで叔父さんが
「ケイジくん。老後はする事が無くて暇だろ?だから食費も浮くから野菜の栽培を始めたんだよ。でも素人栽培だから、こんなに難しいとは思ってなくてなぁ。失敗しながらも必死に頑張ってるよ…。割合的に失敗の方が多いけどな?あははは…」
この妻方の叔父さんとは結構仲良しだった自分。
実は叔父さんも常に数珠を持ち歩いていて、かなりの霊感の持ち主だったりします。まぁ、互いに厄除け魔除け程度で、霊が怖いから常備しているだけなのですが…
そして叔父さんは気さくで、人を立てて話すのがとても上手な方でした。滅多な事では怒らない凄く優しい方でもあります。
まぁ、最初は叔父さんが大好きだったパチンコネタで仲良くなったのですが…。でも…、こんな場所じゃぁ、近くにパチンコ屋なんてある筈もなく…、遊ぶお金すら無い状態で…
結論。「だから家庭菜園なのか…」とは、決して口にはしませんが「あのパチンコ大好人間が…。ちょい、可哀想だなぁ…」と、少し切なくなってしまいました…
「へぇ〜…、これは凄いっ。本当にビックリしました。羨ましいですよっ」
「わはははは。だろ?」
でも一番下、抱っこしている幼児の息子ユト以外。我が娘たちは大きな家庭菜園に興味津々。特に長女ヤカは″トマト大好きっ子″なので、じ〜っと目でその獲物をいつまでも目で追っていました。
「ヤカ、サリ、ユト?後でオジちゃんの作った野菜食べさせてやるから、また庭においで?」
「「うんっ」」
妻方の優しい叔父さんと、こんな何気ない会話をしていたら。横にいたヨシヘさんが急にズイッ…と前に出てきて…
「ケイジくんっ、コレ!ウチらが作った野菜やねんっ!後で子供らと一緒に食べにおいでや!」
「…へ?」
…と、叔父さんと同じ言葉を大声で復唱…
「アホったれっ!!俺が今さっき言ったやろが!馬鹿かお前はっ!!」
「うぅ…」
そこで、仕方無く自分がフォローする事に…
「いえ、オジさん。オバさんには、さっきの会話は多分聞こえてなくて、良かれと思って僕らに教えてくれたんだと思いますよ…。だからそんなに怒らずに…」
「そ、そうなの。美味しいからたくさん食べてね?」
「…ありがとうございます。ヤカ、サリ、オジさんオバさんにありがとうは?」
「「ありあとぉ〜」」
「い〜え」
ストレスMAX。もう、初日から超不安です…
妻から叔父ファミリーの新居到着前に聞かされていた「ヨシヘ、狂気の借金地獄事件」(仮名)。
せめて帰り道で教えてくれよ…。引っ越しの裏話なんて先に聞かされた日にゃあ、最初からすっごい気を遣うし、すっごい疲れるんだって…
そして新居招待中のケイジファミリーへ次々と襲い来るヨシヘ絡みのトラブルが、後からシコタマお出迎えしてくれる事になってしまうのですが…
「へぇ〜、家庭菜園で真っ赤で大きなトマトがこんなにたくさん……って、あれ?」
「あっ、ケイジくん。トマトは今″オオタバコガ″の幼虫にやられてるんだ…。何処に隠れてるのか、駆除しても、駆除しても、次々とわいて出てくるんだよ…」
よく見るとトマトの実の蔕へた辺りに小さなな穴が空いており、全長1〜2センチほどの緑や茶色の幼虫が実の中へ入り込んでいました。すると叔父は地面に挿してあった割り箸を手に取り
「それで、何をするんですか?」
「このトマトはもうダメだな…。ケイジくん、蛾の幼虫はな?この割り箸で一匹一匹掴んで、この殺虫剤入り水バケツに捨てるんだよ。また結構な数がわいているな…、くそっ」
「あ、それなら僕も手伝います」
「おお、そうか。ありがとう」
家庭菜園の主役は大半がトマトとキュウリでしたが、やっぱりトマトの方が美味いのか?キュウリに虫は一切付いていませんでした。
で、かなり勿体無い話ですが。実が大きくても、少しでも虫に喰われたトマトは地面へ廃棄処分に…
…ってかさ?こんなにウニョウニョ虫がいたの!?
次々と地に打ち捨てられる赤く大きなトマトたち。
かなり甚大な被害ですね、コレは…
話では地中の肥料で窒素濃度が高くなると、この″害虫″が発生し易くなるとか?自分の娘たちへ、たくさん食べさせてやりたいのに、成熟したトマトが幾つも虫にやられてしまっていて…
「ケイジくん、ホント助かるよ…」
「こ、これは結構大変な作業ですね…」
「今更言っても仕方が無いが。ウチの奴が肥料の量を間違えて、やり過ぎてしまってな…」
「あははは…」
何か納得…
家に招待されて、まさかの農作業の手伝い。
でも自分は魚釣りやキャンプ、家庭菜園といった大自然を肌で感じれるモノが大好きでした。よって虫取りとはいえ、凄く楽しかったのです。
「これで…、あらかた駆除出来たかな?」
彼方此方にいたオオタバコガの幼虫を、全部で100匹くらい駆除したでしょうか?すると家の中から娘のヤカ、サリが菜園に向かってパタパタ、ヨタヨタと歩いてきました。
「パパァ〜、ヤカも大っきなトマト食べたい〜」
「食べたい〜」
この時長女ヤカは中学生、その姉の言葉をそのまま復唱した次女サリは小学生。幼児の息子ユトはまだまだ小さいので妻と一緒に家の中にいます。
すると…
「ケイジくんっ!ケイジくんっ!ケイジくんっ!ホラッ、コレッ!塩いるでしょ??」
ヨシヘさんが気を利かせて塩を持ってきてくれました。そしてそれを自分ケイジに手渡そうとして、わたわたと手を滑らせ、地面に放り投げてしまいます…
(ドサッ……)
「あ、あら、ごめんね?はい、好きなだけ掛けてね?うふふ…」
「……。」
取り敢えず、″ソレ″を拾い上げると…
あのー…、これは…。まさかの食塩1キロ入り袋…?小瓶に入ったお手軽な塩は無いのですか…?しかも既に袋の隅が開いていて、地面へ大量の塩が飛び散っています…。相撲か…?
「ドアホ!何でわざわさ袋で持ってくるんや!小さい小瓶のがあったやろがっ!」
それを見て、怒りに吠える叔父さん。
あ、小瓶あったんですね…
「ケ、ケイジくんたち3人もいるから、たくさん塩が必定かと思って…」
「あ、ありがとうございます…」
この人はうちの家族全員、大量の食塩で超高血圧死させる気でしょうか…?
もしヨシヘさんが悪霊の類いなら、この塩を逆にぶっ掛けてお祓いした方早いんじゃないかな…?滝汗
「ほらっ、ケイジくんも引いとるやろ!どアホ!」
おーい、そこで″ケイジくん″を引き合いにだすのは止めて下さい…
とか何とか心の中で言ってる間に、娘のヤカ、サリは既にモシャモシャと必死にトマトを食べていました。
「美味しい?」
「「おいちぃ〜ぃ!」」
ヨシヘさんの問いに娘たちの返事は凄くご満悦。
結局塩無しで食べてしまいましたが、それはそれで娘たちの爽やかな笑顔を見て逆に堪能させてもらいました。しかし前兆や片鱗…伏線というか…、幸せは、ほんのひと時だけの話だったのです……
ーー後編へと続く。




